一人親方労災保険の「労災センター通信」

仕事中の怪我には労災保険!労働災害の具体例や補償内容を解説

 仕事中の怪我には労災保険が適用されますが、具体的にどのようなケースで使えるのか疑問に思う方も少なくありません。そこで本記事では、労災保険の対象となる労働災害の具体例や補償内容をわかりやすくまとめます。
 「ちょっとした怪我でも労災保険は使える?」「健康保険で治療してはダメ?」など、仕事中の怪我に関してよくある質問の答えも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
労働災害

仕事中の怪我には労災保険が適用される!

 仕事中の怪我には労災保険が適用されますが、実際に労災が発生すると「この怪我は労災になるのだろうか?」と疑問に感じる方は少なくないようです。
 スムーズな労災申請を行うには、労災保険の給付対象となる仕事中の怪我についてなど、労災保険に関する正しい知識が役立ちます。ここでは、労災保険が適用される仕事中の怪我の具体例・労災保険の対象者・労災認定の判断基準について解説します。

労災保険が適用される仕事中の怪我とは?

 労災保険が適用される仕事中の怪我は、「業務災害」「通勤災害」に分けられます。
 労働災害の原因や発生状況はケースバイケースで、一概に結論付けることは困難ですが、過去の事例など具体例を知っておくことで、ある程度の判断ができるようになるでしょう。
 ここでは、業務災害と通勤災害の概要、および具体例を解説します。

業務災害

 「業務災害」とは、業務が原因となった災害のことで、業務と傷病の間に一定の因果関係があることを指します。業務災害と判断されるには、労働者が事業主の支配・管理下で業務に従事している必要があります。ただし、労働者が就業中に私的行為を行いそれによって怪我をするなど、業務災害に該当しないケースもあるため注意が必要です。
 どのような場合に業務災害となるのか、具体例を挙げて解説します。

  • 作業中の災害
     「重量物の運搬中に腰を痛めた」「段ボールの断裁中にカッターで指を切った」など、作業中の事故による怪我は業務災害になると考えられます。また、業務中に何者かに殴られて怪我をした場合も、個人的なトラブルや被害者が加害者を挑発したなど特別な理由がない限り、一般的には業務災害となります。
  • 作業の中断中の災害
     作業を中断してトイレに行ったり水を飲みに行ったりする途中で怪我をした場合は、業務に付随する行為を行っていたとして業務災害になります。
  • 業務に伴う必要または合理的な行為中の災害
     突発的な事故により事業場で修理など緊急対応をしているときに怪我をした場合は、労働者として当然の行為をしており業務遂行性があるとして、業務災害になると考えられます。車の運転に従事する労働者が業務中に交通事故に遭遇し、他の交通事故被害者の救助を行うようなケースでも同様です。
  • 休憩時間中の怪我
     「昼食をとるため社員食堂へ向かう途中で足を滑らせた」などのケースでは、業務災害になると考えられます。ただし、休憩時間中に外出したりキャッチボールをしたりして怪我をする場合は、私的行為であるとして業務災害には当てはまりません。
通勤災害

 「通勤災害」とは、労働者が通勤により被った傷病のことを指します。
 ここでいう通勤は、就業に関して住居と就業の場所を合理的な経路および方法により往復することです。往復の経路を逸脱したり中断したりすると通勤にはなりませんが、やむを得ない事由により最小限の逸脱を行う場合は、逸脱または中断の時間を除いて通勤となります。
 例えば、「アパートの自室を出て階段で転んだ」「駅の階段で足を滑らせた」など、通勤途中で怪我をした場合は通勤災害です。日用品の購入や親の介護など、日常生活上必要な行為を行う場合は、逸脱または中断の時間を除いて通勤が継続されることになります。
 なお、映画館に寄ったり同僚と飲み会に行ったりする場合は、通勤行為と認められません。また、会社の専用バスによる事故や、出張に伴う移動中の事故などは業務災害として取り扱われます。

労災保険の対象者

 労災保険の対象者は、正社員・パート・アルバイト・日雇いなど、雇用形態を問わずすべての労働者です。派遣労働者の場合は、派遣元の事業所が労災保険の加入手続きを行います。
 会社の代表者や取締役、個人事業主とその家族などは労災保険の対象外になるため注意が必要です。ただし、労災保険の特別加入制度を活用することで、仕事中の怪我の際に保険給付を受けられるようになります。

労働災害の認定を行うのは労働基準監督署

 仕事中の怪我が労働災害に当てはまるかは、労働基準監督署長が「業務遂行性」「業務起因性」の有無を調査したうえで判断します。
 業務遂行性とは、被災労働者が労働契約により事業主の支配下にある状態のことです。また業務起因性は、傷病が業務を原因として生じたことを指します。
 仕事中の怪我を治療するにあたり、労働者個人や職場が勝手に判断して健康保険を使うのは間違いです。そもそも業務上の怪我で健康保険を使うことはできないため、労災保険を使って必要な保険給付の申請をする必要があります。

仕事中の怪我で使える労災保険の補償内容

労災補償の具体例
 労災保険にはさまざまな給付があり、仕事中の怪我や病気の際に手厚い補償が受けられます。例えば、怪我や病気の治療を自己負担なしで受けられたり、療養で仕事ができない期間は休業補償が得られたりして安心です。
 ここでは、仕事中の怪我で使える労災保険の補償内容をご紹介します。

病院代の自己負担がなくなる

 仕事中の怪我を治療する際は、労災保険の「療養(補償)給付」により、病院代の自己負担がなくなります。
 労災保険指定医療機関を受診する場合は、受付窓口に労災である旨を伝えることで、自己負担なしで治療を受けられます。受付窓口に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出すると、請求書は医療機関から労働基準監督署長へ送られ、労災保険の申請手続きが行われる仕組みです。
 労災保険指定医療機関ではない病院などで治療を受けた場合は、いったん病院代を立て替えて支払います。後日、「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を労働基準監督署長に提出すると、建て替えて支払った治療費が全額支給されます。

休業中の補償がある

 仕事中の怪我で療養を必要とし休業する場合は、休業(補償)給付が受けられます。
 「休業(補償)給付支給請求書」を労働基準監督署長へ提出して手続きを行い、休業4日目から1日につき給付基礎日額の80%(休業補償給付60%+特別支給金20%)が支給されます。
 休業(補償)給付の受給条件は、以下のとおりです。

  • 労働災害による傷病の療養中であること
  • 賃金を受け取っていないこと
  • 労働できる状態にないこと

 なお、休業の最初の3日間に関しては、事業主が休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うことになっています。

その他の補償も充実している

 仕事中の怪我で使える労災保険の充実した補償内容には、以下のような保険給付もあります。

  • 障害(補償)給付
     怪我や病気が治ゆ(症状固定)した後に障害が残ったとき、障害等級に応じて障害(補償)年金または一時金が支給されます。
  • 遺族(補償)給付
     被災労働者が死亡した場合に、遺族に対して遺族(補償)年金または一時金が支給されます。
  • 傷病(補償)年金
     療養開始後1年6ヵ月が経過しても治ゆせず、傷病等級第1~3級に該当する場合、休業(補償)給付に代わって傷病(補償)年金が支給されます。
  • 介護(補償)給付
     障害(補償)年金または傷病(補償)年金受給者で、一定の障害等級の者で現に介護を受けている場合に介護(補償)給付が受けられます。
  • 葬祭料
     死亡した被災労働者の葬祭を行うときに、葬祭を行う者に対して支給されます。

 これらの保険給付に関しても、労働基準監督署長に請求書などを提出して申請手続きを行います。

仕事中の怪我についてよくある質問

 仕事中の怪我で労災保険を使えるものの、怪我の状態や勤務先との関係などを理由に労災保険の申請を躊躇する方は少なくありません。
 そこでここでは、仕事中の怪我についてよくある質問をまとめます。

ちょっとした怪我でも労災保険は使えますか?

 軽い怪我であっても、仕事中の怪我で労災の条件を満たしていれば労災保険が適用されます。
 「軽い怪我は健康保険を使って治療すればよい」と考える方もいるようですが、労働災害による傷病は症状が重いか軽いかにかかわらず、労災保険を使って治療しなければなりません。

労災を使わないで健康保険で治療してはいけませんか?

 労災保険と健康保険のどちらを使うか迷う方もいるようですが、そもそも選択できるものではありません。労働災害による傷病は労災保険、業務以外の傷病は健康保険を使うよう法律で定められています。
 中には、「労災保険を使うと勤務先に迷惑がかかる」と感じる方もいるようですが、仕事中の怪我には労災保険が適用され、事業主は「労働者私傷病報告」の提出が義務付けられています。
 これを怠ると、事業主は「労災かくし」に問われるため注意が必要です。

勤務先が労災に加入していない場合はどうなりますか?

 労災保険は、原則としてパート・アルバイトなど雇用形態を問わずすべての労働者に適用される国の保険制度です。それで、勤務先が労災に加入していない場合でも、被災労働者には過失がないため保険給付を受けられます。
 なお、労災申請を行うのは被災労働者で、勤務先は協力することが義務付けられています。

一人親方など労災保険が適用されない人の仕事中の怪我はどうなりますか?

 一人親方など「労働者」に該当しない方の場合、仕事中の怪我で労災保険は使えません。また、仕事中の怪我では健康保険も使えないため、治療費を全額負担することになります。
 しかし、任意で労災保険の特別加入制度を利用する場合、保険給付を受けることは可能です。一人親方の場合は、「一人親方団体労災センター」など特別加入団体をとおして加入手続きを行います。加入費用は、給付基礎日額に応じた労災保険料と月々500円の組合費のみで、仕事中の怪我の際に労災保険の手厚い補償が受けられるようになり安心です。

まとめ

 仕事中の怪我に労災保険が適用されることを、具体例や補償内容とともに解説しました。
 怪我や病気の状態に関わらず、労働災害を原因とする場合は健康保険が使えず、労災保険が適用されます。労災保険を使うことで病院代の自己負担がなくなったり、休業する際も給付基礎日額の80%が支給されたりするなど、手厚い補償が受けられ安心です。
 労災保険の対象外となる一人親方も、任意の特別加入制度を活用することで、仕事中の怪我に備えられます。加入手続き・費用に関するご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください。

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