建設業に携わる一人親方は危険をともなう作業に従事することが多いため、万が一の事故に備えて労災保険の特別加入制度を利用することが大切ですが、「特別加入は義務なのか」「加入していないと何が困るのか」「どのように手続きすればよいのか」と疑問を持つ方も少なくありません。
そこで本記事では、一人親方が労災保険に特別加入する義務の有無、特別加入制度を利用するメリット、申請方法についてわかりやすく解説します。
労災保険に加入して安心して業務に取り組みたいという一人親方は、ぜひ参考にしてください。

Contents
一人親方には労災保険への加入義務がある?
一人親方には労災保険への加入義務がありません。
雇われて働く労働者ではなく個人事業主にあたるため、法律で加入が求められていないためです。
しかし、建設業や運送業などの作業は多くの危険をともない、仕事中のけがの治療費や休業中の収入減を自分でカバーしなければならない可能性があります。
安全管理の観点から元請が加入を求める現場は増加し、未加入の場合は作業に参加できない場合もあるでしょう。
こうした事情から、多くの一人親方は特別加入が義務でなくても自分を守るために加入しています。
加入は任意ですが、仕事の継続や日々の安心を考えると、加入しておくことが望ましいでしょう。
一人親方の労災保険への特別加入とは
労災保険への特別加入とは、雇われて働く労働者でなくても労災保険に加入でき、補償が受けられる制度です。
本来、労災保険は事業主に雇われて働く人が対象であり、一人親方のように独立して働く人は加入できません。
そこで、危険な作業に携わる自営業者も保護できるよう、国は例外的に特別加入を認めています。
特別加入を申請できるのは「中小事業主等」「一人親方等」「特定作業従事者」「海外派遣者」のどれかに該当する場合です。
一人親方の場合は、家族だけで事業を行っていること、または労働者を年間100日未満しか雇わないことが条件となります。
加入すると、仕事中や通勤時のけがだけでなく、後遺障害や死亡補償も対象となるため、安心して働けるでしょう。
一人親方が労災保険に特別加入するメリット

一人親方が労災保険に特別加入すると、おもに4つのメリットが得られます。
本章では、それぞれの特徴を詳しくご紹介します。
万が一のとき補償が受けられる
一人親方が労災保険に特別加入すると、業務中や通勤中に事故が起きた場合に、自己負担なしで治療を受けられます。
また、休業中の補償、障害が残った場合や死亡事故が起きた際の補償も用意されているため、安心して働けます。
労災保険の特別加入で受けられる補償は一般加入と同じであり、次の通りです。
| 給付の種類 | 支給条件 |
| 療養補償給付 | 業務・通勤による傷病で治療する場合 |
| 休業補償給付 | 業務・通勤による傷病の療養のため、労働できない日が4日以上となった場合 |
| 障害補償給付 | 業務・通勤による傷病が治った後に障害等級に該当する障害が残った場合 |
| 傷病補償年金 | 療養開始後1年6ヶ月経過後も治っておらず障害が残っている場合 |
| 遺族補償給付 | 業務・通勤により死亡した場合 |
| 葬祭料 | 死亡者の葬儀を行う場合 |
| 介護補償給付 | 一定の障害があり介護を受けている場合 |
個人事業主の一人親方は、会社員と違って利用できる制度が限られており、公的な補償は大きな支えとなります。
一人親方が労災保険に加入せずに事故に遭ったときのリスクは、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:一人親方が労災保険未加入で事故に遭ったら?リスクや加入するメリットを解説
元請からの信頼が得られ、現場に入りやすくなる
建設工事や公共事業などの現場では、労災保険への加入を条件とするケースが増えています。
労災保険の特別加入を利用することで現場での作業がスムーズに進められ、仕事のチャンスを逃しにくくなるでしょう。
反対に、未加入だと現場への入場を断られることもあり、収入の機会を制限されてしまう可能性がある点に注意が必要です。
保険料は控除の対象になる
特別加入で支払った労災保険料は、確定申告で社会保険料控除として申請でき、所得税や住民税の軽減につながります。
負担した金額がそのまま控除対象となるため、補償を確保しつつ税負担を軽減できる点がメリットです。
また、一人親方団体へ加入する際に必要となる入会金や事務手数料などは、事業に関連する支出として経費に計上できる場合があります。
保険料自体は経費にできませんが、年間の税金を抑えながら必要な補償を維持でき、安心して働く環境づくりに役立ちます。
加入時期や支払日によって対象となる年度が変わるため、確定申告のために納付証明書などを保管しておくとよいでしょう。
安心して仕事ができる
建設現場など多くの危険を伴う環境で働く一人親方にとって、特別加入は精神的な支えになります。
補償があれば、けがや病気で働けない期間が生じても給付を受けられるため、収入が途絶える不安を軽減できます。
結果として、日々の作業に集中しやすくなり、安全への意識向上にもつながるでしょう。
また、家族に心配をかけにくくなる点もメリットです。
保険への加入自体が事故を防ぐわけではありませんが、万が一の備えがあることでリスクを抑えながら活動でき、長く安定して仕事を続けやすくなるでしょう。
一人親方の労災保険の特別加入にかかる保険料
一人親方が特別加入するときの保険料は「給付基礎日額×365日×保険料率」で計算されます。
給付基礎日額は16段階から選べる仕組みで、金額が高いほど補償内容は手厚くなりますが、保険料負担も大きくなります。
保険料率は事業によって異なり、建設業の場合は1,000分の17です。
給付基礎日額は年度途中で変更できないため、必要な補償額と保険料を加入前に十分に比較・確認して、収入や生活状況に合わせた選択をすることが重要です。
一人親方が労災保険へ特別加入する方法
一人親方が労災保険への加入は、市区町村ではなく労働局の認可を受けた特別加入団体を通じて手続きをします。
手続きの流れは、次の通りです。
- 必要書類をそろえる
- 申し込む
- 保険料を支払う
- 従事する作業によっては健康診断を受ける
申請時には収入証明や本人確認書類を提出し、補償額の基準となる給付基礎日額を選びます。
給付基礎日額によって保険料や補償額が変わるため、自分の収入に合った等級を選ぶことが大切です。
手続きが完了すると加入証明書が発行され、現場への入場要件を満たせるようになります。
近年は、インターネットで申し込める団体も増えており、手軽に加入できるようになっています。
インターネットからの申し込み方法については、下の記事を参考にしてください。
関連記事:一人親方はインターネットで労災保険に加入できる?流れや費用、補償を解説
一人親方が労災保険へ特別加入するなら一人親方団体労災センターがおすすめ
一人親方が労災保険へ特別加入するなら、費用が明確で手続きが簡単な「一人親方団体労災センター」をご検討ください。
保険料は選んだ給付基礎日額で決まり、追加費用は月500円の組合費のみです。
入金確認後は最短で翌日から補償が始まり、加入証明書も即日発行されます。
また、全国対応で社会保険労務士のサポートが受けられ、事故発生時の申請書類作成も無料です。
コストを抑えつつ確実な補償を備えたい一人親方におすすめします。
詳細は、一人親方団体労災センターの公式サイトをご確認ください。
一人親方の労災保険特別加入に関するよくある質問

最後に、一人親方の労災保険特別加入に関するよくある質問に回答していきます。
特別加入する前に、疑問を解消しておきましょう。
事故が発生した際はいくらもらえる?
労災保険の給付額は、給付基礎日額と補償の種類によって計算されます。
例えば、業務や通勤中のけがを治療する場合は「療養補償給付」が、業務や通勤中の災害によって4日以上働けない状態になった場合は「休業補償給付」が受けられます。
それぞれの給付内容は、表の通りです。
| 給付の種類 | 給付内容 | 特別支給金 |
| 療養補償給付 | 労災病院または指定病院で治療が無料 / その他病院では治療費が支給 | なし |
| 休業補償給付 | 休業4日目以降、1日につき給付基礎日額の60% | 別途20%支給(合計80%) |
そのほか、介護費用や障害が残った場合の給付など、災害の種類に応じて受け取れる補償が細かく用意されています。
一人親方として特別加入できる業種は?
建設関連の多くの業種が特別加入の対象で、代表的な職種は以下の通りです。
- 大工
- 左官
- とび職
- 配管工
- 電気工事
- 解体工 など
基本的には、土木・建設・工作物の建築や修繕、改造、解体などに関わる自営業者が対象です。
また、一時的に労働者を雇う場合でも、年間の使用日数が100日未満であれば加入できます。
まとめ
一人親方には労災保険の特別加入への義務こそありませんが、現場での安全確保や事故発生後の生活を守るうえで重要な備えです。
治療費の負担軽減や休業中の補償、元請からの信頼向上など、特別加入によって得られるメリットは大きく、仕事を安定して続けるための支えとなるでしょう。
また、保険料は給付基礎日額に応じて決まり、加入手続きは認可された団体を通じて行えます。
中でも「一人親方団体労災センター」は費用が明確で手続きが簡単、最短で翌日から補償が開始されるため、初めて加入する方でも安心です。
事故やトラブルはいつ起こるか分かりません。
安全に仕事を続けるためにも、自分と家族を守る手段として、労災保険の特別加入を検討しましょう。
