造園業で独立するメリットは、年収アップや自由な働き方の実現などを狙えることです。
しかし、スキルを極めたりケガや病気のリスクに備えたりしなければ失敗する恐れがあるため注意が必要です。
本記事では、造園業で独立するのに知っておきたい5つのポイントを解説します。気になる年収や資格についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
造園業で独立するメリット
造園業で働く方の中には、経験や技術を活かして独立しようと考える方も多いでしょう。独立することで、以下の3つのメリットが期待できます。
- 年収アップが狙える
- 自由な働き方ができる
- 定年がなく元気な限り続けられる
ここでは、それぞれのポイントを解説します。
年収アップが狙える
造園業で独立するメリットの1つは、会社員と比較して年収アップが狙えることです。
造園業で独立すると、平均年収は600~800万円ほどだといわれています。中には、事業を拡大して年収1,000万円を目指す方もいます。
造園業の平均年収は400万円前後で、キツイわりに給料は安いと考える方も少なくありません。しかし、独立して一人で働くようになると、支払われた料金はそのまま自分の収入になります。
数多くの案件をこなして、頑張り次第で年収アップが狙えるのは魅力的です。
自由な働き方ができる
造園業で独立すると、会社員とは違って自由な働き方ができるメリットも得られます。
独立後は自分自身で営業をして仕事を獲得するため、仕事量やスケジュールの調整がしやすくなります。単価交渉や顧客選びも自由に行えるようになり、会社員よりもストレスの少ない生活を送れると感じる方もいるでしょう。
例えば、「生活に困らない程度の収入でもよいからプライベートを充実させたい」「たくさんの案件をこなして稼ぎたい」など、目標に合わせて働き方を調整できます。中には、繁忙期に仕事量を増やして、閑散期はゆっくり休む方もいます。
定年がなく元気な限り続けられる
造園業で独立すると、定年を気にすることなく元気な限り仕事を続けられるメリットがあります。
「人生100年時代」といわれる昨今、定年を過ぎてからも働きたいと考える方は多くいます。この点で、他の職種と比較して高齢になっても作業できる造園業は魅力的です。
造園はたいへん奥深く、経験や技術力のある熟練の職人が好まれる傾向にあります。造園業では年齢を重ねることで熟練職人として認められるようになり、80歳を超えても現役で活躍している職人は多くいます。
造園業の仕事内容と必要な道具
造園業は、簡単にいうと庭を造る仕事です。主な作業には、以下のようなものがあります。
- 植木や花などの植え付けを行う「植栽業務」
- 植木の手入れを行う「剪定業務」
- 庭園や庭スペースを作り上げる「造園業務」
一般家庭の庭だけでなく、公園・公共施設・道路・店舗など、さまざまな所から仕事を依頼されます。近年では、洋風建築のガーデニングや、商業施設でエンターテイメント性のある要素が求められるケースも増えています。
造園業で必要な道具は数多く、そのうちのいくつかを挙げるなら以下のようなものがあります。
- 剪定鋏
- 刈込鋏
- 植木鋏
- スコップ
- エンピ
- コヤスケ
- 石頭ハンマー
- 防草用シート
- ほうき
- ゴミ袋
造園業を営むには、これらの道具のほかにクレーン付きのトラックや軽トラックなど車両が必要になります。
造園業で独立するには?知っておきたい5つのポイント
造園業で独立するのに、知っておきたいポイントが大きく5つあります。
- 修行を積んで技術を身に付ける
- 開業資金や倉庫を準備する
- 開業届など各種手続きを行う
- 丁寧な仕事と営業を欠かさない
- 資格取得でアピールする
いずれも独立後に失敗しないために重要なポイントであるため、しっかりと押さえておきましょう。
修行を積んで技術を身に付ける
造園業で独立するには、修行を積んで技術を身に付ける必要があります。
造園業者になるのに特に資格は必要ありません。造園の求人に申し込むことで、未経験でも仕事をはじめられます。また、通信講座などを活用して造園についての知識を得ることも可能です。
しかし、独立して仕事を請け負うには、ある程度の経験と技術が求められます。そこで、親方の元で修業を積み、独立するのに必要な経験と技術を磨く必要があります。
修行中は、技術だけでなく営業のコツや人脈作りをしておくと、独立後の集客に役立つでしょう。
開業資金や倉庫を準備する
造園業で独立する前に、開業資金や倉庫を準備する必要があります。
ほかの職種と比較して、造園業はそれほど多くの開業資金は必要ないといわれています。作業に必要な道具は、現時点で使用しているものをそのまま使えるかもしれません。新たに道具を調達したい場合も、比較的安価で購入できるでしょう。
しかし、車両を所有していない、および事務所・倉庫を借りなければならない場合は、ある程度のまとまった資金が必要です。作業で発生したゴミや廃材を保管する倉庫は必須なため、事前に十分なスペースを確保しておきましょう。
また、法人化して従業員を雇う場合は、手続きにかかる費用や数か月分の給料を開業資金として準備しておく必要があります。
開業届など各種手続きを行う
造園業で独立する際は、開業届など各種手続きを行う必要があります。
開業届は、個人事業主として事業をはじめることを報告するための書類で、事業を開始してから1か月以内に税務署へ提出するよう定められています。提出する書類は、最寄りの税務署か国税庁の公式サイトから入手可能です。
記入項目には「屋号」があり、必須ではありませんが、屋号を使用することでプライベートと仕事を区別したり、営業の際に覚えてもらいやすかったりするメリットがあります。また、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出するなら、確定申告の際に節税対策ができます。
丁寧な仕事と営業を欠かさない
造園業で独立してからは、丁寧な仕事と営業を欠かさないことも大切なポイントです。
造園の仕事は、基本的に草木が伸び続ける限りなくなりません。丁寧な仕事をすることで、リピーターを獲得するチャンスになり、良い評判がさらに多くの顧客獲得につながると期待できます。
また、会社員のときは営業担当者がいましたが、独立してからは作業と同時に営業の仕事も行わなければなりません。口コミ評判も大事ですが、新規顧客の獲得を目指して、ホームページの作成やSNSで発信するなど、自ら積極的に営業活動に取り組みましょう。
仕事があってこそ独立した意味があります。営業が難しく最初の壁になるケースが多いですが、独立後の成功を左右する最も重要なポイントといっても過言ではありません。
資格取得でアピールする
造園業で独立する際は、資格取得でアピールするのも効果的です。造園の仕事に資格は特に必要ありませんが、独立して仕事を獲得する際に、資格は他社と差別化を図り、自分の技術をアピールする材料になります。
造園業に関連する資格には、以下のようなものがあります。
- 造園技能士
- 造園施工管理技士
- 樹木医
- 園芸装飾技能士
- 測量士
造園業で独立する際の注意点
造園業で独立することには、デメリットもあるため注意が必要です。ここでは、独立する際の注意点を3つご紹介します。
天候の影響を受けやすい
造園業で独立する際の注意点として、天候の影響を受けやすいことが挙げられます。
造園業は基本的に屋外で作業を行うため、天候次第では仕事が中止になるケースも発生します。特に、大雨・台風・雪など悪天候が続く時期は、作業が滞ってしまうでしょう。その結果、スケジュールの調整が難しくなったり、売上に影響を及ぼしたりする場合もあります。
仕事量が天候に左右されるため、収入が安定しないのもデメリットです。
事務作業も自分で行う必要がある
造園業で独立すると、事業に必要な作業をすべて自分でこなさなければなりません。
会社では事務スタッフがいて、見積もりや領収書の作成、その他さまざまな雑用をやってくれました。しかし、独立後は今まで気づかなかったような細かい仕事も発生するため、思っていたよりも忙しいと感じるかもしれません。
雑務に追われて本業がおろそかにならないよう、事務作業はアウトソーシングを活用するなど、事前に対策を考えておきましょう。
ケガや病気のリスクがある
造園業で独立する際に、ケガや病気のリスク対策も重要なポイントです。
背の高い樹木の剪定では、脚立やはしごを使って作業をするケースも考えられます。また、刃物や機械を使用する際に、誤ってケガをする可能性があります。炎天下や寒い日も屋外で作業するため、体調を崩してしまうこともあるでしょう。
ここで問題となるのは、独立すると労災保険が使えなくなることです。労災保険は、原則として労働基準法により定められている「労働者」を対象としています。個人事業主は労働者に当てはまらないため、労災保険の対象外です。
ケガや病気にかかると、療養費は全額負担しなければならず、休業中は収入が減ることになります。
そこで、一人親方労災保険に加入して、労働災害時に必要な補償が受けられるようにしておくことは大切です。一人親方労災保険についてのご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください!
まとめ
造園で独立するメリットや、独立する際に知っておきたい5つのポイントをまとめました。
独立することで、年収アップや自由な働き方が手に入れられる一方、屋外での作業は天候の影響を受けやすいことや、事業に関係するさまざまな雑務を一人でこなさなければならいなどの注意点もあります。
独立して失敗しないために、5つのポイントをしっかりと押さえて準備しましょう。また、ケガや病気のリスクに備えて、一人親方労災保険に加入しておくと安心です。