一人親方労災保険の「労災センター通信」

うつ病で休職!傷病手当金と労災保険のどっちを活用すべき ?

うつ病で働けなくなったとき「傷病手当金と労災保険のどちらを使えばよいのか?」と悩む方もいるでしょう。
どちらも収入の減少を補う制度ですが、対象となる原因や受けられる補償は大きく異なります。

本記事では、傷病手当金と労災保険制度の違いやメリット・デメリット、うつ病の際にどちらを利用すべきかについて解説します。
うつ病で働けないときに利用できる制度について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

うつ病になったとき傷病手当金と労災保険はどっちがお得?

うつ病で休職する場合、傷病手当金と労災保険のどちらが適しているかは、状況によって変わります。

例えば、業務外の要因が大きい場合は、手続きが進めやすく支給も比較的早い傷病手当金を利用するケースが一般的です。

一方、長時間労働やパワハラなど、仕事が影響していると考えられる場合は労災保険を検討するとよいでしょう。

両制度の特徴を理解し、自分の状況に合った選択をすることが大切ですが、傷病手当金と労災保険を自由に選べるわけではない点には注意が必要です。

傷病手当金のメリット・デメリット

傷病手当金のメリットとデメリットは、下表のとおりです。

区分 内容 説明
メリット 支給までが比較的早い 審査の期間が短く、数週間程度で給付の始まるケースが多い
メリット 申請の負担が少ない 仕事が原因かどうかの証明は不要で、必要書類がそろえば認定されやすい
メリット 会社の協力が得やすい 業務外のけが・病気が対象のため、会社側の責任を問われず協力が得られやすい
メリット 労災と並行して申請できる 後から労災が認められれば切り替え可能で、受給の空白が出にくい
デメリット 労災より給付額が少ない 支給が給与の3分の2なので、5分の4の労災保険より少ない
デメリット 支給期間が限定されている 最長でも1年6ヶ月で終了するため、療養が長引くと不足する可能性がある

労災保険よりも申請がしやすく支給までは早いですが、給付金が少ないという特徴があります。

労災保険のメリット・デメリット

労災保険のメリット・デメリットは、下表のとおりです。

区分 内容 説明
メリット 給付額が手厚い 休業補償給付60%+特別支給金20%で、実質80%が支給される
メリット 治療費の自己負担がゼロ うつ病の治療費を全額負担してもらえる
メリット 長期間の支援が可能 医師の診断が続く限り原則として無期限で給付され、長期療養に対応できる
メリット 後遺症にも対応 うつ病により障害が残った場合は、障害補償給付を受けられる可能性がある
デメリット 認定まで時間がかかる 業務起因性を裏付ける証拠が必要で、審査に時間がかかる
デメリット 職場との関係が悪化する可能性がある 会社が非協力的な場合や申請過程でトラブルが生じる可能性がある
デメリット 認定されないリスクがある 精神疾患の労災は審査が厳しく、申請しても不支給になるケースがある

労災保険は傷病手当金よりも給付額が高く、治療費の自己負担がないというメリットはありますが、認定まで時間がかかり、申請しても認定されないリスクがある点は念頭に置いておきましょう。

傷病手当金と労災保険の違い

傷病手当金と労災保険は、いずれも病気やけがによって働けなくなった場合に、収入面を支えるための制度です。

傷病手当金は健康保険制度から、労災保険は労災保険制度から支給されます。

どちらの制度を利用できるかは、発症や負傷の原因が業務によるものかどうかで異なるため、本章では両制度の基本的な違いについて解説します。

傷病手当金

傷病手当金は、従業員が仕事とは関係のない理由で体調を崩して働けなくなった場合に健康保険から給付される補償です。

業務や通勤以外で生じた病気やけがが対象となります。

うつ病のように、仕事だけでなく私生活のストレスが重なって体調が悪化したケースでも申請できる点が特徴です。

傷病手当金の支給条件と支給額を順に見ていきましょう。

支給される条件
  • 仕事外のことが原因でうつ病になり休業中である
  • うつ病が原因で就業できない
  • 連続した3日間を含めて4日以上仕事ができていない
  • 休んでいる間に給与が出ていない

4つの条件に当てはまっていない場合は、傷病手当金を受け取れません。

支給条件を満たしているかは、必ず確認するようにしましょう。

支給額

傷病手当金の金額は、休む前の給与を基準に計算されます。

過去12ヶ月の標準報酬月額の平均を30日で割り、その3分の2が1日あたりの支給額となります。

支給は待機期間を経た4日目から始まり、最長で1年6ヶ月まで受け取りが可能です。

また、期間内に治らず働けない状態が続く場合は、傷病手当金の終了後に障害年金の対象となる可能性があります。

労災保険

労災保険は、業務中や通勤中に起きたけがや病気を補償するための制度です。

業務中のけがだけでなく、長時間労働や職場での強いストレスが原因で体調を崩した場合も、対象になる可能性があります。

労災として認められると治療費の自己負担がなくなるほか、働けない期間の収入を補う給付が受けられます。

うつ病のような精神疾患も、仕事による負荷が明確に関係していれば労災の対象です。

支給される条件

うつ病のような精神疾患が労災として認められるには、仕事が主な原因でなければなりません。

精神疾患は仕事や生活のストレスが組み合わさって発症すると考えられるため、業務上の負荷と私生活の負荷を分けられ、医師の診断書などから労災保険が適用されるかどうかが判断されます。

  • 労災の対象となる精神障害を発症している
  • 発症前のおおむね6ヶ月間に強い心理的負荷が業務にあったと認められる
  • 私生活のストレスや個人的な要因が主因ではない
支給額

労災保険では、治療費の補償に加えて、働けない期間の収入を補う休業補償給付などが受けられます。

うつ病で休業する場合、給付は連続して休んだ3日間を経て4日目から開始され、1日あたりの支給額は給付基礎日額の60%です。

さらに特別支給金として20%が上乗せされるため、合計で約80%の収入が補償されます。

精神疾患は長期化しやすいため、この給付は生活するうえで大きな助けになるでしょう。

うつ病になった際の傷病手当金と労災保険に関するよくある質問

傷病手当金と労災保険は、どちらも働けなくなったときに生活を支える制度ですが、仕組みや対象範囲が異なるため、申請の方法や併用の可否などで疑問を抱えている方もいるでしょう。

本章では、傷病手当金と労災保険に関するよくある質問に回答していきます。

うつ病になった場合は傷病手当金と労災保険を併用できる?

うつ病で働けなくなった場合、傷病手当金と労災保険は同時に受けられません。

なぜなら、両制度の対象とする原因が異なるためです。

労災保険は業務や通勤に関連したけがや病気が対象であり、傷病手当金は業務とは直接関係のない病気やけがを対象としています。

そのため、同じ休業に対して2つの制度を重ねて利用することは認められていません。

ただし、労災保険の休業補償の額が傷病手当金の給付額を下回る場合には、その差額が支給されます。

状況により扱いが変わるため、制度の仕組みを理解したうえで申請しましょう。

うつ病になったとき傷病手当金と労災保険同時に申請できる?

傷病手当金と労災保険は、同じ時期に申請すること自体は可能です。

あくまで手続きを並行して行っているだけで、二重に補償を受けているわけではないためです。

両方を申請した場合は労災保険が優先され、労災が認定されれば傷病手当金の返還が必要となります。

ただし、労災給付額が傷病手当金より少ない場合には、その差額分が傷病手当金で補填されます。

申し込み手続きは同時に進められるものの、受給はどちらか一方になる点を理解しておきましょう。

一人親方がうつ病になったら傷病手当金と労災保険どっちがよい?

一人親方などの個人事業主は、会社員が加入する健康保険とは異なり、国民健康保険に加入するのが一般的です。

残念ながら、国民健康保険には傷病手当金の制度がないため、うつ病で働けなくなっても傷病手当金は受け取れません。

また、一人親方は労災保険にも原則として加入できないため、仕事中のけがや病気に備えるには労災保険の特別加入制度を利用する必要があります。

労災保険に特別加入していれば、労働者と同様に労災補償を受けられるようになります。

うつ病を含むリスクに備えるためにも、一人親方は早めに特別加入を検討することが望ましいでしょう。

労災保険への特別加入を検討される方は「一人親方団体労災センター」へお問い合わせください。

一人親方団体労災センターは、一人親方が労災保険に加入するための支援を行う団体です。

費用が明確で、手続きも簡単に行える点が魅力です。

また、保険料は選んだ給付基礎日額で決まり、必要なのは月500円の組合費のみで追加の手数料は一切ありません。

入金後、最短で翌日から補償が始まるため、安心して働く環境を整えられます。

まとめ

傷病手当金と労災保険は、うつ病で働けなくなったときに生活を支える制度です。

ただし、傷病手当金は業務外の病気やけがが対象で、労災保険は業務中の病気やけがが対象という明確な違いがあります。

制度の対象が異なるため併用はできませんが、申請は同時に進められ、傷病手当金を活用していても、あとから労災が認定されれば切り替えも可能です。

また、一人親方は国民健康保険のため傷病手当金を利用できず、労災保険の特別加入が重要な備えになります。

自身の状況に合った制度を理解し、適切に申請することが安心につながります。

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