一人親方労災保険の「労災センター通信」

塗装屋で独立するには?流れ・準備・失敗しないコツを解説

 建設業のなかで比較的独立しやすいと言われている塗装屋の仕事。しかし実際に独立するとなると「必要な準備は?」「資格は必要?」「失敗しないか心配」など、さまざまな疑問が生じるでしょう。
 そこで本記事では、塗装屋で独立する流れ・準備・失敗しないコツをまとめました。必要な資格・資金やリスク対策についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
塗装工事の一人親方

塗装屋で独立する流れ

 建設業のなかでも塗装屋は比較的独立しやすいと言われています。日曜大工やDIYで住宅の塗装をしたことのある方もいらっしゃるでしょう。しかしプロの塗装屋と素人では仕上がりに大きな違いが出るため、安易に独立すると事業として成り立たないことに。
 塗装屋で独立するには、まず下積みで経験とスキルをしっかりと積むことが大切です。屋根塗装・外壁塗装・コーキング補修などさまざまな業務に携わり、仕事を一通りできるようにしましょう。どんな仕事でもこなせる一人前の塗装屋になるには早くて5年、人によっては10年前後かかると言われています。
 下積み期間中に十分な経験とスキルを身につけたら、個人事業主(一人親方)として独立し、事業が軌道に乗ってから会社を設立するのが一般的な流れです。

塗装屋で独立する準備

 塗装屋で独立して成功するには、事前準備が大切です。独立に必要な準備は、大きく以下の3つに分けられます。

  • 必要な資格・許可を取得する
  • 開業資金を調達する
  • 開業手続きを行う

 ここでは、それぞれの準備を具体的に解説します。

必要な資格・許可を取得する

 塗装屋で独立するために必須の資格はありませんが、顧客からの信頼を得るには資格でアピールするのが効果的です。
 たとえば、塗装技術や専門性を証明する、以下のような国家試験があります。

  • 塗装技能士
     塗装に関する幅広い知識や技術が求められる国家資格で、レベルに応じて1~3級に分かれています。3級は初心者でも受験可能で、2・1級は実務経験が必要です。
  • 足場の組立て等作業主任者
     高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更を行うのに必要な資格です。講習を修了することで資格取得が可能で、受講資格として3年以上の実務経験などが定められています。
  • 有機溶剤作業主任者
     有機溶剤を取り扱う際に、作業方法を決めたり作業の指揮をしたりする責任者としての資格を持つことを証明します。2日間の講習を受けて修了試験に合格することで取得でき、受講資格はとくにありません。
  • 石綿作業主任者
     アスベストを含む建材を安全に処理できることを証明する資格です。外壁塗装工事ではアスベスト事前調査が必要であるため、取得しておくとよいでしょう。
  • 危険物取扱者乙第4種
     引火性のある溶剤系塗料を大量に保管する場合に必要な資格です。受験資格はなく、誰でも受験できます。

 上記以外にも、「外壁診断士」「外装劣化診断士」「外壁塗装マイスター」などの民間資格を取得することで、塗装スキルや幅広い知識をアピールできます。また、請負金額が500万円以上を超える場合は「建設業許可」が必要で、将来事業を拡大して大規模工事を受注したい場合は取得を検討しましょう。

開業資金を調達する

 塗装屋で独立するには、開業資金も必要です。
 具体的には、以下のものを準備する資金を用意しましょう。

  • 道具類
     刷毛・ローラー・脚立・養生シート・足場・高圧洗浄機など、塗装工事に必要な道具一式を自分で用意しなければなりません。足場や高圧洗浄機など高額なものに関しては、最初から購入するのではなくレンタルする方法もあります。
  • 車両
     塗料や道具類を運搬、および現場へ移動する車両が必要です。作業車は乗りつぶすことを考えて、中古車を購入することで資金を節約できます。
  • 事務所・事務用品
     事務所を借りる場合は、敷金や当面の家賃を資金として準備する必要があります。パソコン・コピー機など、事務作業で必要なものも揃えなければなりません。

 以上に加えて、まとまった運転資金を用意しておくことも重要です。独立後すぐに収入が得られるとは限らず、案件を受注しても実際に振り込まれるまでにタイムラグが発生します。その間にも発生する家賃・諸経費などを計算し、数ヶ月分の十分な資金を手元に置いておくと安心です。

開業手続きを行う

 個人事業主として独立する場合は、開業手続きを行います。
 まず、事業を開始してから1ヶ月以内に開業届を税務署へ提出します。正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」と呼ばれ、用紙は国税庁の公式サイトからダウンロード可能です。記入欄の「屋号」は任意ですが、屋号名義の銀行口座を開設したり顧客に覚えてもらいやすかったりするメリットがあるため、事前に考えおくとよいでしょう。
 開業届と一緒に、「所得税の青色申告承認申請書」も提出しましょう。そうすることで、節税効果のある青色申告で確定申告ができるようになります。

塗装屋で独立するメリット

 塗装屋で独立するメリットは、大きく以下の2つです。

  • 収入アップを目指せる
     会社に勤める塗装屋の平均年収は400万円前後だと言われていますが、独立することで売上がそのまま収入となるため、上限なしで大幅な年収アップが狙えます。塗装工事は新築だけでなくリフォームなどでも必要で、仕事の需要が高いのも魅力です。事業を拡大して大規模な塗装工事に携わるなどして、年収1,000万円を目指すことも可能です。
  • 自分のスタイルで働ける
     自分のスタイル・ペースで働けるようになるのも、塗装業で独立するメリットです。収入重視で多くの案件をこなす働き方や、ワークライフバランスを重視した働き方も自分で自由に選べます。営業も自分で行うことになり、新規顧客の発掘やデザインの提案に力を入れるなどして、自分らしさをアピールできるのも魅力です。

塗装屋で独立して失敗しないコツ

一人親方として失敗しないコツ
 塗装屋で独立したいと考えているものの、失敗しないか心配する方もいらっしゃるでしょう。「独立は思っているほど簡単じゃない」「現実は厳しい」など、ネガティブな言葉を聞くこともあります。
 塗装屋で独立して失敗しないために、以下の4つのコツを押さえておくようにしましょう。

  • 独立前に人脈を作っておく
  • 元請けの仕事を増やす
  • 家族のサポートを得る
  • ケガや病気のリスクに備える

 ここでは、それぞれのコツを詳しく解説します。

独立前に人脈を作っておく

 塗装屋で独立して失敗しないために、独立前に人脈を作っておくことは重要です。
 塗装屋を含めて建設業界は横のつながりが強く、「どうせ同じ仕事を頼むなら知り合いや気の合う職人を選びたい」と思うものです。会社員時代に社長や同僚とよい関係を築いておくなら、独立後に仕事を回してもらえると期待できます。
 現場で出会う元請け企業の社長・社員と、積極的にコミュニケーションを取ることも大切です。コミュニケーション能力を磨くことは独立後の営業で役に立ち、各現場で作っておいた人脈がきっかけで仕事が回ってくる可能性もあります。
 独立前だけでなく、独立してからも同業者とのよい関係を築いていきましょう。繁忙期に快く仕事を引き受けている職人が、閑散期に仕事がなくて困っているときに助けてもらえるというのはよくある話です。

元請けの仕事を増やす

 塗装屋で独立して失敗しないコツとして、元請けの仕事を増やすことも挙げられます。
 建設業は元請け・下請け・孫請けのように、多重構造になっているのが特徴です。下請けや孫請けの仕事ばかりを受注していると、仕事量は多くても単価が低いため、期待しているほどの収入が得られないことも。仕事を回してくれている元請け企業次第で突然仕事がなくなることもあり、とくに元請けが1社のみの場合はリスクが大きいといえるでしょう。
 塗装屋の場合、顧客から直接仕事を受けて元請けとして働くことも可能です。そこで、独立後は下請けの仕事をしつつ、営業にも力を入れて元請けの仕事を増やしていくようにしましょう。自身のスタイルを前面に出した魅力的なホームページを作成したり、施工事例を積み上げてSNSで紹介したりして、集客力を付けることも大切なポイントです。

家族のサポートを得る

 塗装屋で独立して失敗しないコツに、家族のサポートを得ることも挙げられます。
 意外かもしれませんが、家族のサポートが得られずに失敗してしまう個人事業主は決して少なくありません。独立直後は、資金繰りに苦労したり事業を軌道に乗せるために休みを返上して働いたりしなければならい場合があります。慣れない営業や事務仕事に追われて、ストレスを感じる方もいるでしょう。
 困難な時期に雑務を手伝ってくれたり、家計のやりくりを工夫してくれたりする家族がいるのは大きな助けになります。家族がいる方は、独立してからすべてを一人で抱え込むのではなく、独立前に家族としっかりと話し合い、事業が軌道に乗るまで協力してもらえる体制を整えておくと安心です。

ケガや病気のリスクに備える

 塗装屋で独立して失敗しないために、ケガや病気のリスクに備えることも重要なポイントです。
 高所作業もある塗装工事では、落下事故によるケガのリスクがあります。また、猛暑・極寒での作業で体調を崩して病気にかかるケースも。一人親方や会社の経営者は、労災保険の対象外であるため注意が必要です。国民健康保険は業務上のケガや病気の際に使えない決まりになっているため、万が一の事故でケガをすると治療費を全額負担することになります。
 そこで、一人親方や会社の経営者でも一般労働者に準じて労災保険が適用される、特別加入制度を活用しましょう。一人親方の場合は、特別加入団体をとおして一人親方労災保険に加入できます。
 「一人親方団体労災センター」は労働局の承認を受けた特別加入団体で、「分かりやすい説明と親切丁寧」をモットーに全国の一人親方をサポートいたします。一人親方労災保険についてのご不明な点は、当センターまでお気軽にお問い合わせください!

まとめ

 塗装屋で独立する流れ・準備・失敗しないコツをまとめました。
 独立の際の準備は、以下の3つです。

  • 必要な資格・許可を取得する
  • 開業資金を調達する
  • 開業手続きを行う

 収入アップや自分のスタイルで働けるようになるなど独立にはメリットがありますが、失敗しないために以下の4つのコツを押さえておきましょう。

  • 独立前に人脈を作っておく
  • 元請けの仕事を増やす
  • 家族のサポートを得る
  • ケガや病気のリスクに備える

 独立して個人事業主になると、労災保険は適用されなくなります。
塗装工事は高所作業もあるため、万が一の事故に備えて一人親方労災保険に加入しておくと安心です。

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