一人親方労災保険の「労災センター通信」

労災保険の特別支給金とは?支給要件や申請方法、全9種類について解説

労災保険には、基本給付とは別に受け取れる「特別支給金」という制度があることをご存知でしょうか。

これは、一定の要件を満たしていれば、通常の労災保険給付に上乗せした形で支給されます。

本記事では、労災保険の特別支給金の概要の他に、申請時のポイントや支給要件についてわかりやすく解説します。
詳しく知ることで、申請漏れを防ぎ、受け取るべき補償をしっかり確保したい人はぜひ参考にしてください。

一人親方の労災保険

労災保険の特別支給金とは

労災保険の特別支給金は、治療費や休業補償などの労災保険の基本給付と合わせて受け取れます。

通常、損害賠償金を受け取ると、労災保険分が差し引かれるなど調整が入ることがありますが、この特別支給金に関しては調整の対象外です。
つまり、基本給付と合わせて満額を受け取れる可能性があります。

また、税制面でもメリットがあります。労災保険の特別支給金は税法上、非課税所得となっており、相続税や住民税などはかかりません。
そのため、労災で働けなくなったときの家族や生活の支えとなるでしょう。

労災保険の特別支給金の支給要件

労災保険の特別支給金を受け取るための要件は、労災保険給付と同じです。
つまり、労災(業務災害または通勤災害)と認定され、支給が決定されると、同時に特別支給金の受給資格も満たすことになります。

種類 支給要件
休業特別支給金 業務中や通勤時の病気やけがで療養中であり働けないとき
障害特別支給金 業務中や通勤時の病気やけがで障害等級に当てはまる障害と認定されたとき
遺族特別支給金 業務中や通勤時の災害で労働者が死亡したとき
傷病特別支給金 業務中や通勤時の病気やけがで療養から1年6ヶ月経過後も傷病が回復せず、傷病等級に当てはまる障害と判定されたとき

基本給付の申請とセットで手続きを進めることで、いずれの給付も漏れなく受け取ることができます。

特別支給金の種類

特別支給金の種類
労災保険の特別支給金は前述した4種類とボーナス特別支給金が5種類あります。
まずは、一人親方も受けられるものをみていきましょう。

休業特別支給金

休業特別支給金は、業務中や通勤中の労災により被った病気やけがの療養によって働けず給料がもらえない場合に受け取れます。
休業4日目から対象となり、給付基礎日額(1日あたりの賃金)の20%相当額が支給されます。
特別加入者が休業補償の給付を受ける場合は所得の有無に関わらず、対象業務が全てできないことが条件です。

休業補償給付の60%と合わせると、合計で1日あたりの賃金の80%が補償される計算になります。

障害特別支給金

障害特別支給金とは、労災による病気やけがは治癒(症状固定)したものの障害と判定されたとき、障害の程度によって受け取れます。
障害の重さに応じて、第1級~第14級まで、以下の通り定額が支給されます。

障害等級 支給額
1級 342万円
2級 320万円
3級 300万円
4級 264万円
5級 225万円
6級 192万円
7級 159万円
8級 65万円
9級 50万円
10級 39万円
11級 29万円
12級 20万円
13級 14万円
14級 8万円

遺族特別支給金

遺族特別支給金は、労災によって労働者が亡くなった際に、遺族に対して支払われる一時金です。
遺族の人数にかかわらず、一律300万円が支給されます。
たとえば、受給権のある遺族が2人以上(妻と子どもなど)の場合は、300万円を人数で等分した額を受け取ることになります。

傷病特別支給金

傷病特別支給金は、労災による病気やけがの療養から1年6ヶ月が経過しても病気やけがが治っておらず、かつその程度が傷病等級に当てはまる場合に受け取れます。
具体的には、傷病等級3級で100万円、2級で107万円、1級で114万円の一時金です。

ボーナス特別支給金の種類

ボーナス特別支給金は、労災発生日前の1年間の賞与額をベースに計算されます。
給付額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、賃金水準に応じて改定され、年齢階層別の最低・最高限度額があります。

ただし、一般的にボーナスの概念がない一人親方などの特別加入者には、原則として支給されないことに注意しなければなりません。
ここでは、ボーナス特別支給金を解説します。

障害特別年金

障害特別年金は、労災により障害等級1~7級と判定された場合、その等級に応じて支給されます。
たとえば、障害等級7級で算定基礎日額131日分、5級で184日分、3級で245日分、1級で313日分の年金が受け取れます。

算定基礎日額とは、過去1年間のボーナスの総額を365で割った額を指します。

障害特別一時金

障害特別一時金は、労災により障害等級8~14級に認定された場合に受け取れる一時金です。
障害等級14級で算定基礎日額の56日分、12級で156日分、10級で302日分、8級で503日分が支給されます。

遺族特別年金

遺族特別年金は、労災によって死亡した労働者の遺族の数に応じて支給される年金です。
遺族が1人の場合は算定基礎日額153日分、55歳以上の妻1人または一定の障害がある妻の場合は175日分です。
遺族が2人で201日分、3人で223日分、4人以上で245日分となっています。

遺族特別一時金

遺族特別一時金は、遺族の状況に応じて算定基礎日額1,000日分または支給された特別年金合計額との差額が受け取れます。

傷病特別年金

傷病特別年金は、労災による病気やけがの療養から1年6ヶ月後も治癒せず、傷病等級に応じて支給される年金です。
傷病等級第3級で算定基礎日額の245日分、第2級で277日分、第1級で313日分です。

労災保険の特別支給金の申請方法

必要な書類を労働基準監督署に提出することで申請できます。
請求書は労働基準監督署の窓口で受け取るか、厚生労働省ホームページ「主要様式ダウンロードコーナー」から取得できます。

特別支給金や保険給付など、申請する方の状況によって必要な書類の様式や枚数が異なるため、窓口のスタッフまたは会社の上司に確認してからダウンロードしましょう。

必要書類一覧

種類 必要な書類 様式
休業特別支給金 休業特別支給金支給請求書(業務災害用) 第8号
休業特別支給金支給請求書(通勤災害用) 第16号の6
障害特別支給金 障害特別支給金支給申請書(業務災害用) 第10号
障害特別支給金支給申請書(通勤災害用) 第16号の7
遺族特別支給金 遺族特別支給金支給申請書(業務災害用) 第12号
遺族特別支給金支給申請書(通勤災害用) 第16号の8
傷病特別支給金 傷病の状態等に関する届 第16号の2

申請書の書き方のポイント

① 申請書の記載内容が診断書と一致している
申請書に記入する内容は、医師の診断書と矛盾すると再提出が必要になり、審査が遅れます。
部位の間違いに注意してください。

② 状況に応じて提出書類を適切に提出する
通勤災害・労働災害で様式が異なります。労災指定医療機関かどうかでも必要書類が変わるため注意しましょう。

労災保険の特別支給金でよくある質問

労災保険の特別支給金でよくある質問についてまとめました。

特別支給金だけでも請求できますか?

基本的には、特別支給金だけの請求はできません。
特別支給金は基本給付に付随する上乗せ給付のため、基本給付とセットで申請する必要があります。

ただし、自賠責保険から休業補償が支払われている場合は、労災保険からは休業特別支給金のみ支給されます。

労災の特別支給金はいつ支給されますか?

申請から支給までの期間はおよそ1〜4ヶ月で、種類により異なります。

種類 目安期間
休業特別支給金 約1〜2ヶ月
障害特別支給金 約2〜3ヶ月
遺族特別支給金 約3〜4ヶ月
傷病特別支給金 個人差あり

労災の特別支給金はいつまで支給されますか?

種類により、1回限りと継続支給があります。

1回のみ支給 継続して支給
障害特別支給金・障害特別一時金
傷病特別支給金
遺族特別支給金・遺族特別一時金
休業特別支給金
障害特別年金
傷病特別年金
遺族特別年金

特別支給金の請求に期限はありますか?

請求期限は基本給付と同様です。

種類 請求期限
休業特別支給金 2年
障害特別支給金 5年
遺族特別支給金 5年
傷病特別支給金 時効なし

まとめ

労災保険の特別支給金は、労災保険の基本給付と合わせて受け取れる非課税の支給金です。
一人親方の場合、賞与をもとに算定するボーナス特別支給金は対象外ですが、休業・障害・遺族・傷病特別支給金が受けられます。
労災が多い建設業に従事する一人親方は、いざというときの補償のために労災保険特別加入制度に加入しましょう。

特別支給金の申請から支給までには約1~4ヶ月かかります。
必要書類や申請の流れを事前に把握して、適切に手続きを進めることが大切です。

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