一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方の住民税はどのくらいかかる?計算方法や納税方法、節税対策も解説

住民税は、生活するために必要なサービスを運営するために地域で生活するすべての人が負担する税金で、一人親方も支払わなければいけません。

会社員は給料から引かれますが、一人親方は自分で支払う必要があり、住民税の金額や支払い方法を知らないと突然の納付書にあわててしまう可能性があります。

本記事では、一人親方が支払う住民税の計算方法や支払い方法、節税対策などを解説します。
住民税の仕組みや額が分からず悩んでいる一人親方は、ぜひ参考にしてください。

住民税とはどのような税金?

住民税は、地域の行政サービスを支えるための税金で、ごみの回収や救急、学校教育など、日常生活に欠かせないサービスの費用に使われます。

住民税は、都道府県に支払う「道府県民税」と、市区町村に支払う「市町村民税」に分かれています。

地域の住人全員で必要な費用を分担するという考え方に基づいており、一人親方も例外ではありません。
そのため、一人親方は必ず住民税を支払うようにしましょう。

一人親方の住民税の計算方法

住民税は、「均等割」と「所得割」の2つから成り立っています。

均等割は、誰でも同じ金額を支払う定額制の税金です。
一方、所得割は、その人の所得に応じて金額が変わる仕組みです。

最終的な住民税の額は、この2つを合計して計算されます。
ここでは、均等割と所得割をそれぞれ解説します。

均等割

均等割とは、所得の多い少ないに関係なく、全員が同じ金額を支払う住民税です。

道府県民税が1,000円、市区町村民税が3,000円で、合計4,000円が基本です。
さらに2024年度からは、森林環境税として1,000円が加わり、合計で5,000円となっています。

このお金は、学校やごみ処理、森林整備など地域の暮らしを支える費用に使われています。

ただし、住民税は自治体の財政状況や行政サービスの内容に応じて税率を変更できるため、5,000円ではない地域もあるので注意が必要です。
自分の住んでいる地域の住民税がいくらなのか気になる方は、ホームページなどで確認しましょう。

所得割

所得割は、その人の所得に応じて変わる住民税です。

所得に対して道府県民税4%と市町村民税6%の合計10%が所得割額となります。
ただし、政令指定都市の場合は、道府県民税が2%、市民税が8%です。
また、均等割と同様に、自治体によっては10%ではないケースもあります。

所得割額の計算方法は以下のとおりです。

  • 収入-必要経費=所得金額
  • 所得金額-所得控除額=課税所得金額
  • 課税所得金額×税率(10%)-税額控除額=所得割額

住民税のシミュレーション

一人親方としての収入が500万円で、経費と所得控除がそれぞれ100万円、税額控除がないと想定して、住民税を計算してみましょう。
ここでは、均等割額5,000円、所得割額10%とします。

  • 所得金額:500万円-100万円=400万円
  • 課税所得金額:400万円-100万円=300万円
  • 所得割額:300万円×10%=30万円
  • 均等割額:5,000円
  • 住民税:30万円+5,000円=30万5,000円

自分の住民税が知りたい方は、上記計算に当てはめてみてください。

一人親方が住民税を支払う方法

一人親方は、普通徴収という方法で住民税を支払います。
会社員のように給料から自動で引かれる特別徴収とは異なり、納税の手続きや支払いをすべて自分で行わなければいけません。

毎年6月ごろになると、市区町村から「住民税決定通知書」と「納付書」が届きます。
納付書を使って、銀行やコンビニ、口座振替、インターネットバンキングなどで支払います。
最近では、PayPayやクレジットカードなどが使える自治体もあるようです。

納付方法は一括払いか分割払いを選べ、分割の場合は6月・8月・10月・1月の4回に分けて支払います。
納付期限を過ぎると延滞金がかかることもあるため、計画的に納めるのが大切です。

一人親方が住民税を支払わないとどうなる?

一人親方が住民税を期限までに支払わないと、さまざまな不利益が生じます。

まず、市区町村から督促状が届きます。
それでも納付がされない場合、催告書や電話での連絡が入り、最終的には預金や不動産、車などの財産が差し押さえられてしまうかもしれません。

また、税金には延滞金がかかり、納期限から1か月までは年2.4%、それ以降は年8.7%の利率が加算されます。
たとえ少額でも、放置すればするほど負担が増えていきます。

どうしても支払いが難しいときは、事情を説明すれば納税を猶予してもらえる場合もあるため、すぐに自治体へ相談しましょう。
滞納を放置せず早めの対応を心がけることが、安心して働き続けるための第一歩です。

一人親方は住民税を経費にできる?

住民税は、一人親方の経費にはできません。
なぜなら、住民税はあくまで個人にかかる税金だからです。

確定申告をしたあとに支払う住民税や所得税は、事業とは関係ない支出とみなされるため、必要経費には含められません。
これは、相続税や贈与税、罰金、交通違反金などと同じく、個人的な支出とみなされます。

一方で、事業に直接かかる税金(消費税や個人事業税、仕事で使う車にかかる自動車税など)は、必要経費として計上できる場合があります。

つまり、事業に関係のある支出かどうかが、経費にできるかどうかの大きなポイントです。
住民税は自分の生活にかかるものであり支払う義務があるため、経費にしないようにしましょう。

一人親方が住民税をおさえる方法

住民税の均等割額は決まっているため減らせませんが、所得割額は経費や控除額を引いた課税所得額に税率がかかるため節税できる可能性があります。
ここでは、住民税を節税する方法を解説します。

経費を正しく計上する

住民税の負担を減らすためには、必要経費を正しく計上することが重要です。

必要経費とは、仕事をする上で直接かかった費用のことで、収入から差し引くことで所得金額が決まります。
一人親方の場合は、主に以下のようなものが経費として認められます。

  • 材料費
  • 事務所などの家賃
  • 水道光熱費
  • 通信費
  • 車の維持費
  • 接待費

必要経費が多ければ、それだけ所得が少なくなり、住民税も安くなります。
ただし、本来経費にできないプライベートな支出まで含めてしまうと、税務調査で指摘されるかもしれません。
正しく経費を記録し、領収書なども保管しておきましょう。

所得控除を受ける

所得控除を活用すると住民税をおさえられます。
使える控除は人によって異なりますが、代表的な控除には以下のようなものがあります。

  • 基礎控除:納税者本人の合計所得金額に応じて、所得金額から一定の金額が控除される
  • 医療費控除:1年間の医療費が一定額を超えている場合に受けられる
  • 社会保険料控除:国民年金や国民健康保険、厚生年金保険など自分に関わる社会保険料を納めた場合に受けられる
  • 生命保険料控除:生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる
  • 扶養控除:控除対象の扶養家族がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる
  • 配偶者控除:配偶者の合計所得金額が48万円以下の場合に受けられる

ただし、これらの控除は自動で適用されるわけではなく、自分で対象の控除を申告する必要があります。
申告を忘れると、本来受けられる控除が無効になってしまうので注意が必要です。

ふるさと納税を活用する

住民税をおさえながら返礼品も受け取れる方法が、ふるさと納税です。

ふるさと納税では、寄付した金額のうち2,000円を差し引いた額が、翌年の住民税や所得税から控除されます。
たとえば、2万円を寄付した場合、1万8,000円が控除対象となり、自治体からお米やお肉などの返礼品が届くのです。

ただし、控除には上限額があり、自分の収入や家族構成によって変わります。
上限を超えて寄付すると、その分は自己負担になるため注意が必要です。

また、一人親方のような個人事業主は、「ワンストップ特例制度」が使えないため、確定申告で控除の手続きを行う必要があります。
節税しながら地域の応援もできる便利な制度なため、検討してみましょう。

一人親方が支払う住民税以外のおもな税金

一人親方が支払う税金は住民税だけではありません。
住民税以外に支払う必要がある税金を解説します。

所得税

一人親方が支払う税金の一つが所得税です。

所得税とは、1年間の収入から必要経費や所得控除を引いた所得に対して課される税金です。
会社員の場合は給料から自動で引かれますが、一人親方は自分で確定申告を行い、税額を計算して納付しなければなりません。

確定申告の時期は基本的には翌年の2月16日から3月15日までで、この期間内に申告を済ませる必要があります。

個人事業税

一人親方は、個人事業税がかかる場合もあります。

個人事業税は、事業をしている個人に対して都道府県が課す地方税です。
建設業の場合、税率は5%ですが、事業所得が290万円以下であれば課税されません。

たとえば所得が400万円なら、(400万円−290万円)×5%=5万5,000円が税額となります。

納付は年2回、通常8月と11月に行います。

消費税

一人親方であっても、消費税を納めるケースがあります。

消費税とは、商品やサービスの提供に対してかかる税金で、本来は顧客が負担し、事業者が預かって国に納める仕組みです。

年間の課税売上高が1,000万円を超えると、課税事業者となり消費税の納付が必要になります。
標準税率は10%(国税7.8%、地方税2.2%)で、軽減税率が適用される食品などは8%です。

売上が1,000万円以下なら免税事業者となり、消費税の納付は不要です。
ただし、適格請求書(インボイス)発行事業者の場合は、売上が1,000万円以下でも消費税を納付する必要があります。

申告と納付の期限は毎年3月31日までで、対象者は忘れずに手続きしましょう。
適切な対応をしておくことで、トラブルや延滞も避けられます。

まとめ

一人親方は、住民税を納める必要があります。

住民税は、均等割と所得割で構成されており、所得割は収入に応じて金額が変わります。
納付方法や期限、節税のポイントをおさえておくことで、無理のない納税計画を立てられるでしょう。

また、経費や控除を活用すれば、住民税の負担を軽くできる可能性があります。
住民税以外にも所得税や個人事業税、消費税といった税金があるため、どのような条件で課税されるのかを理解し、必要な手続きを早めに行いましょう。

税金に関する知識を深めて、一人親方として安定した経営を目指していきましょう。

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