一人親方労災保険の「労災センター通信」

配管工で独立する前にしておく3つの準備|成功するポイントも解説

 配管工のなかには、独立して一人親方として現場で働く方も多くいらっしゃいます。
 自分もいつかは独立したいと考えていたり、周囲から独立をすすめられたりすることもあるでしょう。しかし、以下のような疑問が生じます。

「どうすれば独立できる?」
「独立するメリットは?」
「失敗しないか心配……」

 そこで本記事では、配管工で独立するために欠かせない3つの準備をまとめました。独立後の生活をイメージできるよう、メリット・デメリットや成功するポイントも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
配管工事の一人親方

配管工で独立する前にしておく3つの準備

 現場に一人親方として応援に来る職人に会ったり、周囲から独立をすすめられたりして、「自分も配管工の経験を活かして独立したい」と考える方もいらっしゃるでしょう。個人事業主の場合、税務署に開業届を提出することでフリーの配管工として事業を開始できます。
 しかし、独立後すぐに仕事を獲得できるかは、独立前の準備次第だといっても過言ではありません。ここでは、配管工で独立する前にしておく3つの準備をご紹介します。

技術と資格を身につける

 配管工で独立する前に、技術と資格を身につけることは重要です。
 設備会社や建設会社で実務経験を積み、一通りの仕事ができるようになってから独立を検討できるでしょう。独立後は営業も自分で行うようになるため、経営者目線で仕事の受注の仕方もしっかりと学んでおく必要があります。
 また、以下の資格を取得しておくことで、腕のよい配管工であることをアピールできます。

  • 配管技能士
     厚生労働省が認定する技能検定制度の一種で、水管・ガス管・換気設備など建築物の配管工事を行う技能を認定する国家資格です。レベルごとに1~3級に分けられており、配管技能士1級を取得することで独立する際に大きな強みになると期待できます。配管工としてのスキルを証明するために、独立前に取得しておきたい資格です。
  • 管工事施工管理技士
     国土交通省管轄の国家資格で、配管工事の施工計画を作成し、工程・安全・品質の管理を行えることを証明します。1級と2級に分かれており、1級は大規模工事現場の施工管理・安全管理を、2級は中小規模工事現場の施工管理を行うのが一般的です。独立して親方・現場監督として働きたい方は、ぜひ取得しておきたい資格です。
  • 建築設備士
     建築士に対して、建築設備の設計・工事監理に関するアドバイスを行える国家資格です。建築設備全般に関する知識・技能が求められる難易度の高い資格ですが、配管だけでなく建築物全体に関与して、幅広い業務に携わりたい方は取得を目指すとよいでしょう。

 上記以外にも、配管工の分野別に取得しておくとよい資格があります。

【水管】

  • 給水装置工事主任技術者
  • 水道技術管理者
  • 排水設備工事責任技術者
  • 酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者

【ガス管】

  • 簡易内管施工士
  • ガス可とう管接続工事監督者
  • ガス消費機器設置工事監督者

【換気設備】

  • 電気工事士
  • 冷媒フロン類取扱技術者
  • 冷凍空気調和機器施工技能士

人脈づくりに励む

 配管工で独立する前の準備として、人脈づくりに励むことも挙げられます。
 建設業は横のつながりが強く、独立後に安定して仕事を獲得するために人脈づくりは欠かせません。独立直後はとくに、現在勤めている会社の下請けや応援として働くケースが多くなるため、社長・同僚とよい関係を築いておく必要があります。
 また、同じ現場で働く他の職人たちとも積極的にコミュニケーションを図り、気軽に連絡を取り合える関係を築くようにしましょう。配管工としてのスキルが認めらたり人柄が気に入られたりすると、独立後に積極的に声をかけてもらえると期待できます。

資金を貯める

 配管工で独立する前に、十分な資金を貯めておくことも大切です。
 独立後は、車両・道具備品などを自分で揃える必要があります。腰道具をはじめ、業務に必要な材料を購入する現金を用意しておきましょう。
 事務所を借りる場合は、敷金や数ヶ月分の家賃を払えるだけの資金も必要です。仕事用のパソコン・プリンターや、事務所に設置する家具・備品を購入する必要もあるでしょう。
 初期費用と併せて考えておかなければならないのが、運転資金です。家賃・光熱費・人件費・材料を仕入れる費用・ガソリン代・広告費など、事業を行うのに必要な費用が発生します。独立直後は安定した仕事量が得られず、資金不足により事業が回らなくなるケースも珍しくありません。
 独立資金を準備する際は、当面の生活費も含め数ヶ月分の運転資金をカバーできるように、十分余裕を持った金額を設定するようにしましょう。必要な資金の全額を貯金できない場合は、日本政策金融公庫など融資を活用できるかもしれません。

配管工で独立した後の生活はどうなる?メリット・デメリットをご紹介

 独立後の生活は、会社員時代と大きく変化します。生活の変化は自分だけでなく家族にも影響を与えるため、事前に話し合って協力を得ておくようにしましょう。
 ここでは配管工で独立してからの生活をイメージできるよう、独立のメリットとデメリットをまとめます。

独立するメリット

 配管工で独立するメリットは、以下のとおりです。

  • 配管工事の需要は高い
     配管は生活に欠かせないライフラインで、仕事がなくなることはありません。一度設置した配管も、メンテナンスや修理を必要とします。高度経済成長期に設置された配管が、老朽化により修理を必要とするケースも増えています。
  • 年収アップも可能
     独立して直接仕事を請け負うようになると、売上がそのまま収入につながるため年収アップも可能です。1日に複数の現場をこなす職人の場合、日給月給の会社員時代と比較して大幅に収入がアップすることも。一人親方として独立した配管工の年収は、300~1,000万円ほどだと言われており、頑張り次第で今の年収を大幅に超えられると期待できます。
  • 自分のペースで仕事ができる
     独立して請負で働く一人親方は、仕事を受注するか否かを自由に決定できます。また始業・終業時間も仕事の進捗状況に応じて自由に決められるため、自分のペースでストレスをためないような仕方で働くことが可能です。ワークライフバランスを充実させるために、独立を目指す職人は少なくありません。

独立するデメリット

 独立したからといって、必ずしも自分が望む生活が得られるわけではありません。以下のようなデメリットも覚悟したうえで、独立を検討する必要があります。

  • 雑務に追われて休日が減る場合がある
     独立すると、今まで会社が行っていた営業・事務の仕事も自分で行わなければなりません。現場仕事が終わった後や休日も、領収書の作成など事務仕事に追われて、ゆっくりできない場合があります。また独立直後はとくに、事業を軌道に乗せるために休日返上で働く方は少なくありません。独立後すぐにマイペースで自由な働き方ができるわけではないことを覚悟して、事務仕事を家族に手伝ってもらうなど対策をしておくとよいでしょう。
  • 年収がアップするとは限らない
     独立後の年収には個人差があり、必ずしも年収がアップするとは限りません。下請けや孫請けの低単価案件ばかりをかかえてしまったり、元請けから急に仕事を打ち切られてしまったりすることも考えられます。年収は仕事量と単価に比例するため、毎月の収入が不安定になり、場合によっては今の年収を下回ることも。独立直後は無駄遣いを避けたり家計のやりくりを工夫したりするなどして、事業を軌道に乗せることに集中しましょう。

配管工で独立して成功するポイント

一人親方としての独立のポイント
 配管工で独立して成功するポイントは、以下のとおりです。

  • 小さな仕事もコツコツと地道に取り組む
  • 配管工事以外にもできる仕事を増やす
  • ケガや病気のリスクに備えておく

 ここでは、各ポイントの詳細を解説します。

小さな仕事もコツコツと地道に取り組む

 配管工で独立して成功するには、小さな仕事もコツコツと地道に取り組むことが大切です。
 独立後に安定して仕事を獲得するには、信頼と実績が欠かせません。最初は下請けの仕事がメインになるのが一般的ですが、小さな仕事でもコツコツと地道に取り組むことで信頼を得られます。また、丁寧で迅速な仕事を繰り返すことで実績につながります。
 独立後はお金の管理も自分で行うようになるため、資金繰りに失敗して信頼を失うことがないよう注意が必要です。たとえば、資金繰りがうまくいかずに材料の購入に支障が出たり、従業員への給料の支払いが遅れてしまったりすると、信頼を失うことになりかねません。

配管工事以外にもできる仕事を増やす

 配管工で独立して成功するポイントとして、配管工事以外にもできる仕事を増やすことが挙げられます。
 配管工は比較的独立しやすい職種だと言われており、同業者との競争が激しくなると考えられます。そこで、対応可能な業務を増やすことで、他社との差別化を図るとよいでしょう。
 たとえば配管工事に加えて、風呂・洗面台・エアコンなどの設置工事もできるようになると、まとめて案件を獲得できます。集客の際にアピールしやすくなるだけでなく、単価アップも期待できるでしょう。

ケガや病気のリスクにも備えておく

 配管工で独立して成功するには、ケガや病気のリスクに備えておくことも重要です。
 独立して個人事業主になると、労働基準法の「労働者」に該当しなくなり、労災保険は適用されません。労災保険未加入の状態で、仕事中に万が一の事故でケガや病気になると、治療費を全額負担することになります。また治療が長引いて仕事ができなくなると、収入が得られずに生活が苦しくなることも考えられます。
 そこで、建設業の一人親方も任意で加入できる、労災保険の特別加入を活用すると安心です。一人親方労災保険に特別加入をすると、給付基礎日額に応じた額の補償が受けられます。仕事中にケガや病気をしても、自己負担ではなく無料で治療が受けられるため安心です。
 一人親方労災保険の加入手続きや費用については、労働局承認の「一人親方団体労災センター 」まで、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

 配管工で独立する前にしておく準備は、以下の3つです。

  • 技術と資格を身につける
  • 人脈づくりに励む
  • 資金を貯める

 独立後は、年収アップや自分のペースで働けるなどメリットがあると同時に、「雑務が忙しく休みが思うように取れない」「会社員のときよりも年収が下がった」などのケースもあるため注意が必要です。
 事前準備をしっかりと行うことに加え、独立後は小さな仕事もコツコツと地道に取り組み、仕事の幅を広げて自らを上手にアピールしましょう。
 また、独立後は労災保険の適用外となるため、万が一のケガや病気に備えて一人親方労災保険に特別加入しておくと安心です。

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