労働者の定義
- 労働者とは次の者を言います
- 労働基準法第9条
- この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所 に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
- 民法第623条
- 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、 相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
労働基準法上は「労働契約」、民法上は「雇用契約」と言います。雇用契約が対等な立場での契約であるのに対して、労働基準法は労働者保護に立った法律であるため「労働者」が主体となっているところに違いがあります。ただし、実務上は「労働契約」としても、「雇用契約」としてもその差はありません。
民法では、役務の提供を約する契約として雇用契約以外に以下のように委任契約と請負契約を定めています。
- 民法632条(請負契約)
- 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
- 民法643条(委任契約)
- 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委任し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
雇用契約(労働契約)と請負契約・委任契約とでは
「労務の提供」ということでは同じかもしれませんが、
その他の面においては実は大きな違いがあります。
雇用契約では労働基準法、労働安全衛生法、労災保険法等各種の法律の保護を受けることができ、
また一定の要件を満たせば社会保険や雇用保険に加入できます。
それに対して、請負契約・委任契約は「労働者」とみなされないため民法の規定が適用されるだけで、
労働者保護法規の適用はありません。
では、何をもって「労働者」と言うのでしょうか?
労働者性
雇用・就業形態の多様化に伴い最近では「請負社員」「業務委託社員」等々さまざまな契約形態で働く人が増えてきました。
いずれの契約によっても労務を提供をすることに変わりはありませんが、労務提供者が「労働者」といえるかどうか、つまり「労働者性」があるのかどうかの判断は職種や職名によって決まるものではないため、その区別が非常に困難な場合があります。
この点に関して、労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」(昭60.12.19)が出されています。この報告書によると「労働者性」の判断を以下のように挙げています。
- 「使用従属性」に関する判断基準
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- 「指揮監督下の労働」に関する判断基準
- 仕事の依頼、業務従事の指示に対する諾否の自由があることは、指揮監督関係を否定する重要な要素となるが、一方、当該諾否の自由がないことは、契約内容等による場合もあり、指揮監督関係の存在を補強するひとつの要素に過ぎないものと考えられる。
- 会社が業務の具体的内容および遂行方法を指示し、業務の進行状況を本人からの報告等により把握、管理している場合には、業務遂行過程で、「使用者」の指揮監督を受けていると考えられ、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。
- 勤務時間が定められ、本人の自主管理及び報告により「使用者」が管理している場合には、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。
- 当該業務に従事することについて代替性認められている場合には、指揮監督関係を否定する要素となる。
- 報酬の労務対償性の有無
- 報酬が時間給、日給、月給等時間を単位として計算される場合には、「使用従属性」を補強する重要な要素となる。
- 「指揮監督下の労働」に関する判断基準
- 「労働者」性の判断を補強する要素
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- 事業者性の有無
- 仕務に使用する機械・器具が会社より無償貸与されている場合には、「事業者性」を薄める要素となるものと考えられる。
- 報酬の額が、同種の業務に従事する者に比して著しく高額な場合には、「労働者性」を薄める要素となるものと考えられる。
- 専属性の程度
- 報他社の業務に従事することが制約され、又は、事実上困難な場合には、専属性の程度が高く、「労働者性」を補強する要素のひとつになる。
- 事業者性の有無
労働者性の判断例
建設会社の下請け工事中にけがをした大工の男性の労災申請に対し「企業から仕事を請け負う大工は労災保険法上の『労働者』ではない」と、不支給とした労働基準監督署長の処分が妥当かが争われた訴訟の上告審判決で最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は二十八日、処分を妥当とした一、二審判決を支持、大工側の上告を棄却した。
一、二審判決によると、男性は山形県から出稼ぎに来ていた九八年五月、神奈川県茅ケ崎市のマンション建設工事中に指を切断。企業に属さない「一人親方」でも労災を受給できる特別加入制度には加入しておらず、藤沢労基署へ労災申請したが、不支給とされたため取り消しを求めて提訴した。一審横浜地裁と二審東京高裁の判決はいずれも「労働者に当たらない」と、請求を棄却した。
「労働者」かどうかは、指揮監督関係、報酬が労務に対する対価か、又は仕事の完成に対する対価か、事業者性を有するかなどの実態を考慮して判断されますので、一人で仕事をしていないからといって「労働者」に該当するかどうかは一概には判断できません。
従業員として雇用していても結果として「労働者性」が否定された場合、補償を受けることができず、労働災害に対する責任は企業が負う可能性が出てきます。一つの解決策として当センターでは特別加入を推奨します。 一人親方として特別加入することで工事現場で行なわれるさまざまな仕事に従事する人も労災保険の補償を受けることができるようになります。
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