建築士として独立したいと考えているものの、「どうやって独立すればよいのか」「失敗しないためには何をすればよいのか」と悩んでいる方もいるでしょう。
建築士として独立する際には、資格取得・実務経験・資金などの準備が重要になります。
本記事では、建築士で独立するメリットやデメリット・独立後の年収の目安・独立までの流れ・よくある失敗例・失敗しないためのポイントについてわかりやすく解説します。
建築士としての独立を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
建築士として独立するメリット・デメリット
建築士として独立を目指す場合は、メリットだけでなくデメリットについても理解しておくことが大切です。
本章では、建築士で独立するメリットとデメリットについて解説します。
メリット
建築士で独立するメリットは、働き方の自由度が高くなり収入の増加も期待できる点です。
会社員の場合は給与が決まっていますが、独立すると仕事の受注数や単価によって収入を増やせる可能性があります。
また、仕事の量や働く場所を自分で決められるため、自分の生活スタイルに合わせた働き方ができます。
独立すると営業や経営など幅広い業務に関わるため、建築の技術だけでなく経営や人脈など多くの経験を積める点もメリットといえるでしょう。
デメリット
建築士で独立するデメリットは、収入が安定しにくい点です。
特に独立直後は仕事の少ないケースが多く、会社員時代より収入が下がる場合もあります。
また、設計や工事のトラブルが起きた場合はすべて自分の責任になるため、精神的な負担も大きくなるでしょう。
さらに、独立すると営業活動・経理・税金・契約などの業務も自分で行う必要があり、設計や工事以外の仕事が増える点も負担になるかもしれません。
自由度が高い一方で責任も大きくなるため、十分な準備と計画をしたうえで独立することが大切です。
建築士として独立した後の年収の目安
建築士として独立した後の年収は、受注する仕事の量・単価・実績などによって大きく変わるため一概にはいえませんが、一般的な目安としては年収400万円〜1,200万円程度とされています。
独立すると案件の売上がそのまま収入につながるため、実力や実績があれば会社員時代よりも高収入になる可能性があります。
一方で、収入が安定するとは言いきれず、仕事が少なく収入の下がるリスクもあるでしょう。
建築士として独立するまでの流れ
建築士として独立するには、資格取得に加え、実務経験・資金準備・事務所登録などいくつかの手順を踏まなくてはなりません。
本章では、建築士で独立するまでの基本的な流れを順に解説しましょう。
建築士の資格を取得する
建築士で独立するためには、まず建築士の資格を取得する必要があります。
建築士には一級建築士・二級建築士・木造建築士があり、それぞれ設計できる建物の規模や用途が異なります。
二級建築士でも住宅などの設計で独立できますが、大規模な建物や幅広い案件を扱うためには一級建築士の資格をもつのが有利です。
一級建築士試験には学科試験と設計製図試験があり、両方に合格することで資格を取得できます。
実務経験や実績を積む
建築士の資格を取得しても、すぐに独立できるわけではありません。
建築士として免許登録するためには2年以上の実務経験が必要であり、さらに建築士事務所を開業する場合は管理建築士の配置が義務付けられています。
管理建築士になるためには、建築士として設計や工事監理などの業務に3年以上従事した経験が求められます。
そのため、独立を考えている方は、ゼネコン・工務店・ハウスメーカーなどで経験や実績を積みましょう。
独立するための資金を準備する
建築士として独立するためには、開業資金や当面の生活費などの資金を準備しておくことが重要です。
事務所の開設費用・パソコンやソフトなどの設備費・税金・保険など、独立するとさまざまな費用がかかります。
また、建築の仕事は契約から入金まで時間のかかることが多く、独立してすぐに収入が安定するとは限りません。
そのため、少なくとも数ヶ月から半年程度は収入がなくても生活できる程度の資金を準備しておくと安心です。
資金不足は独立失敗の原因にもなるため、計画的に準備しましょう。
建築士事務所の登録をする
建築士として設計や工事監理の仕事を行うためには、建築士事務所の登録が必要です。
登録する際は申請書や必要書類を準備し、都道府県の窓口へ提出しましょう。
書類の審査を通過すると登録証が交付され、正式に建築士事務所として業務を行えます。
登録には管理建築士が在籍していることなどの条件があるため、事前に必要書類や条件を確認して準備を進めましょう。
管理建築士の講習を受ける
建築士事務所を開設するには、管理建築士を配置する必要があります。
管理建築士とは、建築士事務所において設計や工事監理などの技術的な業務を統括する責任者のことです。
管理建築士になるには、建築士として3年以上の実務経験を有し、管理建築士講習で5時間の講義を受け修了考査に合格する必要があります。
講習では建築士法や建築物の品質確保に関する内容を学び、これで建築士事務所開設の条件が整います。
建築士として独立する
資格取得・実務経験・資金準備・事務所登録・管理建築士講習の受講が完了すると、建築士として独立が可能です。
独立後は、会社員時代とは違って自分で仕事を受注し、営業・集客・契約・経理なども行う必要があります。
会社員時代に築いた人脈や実績が独立後の仕事につながることも多いため、独立前から人脈作りや実績の整理をしておくことが重要です。
独立は自由度が高い一方で責任も大きいため、十分な準備をしたうえで開業することが成功のポイントになります。
建築士への独立でよくある失敗例
建築士として独立するとすべての業務を自分で行う必要があり、準備不足や経営知識不足が原因で事業がうまくいかないケースもあります。
建築士の独立でよくある失敗例は、次のとおりです。
- 仕事を安定して獲得できず、売上が伸びない
- 価格を下げて受注して、利益が出ない
- 事業計画や資金計画が甘く、資金不足になる
- 営業・経理・契約などの業務が多く、本業に集中できない
- 仕事を1人で抱え込みすぎて、体調を崩してしまう
- 複数の案件管理ができず、仕事の品質が下がる
- 他社との差別化ができず、価格競争に巻き込まれる
これらの失敗は、独立前に準備や計画をしっかり行うことで防げる可能性があります。
建築士の独立で失敗しないためのポイント
本章では、建築士の独立で失敗しないためのポイントを解説します。
結論として、独立前から経営の準備・集客方法の確立・人脈作りなどを行っておくことが大切ということを理解しておきましょう。
経営方針やコンセプトをしっかり固める
独立して成功するためには、事務所のコンセプトや経営方針を明確にすることが重要です。
どのような建築を得意とするのか、どのようなお客様を対象にするのかを決めて、ほかの事務所との差別化を図りましょう。
コンセプトがはっきりしていると、依頼する側も事務所の特徴を理解しやすく、仕事につながりやすくなります。
また、価格設定や受注する仕事の種類などの方針を決めておくことで、経営の方向性もぶれにくくなります。
独立前に自分の強みや得意分野を整理しておくとよいでしょう。
人脈を広げる
建築業界では人脈が仕事につながることも多いため、独立前から人とのつながりを大切にすることが重要です。
会社員の間に設計事務所・工務店・施工会社などとよい関係を築いておくと、独立後に仕事を紹介してもらえるかもしれません。
また、仕事を紹介し合うなどしてお互いに協力できる関係を作っておくと、安定して仕事を受注しやすくなるでしょう。
人脈は独立後の大きな財産になるので、日頃から人とのつながりを意識して行動することが大切です。
経営や経理などの知識をつける
独立すると、建築の仕事だけでなく経営や経理に関する業務も自分で行う必要があります。
知識がないまま独立すると、利益の有無が分からない・税金の支払いに困るといった問題が起きる可能性があります。
独立前から経営・会計・税金の基本的な知識を身につけておきましょう。
建築の仕事に集中するために、必要に応じて税理士などの専門家に相談することも選択肢の一つです。
SNSなどの集客方法を構築する
独立後に失敗しやすい原因の一つは、仕事を受注できないことです。
そのため、独立前からホームページやSNSなどを活用し、集客方法を構築しておくとよいでしょう。
建築の仕事は、完成した建物や設計事例などを見てもらうことで興味を持たれやすいので、作品や実績を発信しておくと仕事につながる可能性があります。
ただし、ホームページやSNSはすぐに効果が出るものではないため、独立前から継続して情報発信を行うとよいでしょう。
建築士以外の資格を取得する
建築士として独立する場合、業務に役立つ関連資格の取得がほかの事務所との差別化につながります。
例えば、宅地建物取引士・建築施工管理技士・建築設備士などの資格があると、設計だけでなく土地・施工・設備など幅広い分野で仕事ができるようになります。
複数の資格を持っていれば幅広い提案をお客様にできるため、仕事につながりやすくなるかもしれません。
時間に余裕のある場合は、独立前から関連資格の取得を目指すとよいでしょう。
個人事業主として独立する場合は労災保険特別加入制度も活用しよう
法人ではなく個人事業主として独立する場合は、労災保険の特別加入制度を活用しましょう。
特別加入制度を利用すれば、仕事中や通勤中のけが・病気などの場合に補償を受けられます。
会社員の場合は労災保険が適用されますが、個人事業主は自分で加入しなければ補償を受けられません。
独立後のリスクに備えるためにも、労災保険の特別加入制度の利用を検討しましょう。
まとめ
建築士として独立すると、収入増加の可能性や働き方の自由度向上というメリットがある一方で、収入が安定しにくい・経営や営業も自分で行う必要があるといったデメリットもあります。
また、独立後に失敗しないためには、経営方針やコンセプトを明確にすること・人脈を広げること・経営や経理の知識を身につけること・集客方法を準備しておくことなどが重要です。
建築士の独立は簡単ではありませんが、十分な経験を積み準備をしたうえで計画的に進めれば、収入増の可能性だけでなく働き方の自由度向上も期待できます。
独立を目指す場合は、メリットとデメリットの両方を理解して計画的に準備を進めていきましょう。
