一人親方労災保険の「労災センター通信」

怪我で仕事ができない!就労不能リスクを軽減するための対策

 一人親方の場合、怪我による就労不能のリスクが常につきまといます。仕事で収入が得られなくなった場合、国や健康保険の制度を使わなくてはなりません。
 しかし、一人親方が使える制度は限られています。万一のリスクに備えるには、健康なうちに対策をとる必要があるでしょう。
 一人親方が怪我をして仕事ができないときに活用できる制度の紹介と、健康なうちにできるリスク回避策を解説します。怪我で働けない状態に陥っている方はもちろん、リスク対策を考えている方もぜひご覧ください。
一人親方の就業不能

一人親方が怪我で仕事ができないときに利用したい制度

 事業者である一人親方は、企業などに雇用されている労働者とは違うため、使える制度が異なります。万一の事態に備えるには、事業者が利用できる制度を押さえておかなくてはなりません。
 一人親方が怪我をして仕事ができないときに、活用できる制度を解説します。

一人親方労災保険

 一人親方労災保険は、仕事中や通勤中の怪我が原因で働けなくなったときに補償を受けられる制度です。
 大怪我を負うと怪我が完治しても障害が残り、働けない状態に陥ることもあります。このような場合リハビリや転職を行うなど、新しい生き方に備えなくてはなりません。
 働けない状態になっても、一人親方労災保険に加入していれば障害補償で生活を立て直せます。障害補償は、障害の程度と給付基礎日額に応じた額の給付金をもらえる補償です。
 万一の事態に遭遇しても一人親方労災保険に加入していれば、心配ありません。安心して働くためにも、必ず加入しておきましょう。

自立支援医療制度

 怪我により障害を負った場合、労災保険だけでなく国の制度も利用できます。制度のうち、医療費の負担を軽減するのが「自立支援医療制度」です。
 自立支援医療制度は、心身に負った障害を除去または軽減するために受ける医療費負担を軽くしてくれます。軽減の上限は所得により0円~2万円と設定されており、2万に満たない場合は自己負担額が1割で済みます。
 一人親方として働いている方は通常なら3割負担の方がほとんどです。しかし、自立支援医療制度を使えば、通常よりも少ない負担で治療を受けられます。
 障害の除去や治療にかかる医療は長期化することも多く、医療費の負担が大きくなりがちです。万一の事態に遭遇したときは、自立支援医療制度を積極的に活用しましょう。

心身障害者医療費助成制度

 国から受けられる支援は自立支援医療制度だけではありません。費用の助成を受けられる「心身障害者医療費助成制度」もあります。
 心身障害者医療費助成制度では、以下の条件に該当する方へ医療費の助成を行っています。

  • 身体障害手帳1級(内部障害も含む)
  • 身体障碍手帳2級(内部障害も含む)
  • 愛の手帳1度
  • 愛の手帳2度
  • 精神障害者保健福祉手帳1級

 助成内容は自治体により異なるため、活用の際は事前にご確認ください。
 重度の障害を負った場合、生涯治療を受け続けることになる方がほとんどです。国による制度を使い、少しでも負担を軽減しましょう。

特別加入した労災保険

 労災保険が使えるのは、障害を負ったときだけではありません。障害を負うほどではないが、治療や休業が必要なときにも補償を受けられます。

  • 医療保障
     一人親方労災保険に加入しておけば、仕事中・通勤中に怪我をしても、無料で治療を受けられます。治療費が生活費などを圧迫する心配がありません。業務中や通勤中に入院を要するような大怪我を負っても、労災保険に加入していれば安心して治療を受けられます。
  • 休業補償
     一人親方が怪我をすると、仕事で収入を得るのが困難になります。怪我が完治するまでの間にかかる生活費などを、用意しなくてはなりません。

 一人親方労災保険は、このような事態に対応するため休業補償があります。治療期間中は、保険料に応じた給付基礎日額が支給される仕組みです。
 加入しておけば怪我により働けないときでも、いつもと同じような生活を維持できます。一人親方が万一の事態に遭遇しても安心して働くためには、労災保険の加入は不可欠であるといえるでしょう。

【一人親方】怪我で仕事ができないときのリスク回避方法

リスク回避
 一人親方は怪我で働けない間は収入を得られないため、長期間休業すると生活に関わります。ただでさえ困難な状況を悪化させないためには、健康なときからリスク回避の対策をしておかなくてはなりません。一人親方ができる、怪我で仕事ができないときの対策方法を解説します。

建設国保に加入する

 「建設国保」とは、「全国建設工事業国民健康保険組合」が運営している健康保険です。個人で建設業を営んでいる一人親方や、従業員が5名未満の少数事業所とその家族が加入できます。
 万一に備えて傷病手当金や死亡手当金(葬祭費)があります。

  • 傷病手当金
     傷病手当金は、業務外の傷病により仕事ができず、4日以上休まなくてはならなくなったときに使える制度です。休んでいる期間中、給与や収入を得られないときに活用できます。

 建設国保に加入すれば、プライベートで怪我をしたときでも傷病手当金により収入を得られます。仕事中や通勤中の怪我をカバーできる労災保険とともに加入すれば、怪我に対してより万全な体制を築けるでしょう。

  • 死亡手当金
     死亡手当金は、怪我などが原因で死亡したときにお金が支給される制度です。組合員が死亡したときは10万円、家族が死亡したときは7万円が支給されます。

 国民健康保険でも同じ制度がありますが、市町村ごとに金額が異なるうえに、建設国保よりも安いところが多いです。このことから、万一の事態に遭遇し、残された家族の負担を軽くするためにも建設国保は役立つ対策であるといえます。
 建設国保は、被保険者の保険料と国から交付される国庫補助金で行われており、年齢や家族構成により保険料が算定されます。一定以上の所得があるなら、国民健康保険よりもお得です。
 「国保」とついているため、市町村により区分される国民健康保険と同じように考える方もいらっしゃいます。しかし、保険料の算定方法や区分などに細かい違いがあります。
 加入の際は国民健康保険との違いにご注意ください。

民間保険に加入する

 怪我による休業状態の対策に使えるのは、国や健康保険の制度だけではありません。民間の生命保険や、損害保険も有効です。

  • 医療保険
     医療保険は、生命保険の一種で怪我や病気で入院・手術を受けると給付金を受け取れます。給付額は入院日数やかかった医療費から算定するタイプが多く、保険商品により異なります。

 特定の怪我や障害を負ったときに保険金がもらえる特約など、基本の保障にさまざまな特約を加えることで自身にあった保障を用意できます。医療保険は保険会社や商品ごとに違うため、加入の際は自身にあったものを選びましょう。

  • 就業不能保険
     就業不能保険も生命保険の一種です。怪我や病気で働けない「就業不能状態」が一定の期間を超えて続いた場合に給付金を受け取れます。

 給付金は保険料により決定されるため、ほしい金額に合わせて調節できます。月額で10万円~20万円程度受け取れる額で加入している方が多いです。

  • 所得補償保険
     所得補償保険は損害保険の一種で、怪我や病気で働けなくなったときに月額数十万円の保険金を受け取れます。就業不能保険と似ていますが、所得補償保険には上限が決められています。

 一人親方の場合は、契約したときの所得額から70%までが上限です。所得額が高いうちに契約しておけば、万一の事態に遭遇しても生活できるだけの収入を用意できます。
 保険商品は複数の商品に加入できるため、ほしい保障や必要な保障に合わせて調節できます。加入の際は健康状態や収入などを審査されるため、ご注意ください。
 怪我で働けなくなってもいつもと変わらない生活を維持するには、公的な制度に頼るだけでは不十分です。自身でも積極的に対策を講じましょう。

貯蓄する

 公的な制度や保険はとても便利ですが、給付金をもらえるまでに時間がかかります。状況や制度により、数週間から数か月間もの間待たされることもあるため、その間の対策も必要です。
 無給状態でも治療費や生活費に困らないよう、貯蓄もしておきましょう。貯金用の専用口座を作り、収入を得たらその数%分を貯蓄に回すと管理しやすいです。
 普通預金に貯めるだけでなく、定期預金など引き出しにくい預金商品を活用すれば、まとまったお金を用意できます。多額の支払いが必要になっても安心です。
 預金商品の中には数日~数週間で利用できる定期預金や、外貨に換えて預ける外貨預金などもあります。うまく活用できれば、ただ貯めておくだけでなく増やすこともできます。
 制度や保険商品は便利ですが、それだけですべてをいつもと同じように維持するのは非常に難しいです。貯蓄も並行して行い、すぐに使えるお金を用意しましょう。

一人親方で仕事ができない事態への対策には労災保険は必須

 一人親方が万一の事態に遭遇し仕事ができなくなったとき、事前に対策を講じていない限り、使える保障はほとんどありません。医療費や休業中の負担を軽減するには、事前に対策する必要があります。
 特に一人親方が事故に遭遇しがちな勤務中や通勤中の怪我に備えるには、労災保険が一番です。一人親方として仕事をする以上、休業で発生するリスクはできるだけ避けなくてはなりません。
 一人親方として働くなら、労災保険には必ず加入しましょう。
 
一人親方団体労災センター

まとめ

 一人親方が怪我で働けなくなったときは、以下の保険や制度が使えます。

  • 一人親方労災保険
  • 自立支援医療制度
  • 心身障害者医療費助成制度

 制度や保険の活用条件はそれぞれ違うため、使用を検討する際は自身が条件に合致するか確認してから申請しましょう。また、制度に頼るだけでなく、事前の対策も重要です。

  • 建設国保に加入する
  • 民間保険に加入する
  • 貯蓄する

 制度を利用するだけでなく、自身で積極的に備えを用意しておきましょう。一人親方で仕事をするなら、怪我による休業の影響を最小限にする必要があります。
 労災保険の加入はもちろん、それ以外の制度も使い対策をしてください。

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