一人親方として働く中で、経理や帳簿管理に悩みを感じている方もいるでしょう。
現場作業に追われる毎日の中で、手書きやExcelでの帳簿づけは時間も手間もかかり、確定申告の時期に慌てて処理することも少なくありません。
そんな一人親方の強い味方となるのが帳簿アプリです。
本記事では、帳簿アプリを活用するメリット、利用時の注意点、そしてアプリ選びで失敗しないためのポイントを解説します。
帳簿アプリを検討している一人親方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
一人親方が帳簿をアプリで管理するメリット
帳簿とは、仕事で得た収入や使った経費などを記録する書類で、確定申告に必要な大切なものです。
記帳をせず、記載漏れや未作成のまま放置していると正しく確定申告できず、ペナルティが科されてしまうかもしれません。
最近では、帳簿管理の負担を軽くしてくれる帳簿アプリが多く登場しており、これを活用することで多くのメリットが得られます。
ここでは、一人親方が帳簿をアプリで管理するメリットを4つ解説します。
知識がなくても簡単に帳簿作成ができる
帳簿アプリの多くは、専門的な簿記の知識がなくても使えるように設計されています。
取引内容を入力すると、適切な勘定科目や仕訳を自動で提案してくれる機能が備わっており、経理が苦手な方でも迷わず進められるでしょう。
また、操作ガイドやヘルプも充実しているため、初めて帳簿作成に取り組む一人親方でも安心です。
本業に集中したい一人親方にとって、帳簿作成を効率化できるアプリは、心強いサポートツールといえるでしょう。
確定申告の作業時間を短縮できる
帳簿アプリを使えば、確定申告にかかる作業時間を大幅に短縮できます。
日々の収支記録やレシートの管理、集計作業までアプリ内で一元管理できるため、手作業と比べて格段に効率的です。
たとえば、スマホでレシートを撮影するだけで日付や金額を自動で読み取ったり、銀行口座やカードを連携させて入出金を自動で記録したりできます。
これにより、面倒な入力作業が最小限で済み、経理に追われることなく本業に集中する時間を確保できるようになります。
青色申告が活用できる
帳簿アプリを使えば、青色申告に必要な複式簿記の帳簿もスムーズに作成できます。
青色申告では最大65万円の特別控除が受けられるため、所得税や住民税の負担を大きく減らせます。
また、赤字を翌年以降に繰り越せたり、家族への給与を経費にできたりと、税金面のメリットも豊富です。
通常は複雑な帳簿作成が必要ですが、多くのアプリは自動で帳簿を作ってくれるため、簿記の知識がなくても安心です。
アプリの活用でこれらの制度を手軽に利用でき、大きな節税効果が期待できます。
インボイス制度や電子帳簿保存法に対応できる
帳簿アプリは、インボイス制度や電子帳簿保存法といった新しいルールにも対応できます。
インボイス制度で求められる適格請求書の作成・保存や、電子帳簿保存法で義務付けられた電子データの適切な管理も、対応アプリなら簡単です。
これらの作業を自動化できるため、法令違反のリスクを減らせます。
特にクラウド型アプリは、法改正があっても自動でシステムがアップデートされるため、常に最新のルールに準拠した帳簿管理が可能です。
面倒な制度変更にもストレスなく対応できるのは大きなメリットといえるでしょう。
一人親方が帳簿をアプリで管理するときの注意点
帳簿アプリは便利なツールですが、使い方を誤るとミスやトラブルにつながるおそれがあります。
ここでは、一人親方が帳簿をアプリで管理するときの注意点を解説します。
忘れずに記帳するようにする
帳簿アプリを導入しても、記帳を怠れば意味がありません。
「あとでまとめてやろう」と先延ばしにすると、入力漏れやミスの原因になります。
毎日が理想ですが、難しい場合は週に一度など曜日を決めて記帳を習慣化しましょう。
売上がない日も「売上なし」と記録することが大切です。
帳簿の記録を怠ると、税務調査で加算税が課されたり、青色申告の特別控除が取り消されたりする可能性があります。
事業の信頼性を保つためにも、定期的な記帳を必ず心がけましょう。
データを移行する際の方法を確認する
すでにほかのアプリやExcelで記帳している場合、新しい帳簿アプリへのデータ移行方法を確認しましょう。
アプリによっては過去のデータを取り込めず、すべて手入力し直すケースもあります。
CSVファイルのインポート機能や、他社からの移行ツールが用意されていることを事前にチェックすることが重要です。
数年分の記録を再入力するのは大変な手間がかかるため、移行作業のしやすさがアプリ選びの鍵となります。
可能であれば、移行サポートのあるサービスを選んだり専門家に相談したりして、スムーズな乗り換えを目指しましょう。
一人親方が帳簿アプリを選ぶときのポイント
帳簿アプリは種類が豊富なため、自分に合ったものを見極めることが大切です。
ここでは、一人親方が帳簿アプリを選ぶときのポイントを7つ解説します。
一人親方特有の機能があるか
一人親方が帳簿アプリを選ぶ際は、建設業に特化した機能があることを確認することが重要です。
現場ごとの収支や工事台帳、原価管理機能は欠かせません。
また、建設業特有の税制に対応し請求書を自動作成できると、日々の業務や確定申告が非常にスムーズになります。
建設業向けのアプリには以下のようなものがあります。
- スイート建設会計:建設業独自の勘定科目を備え、工事ごとの原価管理が可能。関連機能との連携で業務全体を効率化できる。
- AnyONE:現場情報を一元管理して業務を「見える化」。データを一つに集約し、業務改善をサポートしてくれる。
利用している金融機関と連携できるか
帳簿アプリを選ぶ際には、自分が使っている銀行やクレジットカードと連携できることも重要な判断材料になります。
連携機能があれば、口座の入出金データやカード利用履歴を自動で取り込み仕訳まで自動処理してくれるため、手間が大幅に省けます。
一方、連携できないとすべて手入力になり、時間もかかってミスのリスクも高まるでしょう。
特に日々の取引が多い一人親方にとっては、入力作業の簡略化が業務効率に直結します。
導入前に、対応している金融機関の一覧を確認しておきましょう。
スマートフォンでも利用できるか
日中を現場で過ごすことが多い一人親方にとって、スマートフォンで使える帳簿アプリは便利です。
現場で受け取った領収書をその場で撮影して登録すれば、記録忘れや紛失を防げます。
移動中や休憩などの隙間時間を活用して経理作業を進められるため、業務効率が大きく向上するでしょう。
スマートフォンで利用できるアプリには以下のようなものがあります。
- freee:〇×形式の質問に答えるだけで確定申告書が作成可能。レシート撮影から電子申告までスマートフォンのみで完結。
- マネーフォワード クラウド確定申告:アプリから電子申告ができ、税務署に行かずに手続きが完了。最大65万円の青色申告特別控除も受けられる。
3-4. 会計の知識がなくても利用できるか
会計や簿記の知識に自信がない方でも、直感的に使えるアプリを選ぶことが重要です。
多くのアプリには、取引を入力するだけで帳簿を自動作成する機能や、勘定科目を提案してくれる機能が備わっています。
確定申告書の作成までサポートしてくれるものなら、複雑な手順に悩むことも少なくなるでしょう。
会計知識がなくても利用しやすいアプリには、以下のようなものがあります。
- やよいの青色申告 オンライン:初心者向けの使いやすい設計が特徴。簿記知識がなくても、日付や金額を入力するだけで複式簿記の帳簿を自動で作成できる。
- ジョブカン青色申告:ガイド付きの画面にしたがって入力するだけなので、会計知識に自信がない初心者でも迷わず作業を進められる。
サポートが受けられるか
初めて帳簿アプリを使うと、操作や経理処理で疑問が生じることは少なくありません。
そのため、電話やチャットで気軽に質問できるサポート体制が整っているアプリを選ぶと安心です。
特に、日中の問い合わせが難しい一人親方にとっては、夜間でも対応してくれるか、動画マニュアルやFAQが充実しているかといった点が重要なポイントになります。
無料プランではサポートが制限されることもあるため、不安な方は有料版を検討するのもよいでしょう。
サポートの速さや丁寧さを実際に体験版で確認しておくことをおすすめします。
費用は負担にならないか
帳簿アプリには無料、月額制、買い切り型などさまざまな料金形態があります。
安さだけで選ぶと、必要な機能がなかったり後から追加料金が発生したりする場合があるため、初期費用や月々の利用料など全体のコストを比較することが大切です。
無料プランは機能が限られることが多いですが、業務に必要な機能がそろっていることを確認したうえで、自分の事業規模や予算に合わせ、長期的に負担にならないアプリを選びましょう。
インストール型かクラウド型か
帳簿アプリには、ネット経由で使うクラウド型とパソコンに直接入れるインストール型があります。
クラウド型は、スマートフォンでどこでも作業でき、法改正にも自動対応するのが大きなメリットです。
現場での作業が多い一人親方に便利ですが、ネット環境が必須で月額費用がかかります。
一方、インストール型はオフラインで作業でき、買い切りならコストをおさえられます。
ただし、使用できる端末が限定され、法改正時のアップデートは手動で行う点に注意が必要です。
それぞれの特徴を理解し、自分の業務スタイルや予算に合うタイプを選びましょう。
まとめ
一人親方にとって、帳簿アプリは経理の手間を減らし確定申告や法改正への対応をスムーズにする強力なサポートツールです。
特に、簿記の知識がなくても使える操作性やスマホからの入力などは、多忙な一人親方の業務を大きく支えてくれます。
ただし、記帳を習慣化することや、データ移行・サポート体制・費用面のチェックを怠ると、かえって手間やリスクを増やす可能性もあるため注意が必要です。
自分の業務内容やライフスタイルに合った帳簿アプリを選ぶことで、事務作業の効率化と事業の安定経営が実現できるでしょう。