一人親方労災保険の「労災センター通信」

外国人労働者にも労災保険が適用される!手続きや給付内容を解説

 外国人労働者の増加に伴い外国人の労災事故発生件数も増えており、労災保険の申請手続きについて知りたい方は少なくありません。結論から言いますと、外国人労働者にも技能実習生や不法就労者を含めて労災保険が適用されます。
 本記事では外国人労働者が労災保険の申請を行う手順や給付内容を解説します。日本で仕事をしている外国人の方はもちろん、受入事業主や被災労働者のご家族にも役立つ情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

外国人労働者にも労災保険が適用される

 日本国内での外国人労働者の増加に伴い、外国人の労災事故も増えているようです。そこで気になるのが、外国人にも労災保険が適用されるのかについてです。結論から言いますと、外国人労働者にも労災保険は適用されて日本人労働者と同様に補償が受けられます。
 しかし実際に労働災害が発生しても労災保険についてよくわからないため、外国人労働者だけでなく事業主も対応に困るケースが少なくありません。ここでは、外国人労働者に適用される労災保険の概要をまとめます。

そもそも労災保険が適用される労働者とは?

 労働基準法によると「労働者」とは「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」です。それで、労災保険はアルバイト・パート・派遣社員なども含めて賃金を得ているすべての労働者に適用されます。
 外国人労働者も同様で、労働関係法令や社会保険関係法令は国籍を問わずに日本人と同じように適用されます。厚生労働省発行の「外国人を雇用する事業主の方へ」のパンフレットにも以下の記述があります。

雇用保険、労災保険、健康保険および厚生年金保険に係る法令の内容および保険給付に係る請求手続等について、周知に努めること。
労働・社会保険に係る法令の定めるところに従い、被保険者に該当する外国人労働者に係る適用手続等必要な手続をとること。

 引用:「外国人を雇用する事業主の方へ」

外国人技能実習生や不法就労者にも適用される

 外国人労働者の中には技能実習生やオーバーステイによる不法就労者も含まれ、みな同じく労災保険が適用されます。例えば外国人技能実習生については、法務省入国管理局の「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」の30ページで、「事故等への備え」として労災保険への加入が義務付けられていることを以下のように説明しています。

監理団体又は実習実施機関は,申請人が雇用契約に基づいて技能等の修得活動を開始する前に、その事業に関する労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険に係る保険関係の成立の届出その他これに類する措置が義務付けられています(上陸基準省令「技能実習1号ロ」第12号ほか)。

 引用:「技能実習生の入国・在留管理に関する指針」

 オーバーステイなどによる不法就労者に関しても、昭和63年1月26日に以下の通達がされました。

職業安定法、労働者派遣法、労働基準法等労働関係法令は、日本国内における労働であれば、日本人であると否とを問わず、また、不法就労であると否とを問わず適用されるものである…

 引用:「外国人の不法就労等に係る対応について」

労災保険の加入手続きを行うのは事業主

 すべての事業所は、従業員を1人でも雇った時点で労災保険に加入する義務があります。手続きを行うのは事業主で、従業員に払われる賃金の総額をもとに保険料を計算します。
 外国人労働者は自分が労災保険に加入している実感がないかもしれませんが、雇用がスタートした日が自動的に加入日となり、労働災害が発生すると労災保険から補償を受けられるのです。仮に事業主が労災保険の加入を怠っていたとしても、被災労働者は労働基準監督署に労災保険の申請手続きを行い補償が受けられます。

外国人にも適用される労災保険の手続きの流れと給付内容

 外国人労働者にも労災保険が適用されますが、万一の労働災害発生に備えて具体的な内容を知っておくことは大切です。なぜなら、事業所は被災労働者が労災保険の補償を受けられるよう協力する義務がありますが、原則として申請を行うのは被災労働者自身になるからです。
 ここでは労災保険の手続きの流れと給付内容を解説します。

外国人労働者による労災保険の手続きの流れ

 外国人労働者が労働災害に遭った場合、具体的には何をすればよいのでしょうか。労災保険の手続きの流れを3つのステップで解説します。

被災労働者の適切な治療を行う

 労働災害が発生した場合、被災労働者は速やかに適切な治療を受けることが大切です。まずは労災指定病院を探して治療を受けましょう。受付窓口で労災であることを伝えると、費用の自己負担なしで受診できます。
 言語の問題がある場合は、通訳のできる同僚や家族の同行も重要なポイントになります。

労災発生の報告を行う

 被災労働者は、会社に労災事故が発生したことを報告します。報告の際に必要な情報は以下の通りです。

  • 被災労働者の名前
  • 労災発生の日時
  • 事実関係を知っている人の連絡先
  • 労災発生の状況

 次いで、事業主は労働基準監督署に「労働者死傷病報告」をしなければなりません。

労災保険の給付申請を行う

 被災労働者は労災保険の給付申請を行います。申請内容によって必要書類が異なりますが、各種書類は厚生労働省の公式サイトからダウンロードできます。原則的に申請は被災労働者が行いますが、会社によっては代行してくれる場合もあるので尋ねてみるとよいでしょう。
 申請書類は労災指定病院で治療を受けた場合は病院へ、それ以外の場合は労働基準監督署に提出します。

労災保険の給付内容

 労災保険の活用により、労働者とその家族を保護する手厚い補償が受けられます。ここでは給付内容をまとめます。

療養(補償)等給付

 怪我や病気の原因が業務・通勤の場合、療養にかかった費用を補償する給付です。労災指定病院で治療や薬剤の現物支給が受けられます。現場付近に労災指定病院がない場合は、それ以外の医療機関などで自己負担で治療を受け、かかった費用は後日現金で支給されます。

休業(補償)等給付

 労災事故により労働ができない場合、休業4日目から休業(補償)給付と休業特別支給金が支給されます。休業から3日目までの待機期間は、事業主が休業補償(平均賃金の60%)を行い、それ以降は休業(補償)給付と休業特別支給金により給付基礎日額の合計80%が補償されます。

傷病(補償)等年金

 労災事故による傷病が治らずに1年6か月を経過し、障害の程度が傷病等級表の傷病等級に該当する場合、傷病(補償)年金が支給されます。

障害(補償)等給付

 労災事故による傷病により、身体に一定の障害が残った場合に支給される給付です。給付額は障害等級に従って定められます。

遺族(補償)等給付・葬祭料

 被災労働者が死亡した場合は、遺族に対して遺族(補償)給付が支給されます。受給資格者となるのは、労働者の死亡当時にその収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹です。また葬祭を行う遺族または会社に対して葬祭料(葬祭給付)が支給されます。

介護(補償)等給付

 労災による傷病が原因で一定の障害があり、現に介護を受けている被災労働者に支給される給付です。一定の障害とは、障害等級または傷病等級が1級または2級の精神神経・胸腹部臓器の障害がある場合を指します。

外国人の労災保険申請に役立つ情報

 外国人労働者が労災保険の申請を行う際に、言語の問題などさまざまな障害が考えられます。ここでは、外国人の労災保険申請に役立つ情報をいくつかまとめます。

外国人労働者向け労災保険給付パンフレット

 労災保険に関する基礎知識や申請方法、書類への記入方法などの情報は、「外国人労働者向け労災保険給付パンフレット(Brochure about Industrial Accident Compensation Insurance for foreign workers)」で確認できます。
 厚生労働省の公式サイトからダウンロードでき、2021年10月の時点で入手可能な言語は日本語・英語・ポルトガル語・韓国語・中国語・ベトナム語・タイ語・インドネシア語・ペルシア語・スペイン語・タガログ語・カンボジア語・ネパール語・ミャンマー語です。

会社が協力してくれない場合

 会社には被災労働者が労災申請をする際に協力する義務があります。しかし申請手続きを行うのは原則的に被災労働者自身か遺族です。良心的な会社であれば言語面でのサポートも含めて労災申請のために協力してくれると期待できますが、実際は不法就労を認めているような悪質な事業主も存在します。
 この場合は、日本語の話せる親族や会社の同僚などのサポートを受けて、労働基準監督署に相談しましょう。協力者が近くにいない場合は、厚生労働省の公式ページに記載されている相談機関を活用できます。主な相談機関は以下の通りです。

  • 外国人労働者向け相談ダイヤル
    労働条件などについて外国語で電話相談できる窓口
  • 労働条件相談ほっとライン
    厚生労働省が委託事業で実施している事業
  • 外国人労働者相談コーナー
    労働条件などについて外国語で相談できる窓口

タイにいる遺族が申請して労災認定された事例

 2020年8月に、長野県小諸市でサニーレタスの苗植え作業をしていた当時29歳のタイ人女性ワランヤー・シンジェムさんは、雷に打たれて病院へ搬送されその後同年9月9日に死亡しました。
 農場の経営者はオーバーステイ状態で働き口を見つけることが困難な外国人労働者を使って、落雷が発生している危険な状態で作業をさせていたと考えられます。彼女にはタイで暮らす9歳の娘がいて、遺族補償給付の対象者です。事故が起こった地元の信濃毎日新聞の記者が遺族と連絡を取ったことがきっかけで、NPO法人「POSSE」や在日タイ大使館などの協力もあり労災が認定されました。

外国人の一人親方は労災保険の特別加入を!

 被災労働者とその家族を保護する労災保険ですが、一人親方や企業の役員などは労働者の定義に当てはまらず対象外です。しかし、特別に任意で労災保険に加入できる一人親方労災保険の特別加入制度があり、これを活用して労災保険の補償を受けられます。
 外国人の一人親方も、一人親方労災保険に加入して手厚い補償を受けることが可能です。例えば「一人親方団体労災センター」では、外国人の一人親方も在留カードの写し(コピー)を用意して申し込めて備えられます。

まとめ

 外国人労働者も、雇用形態を問わずに労災保険の対象になります。業務上の万一の事故で被災した場合は、労災保険を活用して手厚い補償が受けられるので安心です。しかし言語の問題など、労災保険の申請にはさまざまな障害があるのも事実です。
 この記事を参考にして労災保険への認識を深め、いざという時にスムーズに手続きができるようにしましょう。

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