休憩中に怪我をしたら労災として認められるのか気になる人もいるでしょう。
休憩中の怪我は、労災として一部認められるケースがあるものの、原則認められません。
休憩中の事故は判断が難しいため、本記事では労災が認められるケースと認められないケースについて解説します。
労災認定について詳しく知りたい人や労災の申請方法について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

Contents
休憩中の怪我は労災の対象になる?
休憩中の怪我は、労災の対象になる場合とならない場合があります。
労働基準法第34条より、休憩中は労働者が自由に行動できるとされており、労災が認定されるかどうかは事故状況によって異なるためです。
たとえ休憩場所が事業主の管理下にあっても、業務とは無関係な行動や私的な行為が原因で怪我をした場合は、労災認定されにくいでしょう。
ただし、休憩中でも職場の施設や設備などが原因の場合や、事業場内で休憩後に再び就業する場合は、労災認定される可能性があります。
休憩中の怪我が労災認定される判断基準
休憩中の怪我が労災認定される判断基準は、主に「業務起因性」と「業務遂行性」の2つです。
- 業務起因性:災害による怪我や病気が業務に起因する状況であること
- 業務遂行性:労働契約のもとに労働者が事業主の管理下にある状況で業務が行われていること
労災に該当するかの判断は、最終的に労働基準監督署が事故状況を考慮して行います。
会社や自己判断で労災認定されるわけではないため、注意してください。
業務から離れる休憩中の怪我は労災認定の判断が難しいものの、休憩中でも上記の基準を満たし、業務と関連する行為が事故原因の場合は、労災認定されやすいでしょう。
休憩中に労災として認められる事例

休憩中の怪我が労災認定されるためには、事故の原因が業務に関連するかどうかが重要です。
本章では、休憩中に労災として認められる具体的な事例について紹介します。
事業施設の階段など作業区域による災害の場合
休憩中に会社の施設や作業区域で怪我をした場合は、社内設備が原因として労災認定される可能性が高いでしょう。
主な事例は次の通りです。
- 休憩中に会社敷地内の駐車場で転倒
- 休憩中、ロッカールームへの移動時に階段で転倒
- 休憩中に書類を持って階段を降りる際に転倒
ほかにも、高所作業中の足場で作業員が昼休憩中に移動して転落した場合も、業務に起因する行動として労災認定されやすいようです。
事業施設の周囲環境により負傷した場合
休憩中であっても、次のような事業施設の周辺環境によって負傷した場合は、労災認定される可能性があるでしょう。
- 現場作業員が昼休憩中、落下した木材により頭部を負傷
- 道路の清掃作業員が、道路わきで昼休憩中に走行中の車に巻き込まれて骨折
会社や事業主には業務中の安全管理義務があり、休憩中であっても事業場施設の周囲環境を整備する義務があります。
建設現場では、作業所長や職長・作業主任者といった管理監督者は、法律に基づいた危険防止措置を講じなければいけません。
現場作業員や道路の清掃作業員が作業場内で休憩することは業務との関連性が高く、危険性のある場所で休憩させた業務環境が原因として、労災認定されやすいようです。
事業場施設内で食事中にやけどした場合
休憩中の食事によってやけどした場合、労働環境によって発生した事故とみなされ、労災認定される可能性が高いでしょう。
例えば、作業現場の休憩場で食事中に熱いスープをこぼしてやけどをしたケースが該当します。
また、社員食堂で食中毒が発生した場合も会社の施設が原因となるため、労災認定されやすいでしょう。
業務に関連するトイレ休憩や移動による怪我の場合
休憩中にトイレに行ったり、飲み物を取りに行ったりする場合は生理的必要行為とみなされます。
トイレ休憩は業務の付随行為として業務遂行性が認められ、移動する際の通路は施設設備にあたり、業務起因性も認められます。
たとえ私的行為とみられる場合であっても、業務を行ううえで必要な場面で起きた事故・怪我は、労災と認められる可能性が高いでしょう。
作業開始前に発生した事故の場合
作業開始前に発生した災害でも作業場の施設や装置が事故の原因となる場合は、業務との関連性が強く、労災認定されやすいでしょう。
例えば、ドラム缶に薪をくべて暖を取る際、石油を薪にかけて燃やし、衣服に引火してやけどを負ったという場合です。
やけどの原因となった暖房装置は事業施設内の一部であり、労働環境に含まれると考えられるため、労災認定されやすいといえます。
休憩中に労災として認められない事例
原則、休憩中の怪我は業務に関連する行動として判断されるか、事業場施設の不具合や管理不足が原因でないと労災認定されません。
続いては、休憩中の労災として認められない具体的な事例についてご紹介します。
昼休みにコンビニへ行く途中で怪我をした場合
休憩時間中の外出先での事故は、私的な行動とみなされて労災認定されない可能性が高いでしょう。
休憩中に外出した際は事業主の管理外となり、業務との関連性が認められないためです。
例えば、休憩時間に作業現場を離れてコンビニや飲食店へ行く途中に交通事故に遭った場合が該当します。
私用で外出時に負傷した場合
休憩中、私用で外出し負傷した場合も労災の対象外となる可能性が高いでしょう。
職場から離れて私用を済ませる行為は、業務と関連性があるとはいえないためです。
例えば、昼休みに職場の外へ用事を済ませに出かけた際、交通事故に遭って負傷した場合が該当します。
ただし、会社の指示の下で外出していた場合は、労災と認められる可能性があるでしょう。
軽はずみな行動によって怪我をした場合
休憩中に軽はずみな行動によって怪我をした場合は、業務とは無関係な個人的行動とみなされます。
従業員同士でふざけて遊んでおり怪我をした場合も、労災認定はされにくいでしょう。
また、個人的な恨みを持つ第三者から暴行を受けて被災した場合も業務との関連性がなく、労災の対象外となります。
軽い運動など自由行動によって負傷した場合
休憩中に、軽い運動がてら会社の屋上で同僚とキャッチボールやバレーボールなどを行い負傷した場合は、業務とは無関係の行為とみなされ、労災認定されにくいでしょう。
ただし、ボール遊び中に会社の看板が落ちてきて怪我をした場合などは、会社の施設に起因する事故として労災が認められる可能性があります。
仕事仲間との忘年会や飲み会で怪我をした場合
休憩中のほか、業務終了後の仕事仲間との忘年会や飲み会で転倒し、怪我をした場合は、基本的に業務とは無関係な私的行為と判断されます。
ただし、飲み会への参加を強制されていた場合や参加費用を会社が負担していた場合は、労災認定されることもあるでしょう。
休憩中の労災申請におけるポイント

次に、休憩中に負傷した怪我や事故で労災保険を申請する際のポイントについて解説します。
事故の状況を正確に記録する
休憩中の事故は業務との関連性が重要視されるため、事故発生時の状況や事故原因などを明確にすることが大切です。
社内や作業現場などで発生した事故は、労災認定される可能性が高いため、事故状況を正確に記録しておきましょう。
| 事故発生時の状況 | 施設内で休憩中・トイレへ移動中・昼休憩で食事中など |
|---|---|
| 事故の原因 | 床が滑りやすい・椅子が壊れていた・設備に不備があったなど |
| 目撃者 | 同僚が見ていた・監督者がいたなど |
ただし、事故の原因や怪我の発生状況が業務とは無関係で私的な行動による場合は、労災申請しても認定されにくいため注意してください。
労働基準監督署へ直接労災申請もできる
労災申請は、労働基準監督署に直接申請もできます。
休憩中の事故は業務時間外とみなされやすく、会社が私的な行動と判断し、労災申請に非協力的なこともあるようです。
しかし、労災認定の判断は労働基準監督署が行うため、休憩時間中に発生した事故でも、業務と関連することを示す証拠を提出すれば、認定されやすくなるでしょう。
提出時に労働基準監督署の窓口で事情を説明することで、申請書の事業主記入欄が空欄でも受理してもらえます。
基本的な労災申請方法
基本的な労災申請方法は、必要書類を揃えて、原則被災者が管轄の労働基準監督署に提出することです。
本章では、労災申請方法の基本的な流れや受けられる補償について解説します。
労災申請手続きの流れ
労災申請手続きの流れは、次の通りです。
- 厚生労働省ホームページ「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」から、労災保険給付の請求書をダウンロードする
- 請求書を作成して管轄の労働基準監督署長に提出する
- 労働基準監督署長による調査後に労災認定された場合、給付を受けられる
不支給決定が出た場合は、不服があれば審査請求できます。
また、労災保険法により、事業主は被災した従業員本人による労災申請手続きが難しい場合、適切にサポートすることが義務付けられています。
従業員を抱える事業主は、労災の申請方法について正しく理解しておく必要があるでしょう。
労災で受けられる補償
労災で受けられる主な補償は、次の通りです。
- 療養補償給付:治療費関連の補償
- 休業補償給付:休業した場合の補償
- 障害補償給付:後遺障害が残った場合の補償
怪我をした後の治療期間中は「療養補償給付」と「休業補償給付」を請求できます。
一定期間治療後も、後遺障害が残る場合は「障害補償給付」を請求可能です。
まとめ
休憩中の怪我が労災と認められるためには、会社の管理下において業務と事故に因果関係があることが必要です。
休憩中でも会社の管理下にある施設や設備などの環境が事故の原因である場合は、労災と認められる可能性が高いでしょう。
ただし、私的な行為によって発生した場合は労災と認められません。
休憩中の怪我は事故状況によって判断が難しく、労災認定の決定権は労働基準監督署にあります。
万が一の事態に備えて、労災認定基準や申請手続きについて理解しておきましょう。
