加入プランと補償内容

労災保険の対象になる災害には、仕事中における災害(業務災害)と通勤途上における災害(通勤災害)があります。他に特定の作業に従事していることで罹患する業務上疾病、昔ながらの言い方をすると職業病というものもあります。

一人親方の場合の補償内容は原則として労働者と同一です。「事業主としての行為によって生じた災害については補法対象となりません」といわれることもありますが、果たして一人親方の場合に「事業主としての行為」というのが存在するのか疑問です。なので、一人親方として従事する建設業に関連する作業又は行動における労災事故はほぼ労災の対象となると考えていいでしょう。

業務災害とは…

業務上災害の補償については、次に該当しない場合には、被災しても保険給付を受けることができません。

  • 請負契約に直接必要な行為を行う場合(請負契約締結、契約前の見積り、下見などを行う場合)
  • 請負工事現場における作業及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  • 請負契約に基づくものであることが明らかな作業を自家内作業場において行う場合
  • 請負工事に係る機械及び製品を運搬する作業(手工具類(鋸、鉋、刷毛、こて等) 程度のものを携行して通勤する場合を除きます。)及びこれに直接附帯する行為を行う場合
  • 突発事故(台風、火災等)等による予定外の緊急の出勤途上

通勤災害とは…

通勤災害は、文字通り通勤によって被った怪我などのことを指しますが、 この場合の「通勤」とは、就業に関して、住居と就業の場所との間を、 合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとされていいます。 ただし、往復の経路を逸脱したり、往復を中断したりした場合には、逸脱、中断した間とその後は「通勤」とはなりません。例えば、仕事の帰り道に一杯飲んで帰るために居酒屋に向かった場合には、居酒屋へ向かうために通常の経路からはずれた所以降、すべて通勤災害の適用とはなりません。(居酒屋の帰り道で通勤の経路に戻ったとしても適用となりません)

補償内容

特別加入者が業務上又は通勤途上による災害により負傷した場合、次のような補償を受けることができます。

給付の種類 支給の事由 給付の内容 特別支給金
療養補償 療養を必要とするとき 療養に必要な費用
休業補償 療養のため仕事をすることができずに休業するとき 給付基礎日額の6割を休業4日目から支給 給付基礎日額の2割を休業4日目から支給
傷病補償年金 療養開始後1年6カ月を経過しても治らず傷病等級に該当するとき 給付基礎日額の1級313日分から3級245日分の年金 一時金 1級114万円から3級100万円
障害補償年金 傷病が治った後に身体に障害が残ったとき(障害等級1級から7級) 給付基礎日額の1級313日分から7級131日分の年金 一時金 1級342万円から7級159万円
障害補償一時金 傷病が治った後に身体に障害が残ったとき(障害等級8級から14級) 給付基礎日額の8級503日分から14級56日分の一時金 一時金 8級65万円から14級8万円
介護補償 傷病年金又は障害年金受給者のうち等級が1級又は2級の方 介護費用(上限あり)
遺族補償年金 死亡したとき 遺族の人数に応じて、給付基礎日額の245日分から153日分の年金 一時金 300万円
遺族補償一時金 死亡した方に遺族補償年金を受ける 遺族がいないとき 給付基礎日額の1000日分の一時金
葬祭料 死亡した方の葬祭を行うとき 給付基礎日額に応じて42万円から 120万円

補償について

休業補償給付について

所得喪失の有無にかかわらず、療養のため補償の対象とされている範囲 (業務遂行性が認められる範囲)の業務又は作業について全部労働不能であることが必要となっています。
※全部労働不能とは、入院中又は自宅就床加療中もしくは通院加療中であって、 補償の対象とされている範囲(業務遂行性が認められる範囲)の業務又は作業ができない状態を言います。

遺族補償年金について

配偶者が60歳に達すると、175日分に変更になり535,500円から612,500円となります。
遺族補償年金は受給権者である配偶者が死亡、再婚等失権するまで支給されます。 子供は18歳に達するまで遺族補償年金が支給されます。

加入プランと補償内容

ご加入の際に、選択をしていただく給付基礎日額は(保険料や保険給付の基礎となるもの)3,500円から25,000までの16段階ございます。ご自身の収入に見合った給付基礎日額を選択して下さい。
その際の一つの目安として、加入プランの一例をご紹介致します。

【令和6年度(2024年度)版 加入プランと補償内容】(2024年4月より適用)

加入プラン(給付基礎日額) 3,500円 5,000円 10,000円 20,000円
負担額 1年あたりの負担額 27,709円 37,025円 68,050円 130,100円
1ヵ月あたりの負担額 2,309円 3,085円 5,670円 10,841円
療養補償給付
(治療費)
無料 無料 無料 無料
休業補償給付 2,800円 4,000円 8,000円 16,000円
傷病補償年金 上限額 1,095,500円 1,565,000円 3,130,000円 6,260,000円
下限額 857,500円 1,225,000円 2,450,000円 4,900,000円
障害補償年金 上限額 1,095,500円 1,565,000円 3,130,000円 6,260,000円
下限額 458,500円 655,000円 1,310,000円 2,620,000円
障害補償一時金 上限額 1,760,500円 2,515,000円 5,030,000円 10,600,000円
下限額 190,000円 280,000円 560,000円 1,120,000円
遺族補償年金 上限額 857,500円 1,225,000円 2,450,000円 4,900,000円
下限額 535,500円 765,000円 1,530,000円 3,060,000円
埋葬料 420,000円 465,000円 615,000円 1,200,000円
介護補償給付 上限額 104,590円 104,590円 104,590円 104,590円
下限額 28,360円 28,360円 28,360円 28,360円
  • 上記表中の負担額とは国に支払う保険料と組合費の合算の金額です。
  • 1ヶ月あたりの負担額は1年あたりの負担額を12で除して得た金額を切り上げたものです。
  • 休業補償給付は1日あたりの額です。特段の理由がない限り、実際には支給申請を1月ごとに行いますので、1日あたりの支給額に支給対象月の暦日数を乗じた額が支給されます。
  • 年金は年額で、支給要件となった状態が続く限り一生支給されます。一時金は一回限りの支給です。
  • 遺族補償年金はある一定の遺族の数に応じて、金額が異なります。遺族が1人の場合は下限額。4人以上の場合は上限額となります。
  • 葬祭料は一時金です。
  • 介護補償給付は月単位での支給となります。
  • 上記の表中、年金に関しては労働福祉事業からも支給されますので、実際の支給は上記よりも多少多くなります。
  • 業務災害による給付と通勤災害による給付とでは名称が異なりますが、給付内容はほとんど同じです。
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