一人親方労災保険の「労災センター通信」

一人親方の単価はいくら?単価を上げる方法や案件受注時の注意点を解説

一人親方として働くうえで、1日あたりの単価はどのように決まるのかが気になる人もいるでしょう。
個人事業主として働く一人親方にとって、高単価の案件を受注できることは収入アップのために大きなメリットです。

今回は、一人親方の単価相場や単価が高い職種や現場をランキング形式で解説します。
一人親方が単価を上げる方法や、案件を受注する際の注意点について知りたい方は本記事を参考にしてください。

一人親方の単価相場はどのくらい?

東京都を対象にした全建総連東京都連「2024年賃金調査報告書」によると、一人親方の単価は2万3,049円です。
常用の場合は1万8,131円、手間請の場合は2万3,659円となっており、どちらも前年より増加しています。

一人親方の単価(日当)ランキング【現場別編】

同調査における一人親方の単価(日当)ランキングを現場別に一覧表へまとめました。

順位 現場別 1日あたりの賃金
1 商社・メーカー 2万7,900円
2 地元中小ゼネコン(建築) 2万6,157円
3 プラント 2万5,833円
4 大手住宅企業 2万4,696円
5 リフォーム・リニューアル会社・大型量販店 2万4,701円
6 そのほか 2万4,686円
7 不動産建売会社 2万4,117円
8 大手ゼネコン(建築) 2万3,189円
9 地元中小住宅企業 2万2,875円
10 複数の仕事先 2万2,578円
11 設計業者からの仕事 2万2,212円
12 施主から直接請 2万2,058円
13 デベロッパーからの仕事 2万1,667円
14 町場の大工・工務店 2万1,546円
15 ゼネコン(土木) 1万9,667円

出典:全建総連東京都連「2024年賃金調査報告書 」

東京都を対象にした一人親方で1日あたりの賃金が高い現場のベスト3は、商社・メーカー、地元中小ゼネコン(建築)、プラントです。
上記現3つの場の単価は2万5,000円以上となっています。

一人親方の単価(日当)ランキング【職種別編】

一人親方の単価(日当)ランキングを職種別に一覧表へまとめました。

順位 職種別 1日あたりの賃金
1 配管 2万4,771円
2 防水 2万4,331円
3 設備 2万4,193円
4 土木 2万3,429円
5 内装 2万2,763円
6 電工 2万2,756円
7 大工 2万1,696円
8 塗装 2万1,349円
9 左官 2万268円
10 とび 1万8,071円

出典:全建総連東京都連「2024年賃金調査報告書 」

東京都を対象にした一人親方で1日あたりの賃金が高い職種のベスト3は、配管、防水、設備で2万4,000円台となっています。

一人親方の単価の決め方

一人親方の単価は「基本技能の評価」と「必要経費」を総合的に判断して決定します。
基本技能には、技能検定等級や保有資格、実務経験年数、デジタル関連スキルの有無も関わり、技能の数値化には、特殊工法の施工件数や完工件数、顧客満足度などが重要な評価指標となるでしょう。

若手職人の場合は「基本技能の習得度合い」と「実務経験年数」を基準に技能の向上に応じて段階的に引き上げられるのが一般的です。
1~3年の見習い期間は標準単価の60~70%、4~5年の経験年数では一人前に近く、80~90%の水準が目安です。

また、事業に必要な経費として、社会保険料や工具維持費、車両費、通信費などを適切に計上することも重要となります。

一人親方が単価設定する際のポイント

一人親方が単価設定する際は、運営に直接関わるコストや間接的なコスト、税金や社会保険料やトラブルに備えた予備費用を考慮することが大切です。

材料費や工具の購入費用や人件費などの運営コストは変動するため、急な材料価格の変動や予想外のトラブル対応に備えて、予算に余裕を持たせましょう。

また、税金や健康保険や年金などの社会保険料も必要で、運営にかかる事務所の賃料や光熱費、通信費、保険料などの間接的なコストを継続して管理することも重要です。
単価設定する際は、施工実績を集計し、工期短縮率や補修発生率などを算出したデータを用いて、見積もりを行いましょう。

単価設定の参考となるデータ

民間工事と公共工事で単価は異なるため、国土交通省が毎年発表する「公共工事設計労務単価」 の調査データが単価設定の参考になります。

「公共工事設計労務単価」とは、主要12職種の全国の公共工事を対象に各職種の労務単価を調査した結果を公表するものです。
令和7年3月から適用され、公共工事費の計算や民間工事の単価設定の参考として広く活用されています。

常用単価と請負単価の違い

雇われ一人親方の場合、役職によって単価が決まっていることが多く上限以上に稼ぐことが難しいため、独立して働く一人親方の単価が高い傾向にあります。

独立した一人親方の場合、単価の目安はあるものの、技術や経験値が高いと直接に単価を交渉できるメリットがあります。
特に大工や鳶職人は、独立した方が実力次第で稼げるといわれているようです。

常用単価と請負単価の違いについて解説します。

常用単価は時間に応じた報酬

常用単価とは、雇用されて働く労働者個人に対する1日あたりの対価のことです。
1日8時間労働を基準に、基本給や時間外・休日・深夜労働手当などの各種手当、賞与、社会保険料、退職金積立金などの要素によって構成されます。

常用単価は「労務単価」や「日当」ともいわれ、年々変化して地域や職種によって大きく異なるため、単価の目安をおさえておくとよいでしょう。

請負単価は成果に応じた報酬

請負単価は、特定の作業や工程全体に対する成果に応じた報酬のことで、期限内に仕事を完成させることが求められます。
一般的に、独立した一人親方が得られる報酬は請負単価です。
人件費のほかに材料費や経費なども含まれるため、請負単価の方が常用単価よりも高い傾向にあるようです。

一人親方の単価を上げる方法

一人親方の単価設定には、資格取得や最新技術の習得状況も重要な判断材料となります。
一人親方の単価を上げる方法について解説します。

スキルや経験を積み実績を残す

一人親方は、着実にスキルや経験を積んで実績を残すことでより高い単価での受注が期待できるでしょう。
建設業界では経験が重視されることから、実績が多く難度の高い工事の成功経験がある場合は、顧客からの信頼を得やすいといえます。
一人親方が経験値を高めるためには、積極的に新しい建設技術への挑戦や高度な技術を習得して、スキルを向上させることが重要です。

顧客との信頼関係を構築して単価アップを交渉する

一人親方は、顧客との信頼関係を構築して口コミでリピート客を得ることが大切です。
仕事への姿勢や顧客満足度の高さによって元請会社との信頼関係を構築し、交渉次第でより高い単価での契約や多くの仕事をもらえる可能性が高まるでしょう。

単価アップを交渉するうえで、職種別の単価相場や地域別の平均単価を把握していると、目安が分かりやすくなります。
また、自分が提供できるサービスを適切に分かりやすく説明できる営業スキルを養うことも必要です。

資格を取得してキャリアの幅を広げる

国家資格や特殊な資格を保有している場合、資格手当が常用単価に加算される場合があるため、収入アップにつながります。
資格を取得すると特定の技術や経験、知識を持つ証明となるため、責任ある立場での仕事が増え、単価を上げられます。
資格を取得してスキルアップを目指し、キャリアの幅を広げて活動するとよいでしょう。

常用単価アップが期待できる資格

単価アップが期待できる資格は、以下の通りです。

大工 建築大工技能士・建築施工管理技士・建設機械操作資格
電気工事士 電気主任技術者・認定電気工事従事者・電気工事施工管理技師・特殊電気工事資格
塗装工 塗装技能士・建築施工管理技士・一級土木施工管理技士
内装工 内装仕上技能士・建築施工管理技士
配管工 管工事施工管理技士・建築設備士

高単価な職種に変更する

現在の職種に近い領域の高単価な職種に変更することで対応できる仕事が増えて、収入アップを狙えるでしょう。
仕事内容によってスキルが異なるため、難度の高い業務や特殊技術が必要な案件では単価が高くなります。
ただし、未経験の職種の場合は見習い期間が発生し、一時的に収入が下がってしまう可能性があるため、注意してください。

好条件の案件や繁忙期や高単価な地域を狙って働く

短期契約や緊急性の高い案件は、通常単価に割り増しされた単価設定が可能なため、収入アップが期待できます。
一方で長期案件は、単発の案件に比べて作業日数が多いため、継続して報酬を得られるでしょう。

また、繁忙期となる年度末や夏季は、単価が上がりやすい傾向にあります。
都市部では生活費や物価が高く、単価も高い場合が多いでしょう。
常用単価も地域ごとに異なるため、高単価な地域を狙って働くことも収入アップのコツといえます。

一人親方が案件を受注する際の注意点

一人親方が案件を受注する際の注意点について解説します。

一人親方が常用契約を締結すると違法

個人事業主である一人親方が常用契約を締結すると違法となるため、注意が必要です。
建設業では、業務を行う場合に労働者を派遣することが法律で禁じられているためです。
一人親方が仕事を受ける際は、請負契約や業務委託といった形式で業務を受注しましょう。

常用契約とは、会社と雇用契約を結び労務費相当が支払われることです。

ただ、雇用契約を結ばない請負契約や業務委託による仕事でも、派遣社員と同じ働き方と判断された場合は違法となります。
これは偽装請負という違法就労にあたり、最悪の場合は建設業許可が取り消しになる可能性があるため、契約内容を事前に確認しましょう。

保険に加入していないと仕事を受注できない可能性

一人親方は、単価が高い案件を受注できたとしても保険に加入していないと現場入りできない可能性があります。
一人親方の代わりはいないため、労災保険の特別加入制度を利用し、病気やケガに備えることが大切です。

一般的に、請負契約では事業者が社会保険料や労災保険料を負担する義務はないため、一人親方自身で保険料を納付する必要があります。

ただし、一人親方が労働者として働く場合は、事業者側に社会保険料を負担する義務が生じるため、契約時に保険料の負担が含まれていることを確認しましょう。

まとめ

全建総連東京都連「2024年賃金調査報告書」によると、東京都を対象にした一人親方の単価は2万3,049円です。
独立している一人親方は実力次第で単価アップ交渉もできるため、積極的にキャリアの幅を広げることが重要です。
単価を上げるためには地道にスキルや経験を積んで実績を残し、高単価な職種への変更を狙い、有利な資格を取得しましょう。

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