一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方は開業届を出さないといけない?理由と手順を解説

「一人親方は、開業届を提出しないといけないの?」
「開業届を提出すると、なにかメリットはあるの?」
「どんな手順で開業届を提出すればいいの?」

一人親方として独立した方や、独立を予定されている方のなかには、開業届をどうすべきか迷っている方が多いのではないかと思います。開業届の提出は、未経験の方にとってかなり面倒で、手がかかるもののように思えるでしょう。

この記事では、一人親方労災団体として労災保険への加入をサポートしている「一人親方団体労災センター」が、開業届の概要・メリット・提出方法について解説します。

一人親方の開業届の書き方は難しい?

「開業届」(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」)とは、個人事業の開業や事務所の新設・移設などを、税務署に報告するための書類です。一人親方は個人事業主にあたるため、事業を開始する際や廃業する際などに、開業届を提出します。つまり、開業届を提出することで、社会的に事業者として認められることを意味します。
開業届のような法的手続きは、手間・負担がかかりそうな印象をもたれるかもしれません。しかし、手順さえ知れば、開業届は比較的簡単に提出できます。
後の章で詳しくご紹介しますが、郵送やインターネット手続きでも対応が可能であるため、事業の合間に提出することも十分に可能です。

一人親方の開業届の提出には、かかる手間以上の大きなメリットがあります。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm?sd=Z28

参照:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

 一人親方の開業届は確定申告に必要?

社会的に、事業主として認められない状態である際には、開業届を提出すべきです。それ以上に重要な点は、開業届には実用的なメリットがある点です。この章では、特にメリットが大きく感じられる、確定申告時についてご紹介します。

青色申告ができるようになる

一点目のメリットは、開業届を提出することで、確定申告時に「青色申告」ができるようになることです。

「青色申告」は、確定申告時に、最大65万円の特別控除が受けられる申告制度です。
※一人親方を含む個人事業主の確定申告は、白色申告と青色申告の2種類があります。

誰でも利用できる白色申告の最大控除額は、48万円です。つまり、事業によって収益が得られたとき、収益の中から税金を納めなくてはなりません。
該当する年度の収益を報告し、納める税金の額を確定する目的で確定申告をおこないますが、控除が適用されると控除額の分だけ、課税対象額を収益からマイナスできます。控除額が大きいと、支払わなければならない税金が安くなります。

プライベートと事業の口座を分けられる

開業届を提出することで、屋号での口座開設が認められるようになります。その結果、プライベートと事業の口座をそれぞれ別々にして、お金の流れを把握しやすくできます。また、青色申告により最大65万円の特別控除を受けるためには、確定申告時に「賃借対照表」を提出しなくてはなりません。口座を別々にしておくと、出金と入金が一目瞭然であるため、記帳が楽になります。さらには、開業届提出により、屋号でのクレジットカード作成も可能です。事業者向けのクレジットカードを作成することで、お金の流れをさらにわかりやすくすると同時に、利用限度額が個人向けのカードよりも大きいことや、限定特典が多いことなどのメリットがあります。

一人親方が持続化給付金を受けるには開業届けが必要?

「持続化給付金」は、感染症拡大により大きな被害を受けた事業者に対して、行政機関から支給された給付金制度です。
新型コロナウイルスの被害拡大のため、2021年3月時点ではこれまで過去2回、中小企業や個人事業主を対象とした、持続化給付金が行政から出されました。
一人親方の場合、給付額は最大100万円です。持続化給付金を受けるためには、感染症拡大により「50%以上収入が減少した月がある」などの条件がありますが、そもそもの条件として開業届を提出していなければ、対象者にはなりません。

今回の持続化給付金は2021年2月に受付を終了しましたが、今後の感染症の状況によって、同様の給付金が展開される可能性はあります。
望ましいことではありませんが、別の災害や天災など、何がおこるかわからないのが現状です。いざというときに、行政から適切な処置を受けられるようにするためにも、社会的に事業者として認められる必要があります。そして、そのために最低限必要な手続きが、開業届の提出です。

一人親方が開業届を提出する手順

一人親方が開業届を提出する手順は、大きく分けて2つあります。
それぞれの手順を、簡単に解説します。

税務署にて申請

開業から1か月以内に開業届を作成して、納税地を管轄する税務署に提出します。提出する書類は、以下のとおりです。

  • 開業届
    →開業届は、国税庁のホームページもしくは税務署窓口にて入手できます。
  • マイナンバーカード
    →マイナンバーカードを持っていない方は、
    ・番号確認書類(「通知カード」もしくは「住民票の写し、または住民票記載事項証明書」)
    ・本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)

開業届は、フォーマットに従って、必要事項を記入するのみでOKです。
(氏名・生年月日・住所・職業・届け出の区分・所得の種類・開業日など)

税務署の受付時間は、平日8:30~17:30ですが、営業時間外であっても時間外収受箱に投函すれば提出可能です。

開業支援ソフトを使用する

「開業freee」や「マネーフォワード開業届」などの開業支援ソフトを使って、開業届を提出することも可能です。具体的なサービスによって利用規約などは異なりますが、上記の2サイトは無料で利用できます。
これらのソフトを利用する主なメリットは、以下の点です。

  • フォーマットの指示に沿って、入力していけば完成するため、迷わずに書類作成できる
  • 税務署に足を運ばなくても、オンラインで手続きが完了する
  • 青色申告の申請など、その他の申告業務のサポートも受けられる
    (青色申告は、デジタルで申請すると、控除の上限がアップします=デジタル申請:65万円/紙での提出:55万円)

冒頭にお伝えしましたように、開業届の手続きは簡単かつ手軽です。

まとめ

一人親方として事業をスタートさせたら、1か月以内に開業届を提出しましょう。開業届を提出することで、法的・社会的に事業者として認められます。
その結果、得られる具体的なメリットは、次のとおりです。

  • 確定申告の際に、特別控除による優遇額の大きな青色申告が受けられる
  • 銀行口座やクレジットカードなどを、プライベート用と事業用とで分けられる
  • 事業主を対象とした補助金や給付金を受ける際に、開業届を提出済みであることが要件とされる

開業届の申請は、とても手間がかかりそうな印象をうけるかもしれませんが、既定の書式に沿って必要事項を記入し、添付書類を添えて提出するだけです。開業支援ソフトなどを利用されると、税務署に行かなくてもスムーズに手続きできますので、ぜひお早めに手続きを進めてください。

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