一人親方労災保険の「労災センター通信」

労災保険の遺族年金とは?基本情報から知っておきたいポイントまで徹底解説

 労災事故で亡くなった労働者の遺族に支給される労災保険の遺族年金。受給資格者や給付内容を調べると「年金と一時金」「給付基礎日額と算定基礎日額」などさまざまな表現が登場するので、要件が複雑でわかりにくいと感じるかもしれません。
 本記事では労災保険の遺族年金について、基本情報から知っておきたいポイントまでわかりやすく解説します。

【基本情報】労災保険の遺族年金とは

 労働者が仕事中や通勤中の事故で死亡した場合や業務が原因の傷病で死亡した場合に、労災保険から遺族年金が支給されます。しかし、実際に受給資格者や給付内容を調べると、複雑でわかりにくいと感じるかもしれません。そこで、労災保険の遺族年金の基本情報として、給付の種類や支給額を算出する際に軸となる「給付基礎日額」と「算定基礎日額」を解説します。

遺族年金には2種類ある

 労災事故で遺族が受けられる補償をまとめて「遺族(補償)等給付」(業務災害の場合は「遺族補償給付」、通勤災害の場合は「遺族給付」)といいます。
 遺族(補償)等給付には以下の2種類があります。

  • 遺族(補償)等年金
  • 遺族(補償)等一時金

 それぞれの給付について解説します。

遺族(補償)等年金

 遺族(補償)等年金とは、被災労働者の死亡当時にその収入によって生計を維持していた遺族に対して支払われる年金です。受給金額は遺族の人数によって変わり、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順番で最優先の順位者だけが受け取ることができます。配偶者(妻)以外の遺族に関しては、一定の高齢または年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要です。

遺族(補償)等一時金

 遺族(補償)等一時金は、被災労働者の死亡当時に遺族(補償)等年金の受給資格者がいない場合に、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の最先順位者に支給されます。
 また、遺族(補償)等年金を受給していたものの途中で資格を失うなどして最後順位者まですべてが失権した場合にも、その時点で支給された合計額に基づいて支給されます。

支給額を計算する際の給付基礎日額と算定基礎日額

 遺族年金の支給額を計算する際に「給付基礎日額の〇〇日分」「算定基礎日額の〇〇日分」などと表記されていますが、具体的には何を意味するのでしょうか。ここでは、基準となる基礎日額がどのように決定されるかを解説します。

給付基礎日額

 給付基礎日額とは、労働基準法の平均賃金に相当する額のことです。具体的には、原則として業務災害が発生した日または医師の診断で疾病の発生が確定した日を起点として、直前の3ヵ月間に支払われた賃金の総額を日割りして算出します。総額にはボーナスなど臨時に支払われた賃金は含まれません。

算定基礎日額

 算定基礎日額とは、給付基礎日額を算定する際に賃金総額から除外されているボーナスなど特別給与の総額を日割りした額のことです。原則として、労災事故が発生した日または医師により疾病の発生が確定した日を起点として、それ以前の1年間に受けた特別給与の総額を365で割って算出します。
 一つ注意することがあります。それは一人親方にはボーナスなど特別給与がありません。したがって、算定基礎日額を基にする給付金は一人親方の労災保険にはないということです。

遺族(補償)等年金の詳細

 被災労働者が死亡した場合、その者の収入によって生計を維持していた遺族に「遺族(補償)等年金」が支給されます。ここでは、受給資格者や給付の内容について詳細をまとめます。

受給資格者

 厚生労働省によると、遺族(補償)等年金の受給資格者とその順位は以下の通りです。

  1. 妻または60歳以上か一定障害の夫
  2. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
  3. 60歳以上か一定障害の父母
  4. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
  5. 60歳以上か一定障害の祖父母
  6. 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
  7. 55歳以上60歳未満の夫
  8. 55歳以上60歳未満の父母
  9. 55歳以上60歳未満の祖父母
  10. 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

 引用:厚生労働省

 ここで述べられている「一定障害」とは、障害等級第5級以上の身体障害のことです。最優先の順位者が給付を受け取りますが、死亡や再婚などで受給権を失うことがあります。その場合は「転給」となり、次の順位者が受給権者となります。

給付の内容

 遺族の人数に応じて遺族(補償)等年金・遺族特別支給金・遺族特別年金が支給されます。支給される金額は以下の通りです。

遺族数 遺族(補償)等年金 遺族特別支給金(一時金) 遺族特別年金
1人 給付基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分) 300万円 算定基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分)
2人 給付基礎日額の201日分 算定基礎日額の201日分
3人 給付基礎日額の223日分 算定基礎日額の223日分
4人以上 給付基礎日額の245日分 算定基礎日額の245日分

 引用:厚生労働省

 受給権者が2人以上いる場合は、支給額を等分した額をそれぞれの受給権者が受け取ることになります。

「前払一時金」制度について

 遺族(補償)等年金受給権者で、被災労働者の死亡により一時的にまとまった資金が必要になるケースもあるでしょう。そのような場合に1回限り「前払一時金」の請求が可能です。支給額は、給付基礎日額の200・400・600・800・1,000日分の中から選択できます。
 前払一時金の支給を受けた場合、受取額に達するまでは遺族(補償)等年金の支給が停止されます。

遺族(補償)等一時金の詳細

 被災労働者の死亡当時に遺族(補償)等年金の受給資格者がいない場合、また遺族(補償)等年金の受給権者が最後順位者まですべて失権した場合に「遺族(補償)等一時金」が支給されます。ここでは、遺族(補償)等一時金の受給資格者と給付の内容について詳細をまとめます。

受給資格者

 遺族(補償)等一時金の受給資格者とその順位は以下の通りです。

  1. 配偶者
  2. 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
  3. その他の子・父母・孫・祖父母
  4. 兄弟姉妹
     引用:厚生労働省

 受給権者の同順位者が2人以上いる場合は、それぞれが給付を受け取れます。
 (受給資格者の身分は、被災労働者の死亡当時の身分です。)

給付の内容

 被災労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金の受給資格者がいない場合の給付内容は以下の通りです。

遺族(補償)等一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金
給付基礎日額の1,000日分 300万円 算定基礎日額の1,000日分

 引用:厚生労働省

 遺族(補償)等年金の受給途中にすべての受給権者が失権し、それまでに全員に支払われた年金および遺族(補償)等年金前払一時金の総額が給付基礎日額の1,000日分に満たない場合は、以下の給付内容となります。

遺族(補償)等一時金 遺族特別支給金 遺族特別一時金
給付基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族(補償)等年金等の合計額を差し引いた金額 算定基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族特別年金の合計額を差し引いた金額

 引用:厚生労働省
 このケースでは、遺族特別支給金はすでに受け取り済みです。

労災保険の遺族年金について知っておきたいポイント

 労災保険の遺族年金を受け取る際に知っておくべきポイントがいくつかあります。ここでは押さえておきたい4つのポイントを取り上げます。

葬祭料等(葬祭給付)も支給される

 労災事故で被災労働者が死亡した場合、労災保険から葬儀にかかった費用の一部が支給されます。支給対象となるのは通常は葬祭を行う遺族ですが、社葬などで会社が行った場合の葬祭料等は会社への支給です。
 給付内容は「315,000円+給付基礎日額の30日分」または「給付基礎日額の60日分」のいずれかの多い額が適用されます。

遺族年金の請求には時効がある

 遺族年金の請求には時効があるので注意が必要です。それぞれの時効期間を以下にまとめます。

請求項目 時効期間
遺族(補償)等年金 5年
遺族(補償)等一時金 5年
遺族(補償)等年金の前払一時金 2年
葬祭料等(葬祭給付) 2年

 いずれも被災労働者が亡くなった日の翌日から計算します。

遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給される場合は減額される

 遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給される場合は、遺族(補償)等年金の金額に調整が加えられます。遺族基礎年金と遺族厚生年金は全額受け取れますが、遺族(補償)等年金は下記の割合に減額されます。

併給される年金給付 遺族(補償)等年金の支給割合
遺族基礎年金および遺族厚生年金 80%
遺族厚生年金 84%
遺族基礎年金 88%

一人親方はそもそも労災保険の対象外である

 労災保険の「労働者」の定義には、正社員・パート・アルバイト・日雇いなどが含まれています。しかし、請負として働く一人親方など個人事業主は労災保険の対象外です。労災保険の対象外である一人親方も通常の労働者と同様のリスクを抱えて業務を行っているため、労災保険の補償があると安心です。そこで、一人親方労災保険の特別加入制度があり一人親方も任意で加入できます。
 特別加入制度を活用すると労災保険の遺族年金も含めて労災保険の手厚い補償を受けることが可能です。労災保険の特別加入制度についてのご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

 労災保険の遺族年金の種類や受給資格、給付内容について解説しました。労災保険は、被災労働者だけでなく労働者の家族も保護する制度です。労災事故で残念ながら被災労働者が亡くなった場合は、受給資格を満たす遺族の方が手厚い補償を受けられるようになっています。
 労災保険の遺族年金には時効期間があるので、労災発生後は早めに手続きを行うようにしましょう。また、一人親方など個人事業主も特別加入制度を活用して、ご自身とご家族を保護すると安心できますね。

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