一人親方労災保険の「労災センター通信」

建設業で働く一人親方に健康診断は必要?検査項目や費用について解説

建設業で働く一人親方のなかには、健康診断を受けるか受けないかで迷っている方もいるでしょう。
健康診断の受診は、個人事業主である一人親方には法律上の義務付けがありません。
しかし、業務を継続するうえで、日頃から健康に気を使うことは非常に重要です。

そこで本記事では、建設業で働く一人親方に向けて、健康診断の必要性を解説します。
年代別の受診頻度の目安や健康診断を受ける方法についてもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
一人親方の健康診断

建設業の一人親方は健康診断を受ける義務がある?

建設業の一人親方には、法律上、健康診断を受ける義務はありません。

ただし、労災保険に特別加入の際は、業務の種類や過去の従事期間によって、健康診断の受診が求められる場合があります。

また、健康診断の結果によっては労災保険の特別加入が認められないこともあるため、一人親方は日頃から体調管理や健康維持を意識することが重要です。

一人親方の労災保険特別加入で、健康診断が必要な業種

一人親方の特別加入時健康診断
一人親方は通常の労災保険に加入できないため、一定の手続きを行うことで「特別加入」として労災保険に加入します。

「労災保険特別加入制度」とは、労働者を雇用しないで事業を行う一人親方や、労働者を雇用する日が年間100日未満の自営業者などが労災保険へ特別に任意加入できる制度です。

労災保険特別加入時に特定の作業に従事する一人親方は、健康診断が必要となります。

健康診断が必要な業務と従事期間は下表の通りです。

業務の種類 業務に従事した通算期間 必要な健康診断内容
鉛業務 6ヶ月以上 鉛中毒健康診断
有機溶剤業務(屋内) 6ヶ月以上 有機溶剤中毒健康診断
振動工具使用の業務 1年以上 振動障害健康診断
粉じん作業を行う業務 3年以上 じん肺健康診断

参考:厚生労働省資料「特別加入の加入時健康診断対象業務」

健康診断証明書を提出しなかったり虚偽の申告をしたことが発覚したりすると、労災保険への加入が認められません。

関連記事:一人親方の労災保険への特別加入は義務?加入のメリットや申請方法を解説

建設業で働く一人親方にこそ健康診断が必要な理由

特定の作業に従事する場合を除き、一人親方には健康診断を受ける義務がありません。

しかし、特定の作業に従事しているいないにかかわらず、自身の健康状態が収入に直結する一人親方は健康診断を自主的に受けるべきでしょう。

建設業で働く一人親方にこそ健康診断が必要な理由について解説します。

自己責任で健康管理しながら仕事を続ける必要があるため

一人親方は、仕事を続けるうえで健康管理をすべて自己責任で行う必要があります。

会社員の場合は、事業者が定期的な健康診断の受診を促すように労働安全衛生法で定められていますが、一人親方にはそのような仕組みはありません。

そのため、自主的に健康診断を受けることが重要です。

定期的な受診で身体の状態を把握しやすくなり、健康意識の向上や生活習慣の見直しにつながります。

結果として長く安定して仕事を続けられるので、収入面でもプラスに働くでしょう。

健康を損なうと収入がゼロになるリスクがあるため

会社員ならば体調不良時に有給休暇で休養できるほか、治療が長期化した場合には傷病手当金が支給されますが、一人親方が健康を損なうと就業できなくなり、事業の継続や収入の確保が難しくなるおそれがあります。

傷病手当金は、業務外の病気やけがで働けなくなった際に、最長1年6か月にわたり標準報酬日額のおおむね3分の2が支給される制度です。

一方、一人親方にはこうした所得補償制度が原則としてなく、健康状態の悪化がそのまま収入減少につながります。

そのため、一人親方は定期的に健康診断を受け、日頃から体調管理を徹底することが重要です。

建設業は労災リスクが高いので、万が一の際の備えとして、給付基礎日額の8割が補償される労災保険への特別加入をすると安心でしょう。

セルフメディケーション税制の適用条件のため

健康診断を受けることは、健康の維持増進のための取り組みとみなされて「セルフメディケーション税制」が適用されます。

セルフメディケーション税制とは、対象となる医薬品購入費用の一部が、所得から控除される医療費控除の特例制度です。

申請は、紙か電子で申請書を記入して確定申告時に行いますが、医療費控除との重複申告はできません。

建設業の一人親方が健康診断を受ける最適な頻度

建設業の一人親方が健康診断を受ける最適な頻度や目安について解説します。

20代の場合は20代中盤で1回

20代は健康診断や人間ドックの必要性を感じにくい年代ですが、知らないうちに体調や数値に異常が生じているケースもあり、自覚症状がなくても、20代中盤を目安に一度は健康診断を受けることが大切です。

特に一人親方は自己管理が基本となるため、25歳前後で基本的な検査項目を含む健康診断を受け、自身の健康状態を把握しておくと安心です。

30代の場合は2~3年に1回

30代の一人親方は、2~3年に1回を目安に健康診断を受けるとよいでしょう。

30代は、生活習慣の影響が現れ始め、がんを含むさまざまな病気のリスクが徐々に高まってくる年代で、定期的に健康診断をして体の変化を確認することが大切です。

40代の場合は1~2年に1回

40代の一人親方は、1~2年に1回を目安に健康診断を受けるとよいでしょう。

40代は、がんをはじめとした重大な疾病のリスクが高まり、健康上の変化が現れやすい年代です。

基本的な検査に加え、ピロリ菌抗体検査やがん検診も受けておくと安心です。

参考:厚生労働省「早期発見・早期治療につなげるために 正しく知ろう!がん検診」

建設業の一人親方が健康診断を受ける際の注意点

一人親方の健康診断の注意点
建設業の一人親方が健康診断を受ける際の注意点について解説します。

予約を早めに取って検査前の制限を守る

健康診断を受ける際は、早めに予約を取ると希望の日程で受診しやすくなります。

また、前日は食事時間などに制限がある場合も多いため、事前に注意事項を確認しておくことが大切です。

当日は、食事や飲酒などの検査前の制限を守るとスムーズに受診できるでしょう。

一人親方が受ける健康診断費用は経費にできない

一人親方が受ける健康診断費用は、受診が法律で義務付けられていないため、経費にできません。

また、青色事業専従者にしている家族の健康診断費用も経費にできないため、注意しましょう。

ただし、従業員を雇用する一人親方や法人化している一人親方は、従業員分の健康診断費用を経費として計上できます。

雇用している従業員の健康診断受診が法律で義務付けられているためです。

年齢や性別で必要な検診項目が異なる

一人親方が健康診断を受ける際は、年齢や性別で必要な検診項目が異なる点に注意しましょう。

健康診断では基本的な検診項目のほか、特定の年齢や性別の方が特別に受けるべき検診項目があります。

例えば35歳の方は、貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査などが労働安全衛生法で定められています。

一人親方は労働安全衛生法に則って受診する必要はないものの、可能であれば検診項目を追加して受診するとよいでしょう。

女性の場合は、子宮頸がんやマンモグラフィーなどの検診が定期的に必要です。

一人親方が健康診断を受ける方法

一人親方が健康診断を受ける方法について解説します。

地方自治体が行う一般健康診断

一般的に、国民健康保険に加入している一人親方は、自治体が実施する特定検診やがん検診を利用できますが、自治体の健康診断は受診人数に制限があり、指定の日程や場所に合わせて、自身の仕事のスケジュールを調整する必要があるでしょう。

一般的な健康診断に比べて安価に受診できるほか、自治体によっては無料で健康診断を行っているケースもあります。

ただし、尿検査・血圧測定・血液検査・レントゲン検査などの基本検査のみの実施が一般的です。

とはいえ、年齢や性別によっては検査が詳細に受けられる場合もあるので、お住まいの自治体に確認するとよいでしょう。

病院やクリニックが行う人間ドック

一人親方は、病院・クリニック・健診センターで行われる人間ドックでも健康状態を検査できます。

人間ドックは検査やサービス内容が地域や医療機関ごとに異なりますが、検査項目が豊富なので詳しい検査で疾病を早期発見できる可能性があるでしょう。

ただし、人間ドックは健康保険の対象外で、検査費用を自己負担しなければなりません。

病院によって異なるものの、費用相場は3万~10万円前後 と高額です。

建設連合国民健康保険組合が行う特定検診

建設連合国民健康保険組合に加入している場合、40~74歳は特定健診を年1回、無料で受けられます。

無料歯科検診やインフルエンザ予防接種の費用補助も利用できるため、積極的に活用するとよいでしょう。

建設業の一人親方が受ける健康診断に関するよくある質問

建設業の一人親方が受ける健康診断に関するよくある質問についてまとめました。

健康診断での必須項目は?

健康診断での必須項目は次の通りです。

  • 問診(既往歴、業務歴など)
  • 自覚症状、他覚症状の検査
  • 身体測定(身長、体重、視力、腹囲)
  • 視力と聴力(1,000、 4,000Hz)検査
  • 胸部X線検査、喀痰検査
  • 血圧測定
  • 血液検査(貧血、肝機能、血中脂質、血糖など)
  • 尿検査(糖、蛋白)
  • 心電図検査

参考:厚生労働省「一般健康診断の項目一覧表」

医療機関によっては、希望に応じてがん検査やバリウム検査などのオプション項目も追加できます。

必須項目に加え、自身の健康状態や年齢などを考慮しながら、必要に応じてオプション項目の追加を検討しましょう。

自営業の一人親方が健康診断を受けないとどうなる?

自営業の一人親方が健康診断を受けないと、次のリスクを生じるおそれがあります。

  • 病気が進行するまで気付かない
  • 健康問題が生じて家族に負担をかける
  • 治療費の負担が大きくなる

定期的に健康診断を受けることで、病気の早期発見や生活習慣病を予防できるでしょう。

生命保険や医療保険の契約時、事業ローン申請時に健康診断結果を求められる場合もあるため、健康診断は受けたほうが安心です。

個人事業主は健康診断を無料で受けられる?

個人事業主は、基本的に健康診断を無料で受けることはできません。

ただし各自治体では、国民健康保険の加入者向けに無料または1,000円程度で受診できる健康診断を実施しています。

健康診断費用を抑えたい個人事業主は、自治体が行う安価な健康診断を選択するとよいでしょう。

また、特定の作業に従事する一人親方で労災保険に特別加入を希望する場合は、加入時健康診断の費用は国の負担です。

まとめ

建設業で働く一人親方は、健康診断を自主的に受診することで健康を維持しやすくなります。

特定の作業に従事する一人親方以外が健康診断を受ける法的義務はありませんが、定期的に健康状態を確認することは安定した収入を得つづけることにつながるでしょう。

自治体が実施する健康診断は、必要最低限の検査項目を無料または安価に受診できるため、一人親方に適しています。

健康診断の結果を活用して生活習慣を改善し、より充実したライフスタイルを実現しましょう。

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