一人親方労災保険の「労災センター通信」

通信工事で独立するには?必要な資格やメリット・注意点を解説

 インターネットの普及やテレワークの推進により、ニーズの高い通信工事。経験を活かして独立するなら、安定した収入や自由な働き方が手に入るかもしれません。
 しかし、通信工事で独立するにはどうすればよいかわからず、一歩を踏み出せない方も。
 そこで本記事では、通信工事で独立する方法や取得しておくとよい資格をまとめました。通信工事の需要や将来性、独立する際の注意点も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
通信工事の一人親方

通信工事で独立する方法&

 通信工事の経験やスキルを活かして独立したいと考える職人もいらっしゃるでしょう。しかし、独立する方法や手続きがわからず、次の一歩に進めない方も。
 通信工事で独立する主な方法として、以下の2つのパターンが挙げられます。

  • 個人事業主として独立する
  • 会社を設立する

 ここでは、それぞれの方法と手続きについてわかりやすくまとめます。

個人事業主として独立する

 通信工事で独立する方法のひとつは、個人事業主になることです。現場で「一人親方」と呼ばれる職人のことで、自ら仕事を請け負って、基本的に一人で作業を行います。ただし、家族に仕事を手伝ってもらったり、繁忙期にアルバイトを雇ったりするケースもあります。
 個人事業主として独立する手続きは、開業届を税務署に提出するだけで非常に簡単です。開業手続きの際に、「所得税の青色申告承認申請書」も一緒に税務署へ提出することで、税制面でのメリットが得られます。開業届は税務署の窓口に持参する以外に、郵送やオンラインでも提出できます。
 個人事業主として独立するメリットは、以下のとおりです。

  • 独立する際の手続きが簡単
  • 自分で仕事の調整ができる
  • 単価交渉ができる

 ただし、社会的な信用はあまりないため、銀行からの融資や案件獲得で苦労することも考えられます。

会社を設立する

 通信工事で独立する2つ目の方法は、会社を設立することです。この場合は、通信工事の仕事を請け負う会社の経営者として事業を進めていきます。従業員を雇って経営者としての業務に集中したり、一人社長として活動したりするケースもあります。
 会社を設立するには、会社概要を決定して定款の作成・認証を行わなければなりません。ほかにも、会社名義の銀行口座へ出資金を払い込んだり、法務省へ登記申請書を提出したりします。従業員を雇う場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届書」を税務署へ提出し、保険関連の手続きも行います。
 会社を設立するメリットは、以下のとおりです。

  • 社会的な信用が得られる
  • 経費項目が増えて節税効果が得られる
  • 資金調達がしやすくなる

 ただし、手続きは複雑で時間とコストを必要とするため、最初は個人事業主として独立して、事業が軌道に乗ってから会社設立を検討するのが一般的な流れです。

通信工事で独立するのに取得しておきたい資格

 通信工事で独立するのに必須の資格はありません。しかし独立後に安定して仕事を獲得するために、資格を取得しておいた方がスキルをアピールできて有利になると考えられます。
 独立するにあたり取得しておきたい資格を以下にまとめます。

  • 電気通信の工事担当者
     アナログ電話回線やデジタルデータ回線などに、さまざまな端末設備などを接続する工事を行う、または監督をするために必要な資格です。資格者証の種類には、第一級アナログ通信・第二級アナログ通信・第一級デジタル通信・第二級デジタル通信・総合通信があり、それぞれの種類に応じて工事の範囲は異なります。
  • 電気工事士
     戸建住宅・マンション・商業施設・公共施設など、さまざまな建物で電気工事やメンテナンスを行うための資格です。電気を扱うあらゆるケーブルの工事ができるようになる汎用性の高い資格で、独立後に仕事の幅を広げるためにも取得しておくことをおすすめします。電気工事士には第一種と第二種があり、いずれも学歴や実務経験は不問です。
  • 電気通信主任技術者
     電気通信ネットワークの工事・管理を行うために必要で、電気通信業者の主任技術者や、維持管理および運用の監督になれる資格です。伝送交換設備の工事・維持・運用にかかわる「伝送交換主任技術者」と、電気通信事業の線路に関する工事・維持・運用にかかわる「線路主任技術者」に分かれています。ここでいう「線路」は有線通信の電線類のことで、電信柱の電線や海底ケーブルなどが当てはまります。
  • 電気通信工事施工管理技士
     日本の施工管理技士国家試験のうちの一つで、2019年に新設された新しい資格です。施工計画・施工図の作成や、現場で工程管理・品質管理・安全管理など施工管理業務を行えるようになります。1級と2級があり、学歴に応じて必要な実務経験は異なります。建設業許可(500万円以上の案件を請け負うのに必要)を取得する際に、電気通信工事施工管理技士を「専任技術者」として配置し、条件の一つを満たすことが可能です。
  • 陸上無線技術士・陸上特殊無線技士
     携帯電話やスマートフォンの無線回線の工事を行うのに必要な資格です。それぞれ1種から3種まであり、取得資格に応じて操作範囲が異なります。例えば「一級陸上特殊無線技士(一陸特)」は、衛星・業務無線・速度測定用レーダーなどを用いた通信システムの技術操作を行う国家資格です。「一級陸上無線技術士(一陸技)」は、すべての無線局の業務用無線設備で技術操作ができる最上位の資格です。

需要や将来性は?通信工事で独立するメリット

 通信工事で独立するメリットは何か、今後の需要や将来性も含めて以下にまとめます。

  • 通信工事業の需要は高い
     通信工事業の需要は伸びており、将来は明るいといわれています。例えばインターネットの光回線はどんどん普及していて、一般家庭でも当たり前の時代です。テレワークの普及により、高速インターネット環境の必要性も高まっています。また携帯電話の通信エリアの拡大や、2020年からはじまった5G回線および2030年には6Gが実用される予定であるなど、今後も通信工事業は忙しくなりそうです。
  • 事業拡大により収入アップが狙える
     独立することで売上と収入が直結し、請け負う仕事量と単価によっては会社員時代よりも稼げるようになると期待できます。個人事業主でできることには限りがありますが、会社を設立して事業拡大することで、大幅な収入アップを狙えるのも魅力です。
  • 自分のペースで自由な働き方ができる
     無理に事業を拡大するのではなく、自分のペースで自由に働くことも可能です。例えば、繁忙期にまとめて仕事を請け負って、閑散期は休暇を多くとることも。会社員時代は会社に与えられる仕事をこなしていかなければなりませんでしたが、独立後は請け負う仕事を自分で選ぶことが可能です。「趣味や家族との時間を優先させたい」「仕事内容は自分で決めたい」方にとって、独立することには大きなメリットがあります。

通信工事で独立する際の注意点

一人親方独立の注意点
 通信工事で独立するメリットは多いですが、リスクもあるため注意が必要です。ここでは、通信工事で独立する際の注意点を2つご紹介します。独立してから失敗しないためにも、しっかりと肝に銘じておきましょう。

集客や人脈を広げることに注力する

 通信工事で独立する際は、集客や人脈を広げることに注力しましょう。
 独立直後は、以前に働いていた会社や付き合いのあった社長から仕事を回してもらうケースが多いでしょう。得意とする1つの仕事で、ある程度の期間は問題なく稼げるかもしれません。しかし取引先を1社に絞っていると、だんだんと仕事量が減ってきたり、突然仕事が無くなったりするリスクがあるため注意が必要です。それで、安定した仕事量を得られている時期でも、先を見据えて営業に力を入れることが大切です。
 集客方法はさまざまですが、最近では個人事業主でもホームページを作成している方が増えています。インターネットの普及によりホームページを検索する顧客が増えていることも考慮し、対応可能な作業内容・連絡先・取得資格・施工実績など必要な情報を含むホームページを作成しましょう。
 独立してから仕事を受注するために、人脈の構築は必要不可欠です。独立前から、所属する会社や同業者とのよい関係を築くようにしましょう。また、独立後も同業者との交流を積極的に行い、困っているときにお互いに助け合える仲間ができると安心です。

事故のリスクに備える

 通信工事で独立するにあたり、事故のリスクに備えることも大切です。
 高所の通信工事を請け負う場合、転落など事故のリスクがあります。また、電気を取り扱う作業では、工事中に感電して死亡する事例もあるため注意が必要です。
 独立することで仕事の段取りなどを自由に決められるメリットがありますが、安全対策についてもルールをきちんと定めて、事故防止に努めましょう。ただし事故を100%防ぐことは不可能なため、万一の事故への備えも大切です。
 独立して個人事業主または会社の経営者になると、会社員時代に適用されていた労災保険の対象から外れてしまいます。そこで、一人親方の場合は、特別加入団体をとおして加入できる「一人親方労災保険」を活用できるでしょう。一人親方労災保険に特別加入すると、万一の災害時に給付基礎日額に応じて必要な補償が受けられるようになります。通勤時の災害に対しても、一般の労働者と同様の補償が受けられ安心です。
 一人親方労災保険についてのご相談は、「一人親方団体労災センター」までお気軽にお問い合わせください。

まとめ

 通信工事で独立する方法・取得しておきたい資格・メリットについてまとめました。
 インターネットの普及やテレワークの推進により、今後も通信工事業は需要が伸びていくと期待できます。通信工事の経験やスキルを活かして独立することで、収入アップや自由な働き方を実現できるかもしれません。
 独立の際は、自ら営業をして仕事を受注する必要があるため、集客方法の工夫や人脈作りに励みましょう。また、事故のリスクに備えて一人親方労災保険に加入しておくなら安心です。

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