一人親方が労災保険に特別加入する際、
「どのような書類を用意しておけばよいのか?」
「申し込むにあたってまず何をすればよいのかわからない」
と悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
一人親方労災保険の申し込み手続きには、加入申込書や身分証明書の写しなどの書類が必要です。また、収入を証明する書類が必要になる場合もあります。
本記事では、一人親方労災保険の加入に必要な書類や特別加入団体への加入の流れ、労災事故が発生した際の申請方法をご紹介しています。
一人親方として活動されていて労災保険への特別加入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
一人親方労災保険に特別加入する際の必要書類
一人親方が労災保険に加入するには、特別加入制度を利用する必要があります。特別加入の申請に必要な書類にはどのようなものがあるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
加入申込書
必要事項を記載する加入申込書は、特別加入団体のホームページからダウンロードできる場合が多いでしょう。
加入証明書には、氏名や生年月日・住所などの個人情報をはじめ、現在の業務内容や特定業務の有無などを記載します。
上記の他にも「給付基礎日額」を選択し記載する必要があります。給付基礎日額とは、労災保険料の金額を算定する際の基準になるものです。
3,500~25,000円までの16段階があり、給付基礎日額が高いほど保険料は高額になり、補償内容は手厚くなります。無理なく支払える保険料の金額と、補償内容のバランスを考えて、給付基礎日額を選びましょう。
加入申込書に必要事項を記載したら、郵送またはFAXで送付します。
ただし、インターネットでの申し込みを受け付けている団体だと、加入申込書の提出が不要な場合もあります。
身分証明書のコピー
一人親方労災保険の特別加入手続きには、身分証明書のコピーが必須です。
身分証明書は、顔写真付きのものであれば1枚、顔写真なしのものであれば2枚必要な場合が多くなっています。以下の例を参考に、確認しておきましょう。
【顔写真付きの身分証明書】
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
【顔写真なしの身分証明書】
- 健康保険証
- 国民年金手帳
- 住民票
所得証明書(必要な人のみ)
高い給付基礎日額を選択した人に限り、所得証明書の提出を求められることがあります。
いくら以上で提出が必要になるかは団体によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
所得証明書は所得や収入がどのくらいあるのかを証明する書類で、所得の水準に見合った給付基礎日額を設定しているかを確認するために必要とされています。
一人親方が労災保険に特別加入する際の流れ
一人親方が労災保険に特別加入する際には、自分で役所などへ行って手続きをするわけではありません。具体的に何をすればよいのか、大まかな流れをご紹介します。
加入資格があるか確認する
まずは、自分に一人親方労災保険に特別加入できる資格があるのかを確認しましょう。
特別加入の要件には、「個人で仕事を請け負っていること」「従業員を使用していないこと」などが挙げられます。
ただし、会社に所属していても「雇用されている」のではなく「請負で仕事を行っている」場合は、労災保険への加入資格が認められます。
一方で正式には雇用されていなくても、会社の指示で仕事を進めている場合や、会社が道具を用意してくれている場合などは「雇用関係にある」と判断される可能性があるため、注意が必要です。
また、お互いに雇用関係のないグループで仕事をしている場合や法人の役員のみで仕事をしている場合も、特別加入は可能です。
従業員を使用していても、雇用期間が年間100日未満であれば、加入資格があると判断されます。
特別加入団体を探す
一人親方労災保険に特別加入するには、特別加入団体を経由して手続きを行う必要があります。そのため、自分が住んでいる地域から加入できる特別加入団体の中から、利用しやすい団体を探しましょう。
一人親方労災保の特別加入団体は、団体ごとにさまざまな特徴があります。
特にチェックしたいポイントが「費用」「スピード」「安心感」の3つです。
費用については、労災保険料以外にどのような費用がいくらぐらい発生するのかを確認することが重要です。スピードについては、申し込み手続きをしてから実際に加入できるまでどのくらいかかるのか、しっかり確認しておきましょう。
また、安心感については、労働局の承認を受けているか、特定の宗教団体や政治団体とつながりがないか、社会保険労務士が在籍しているかなどをチェックすることをおすすめします。
申し込み手続きを行う
加入する特別加入団体が決まったら、上記でご紹介した必要書類を用意して、申し込み手続きを行いましょう。
申し込み方法の選択肢は特別加入団体によって異なりますが、主に郵送やFAX・インターネットで申し込みが可能です。
初期費用の支払いが済んだら、特別加入団体が管轄の労働基準監督署へ加入申請を行うと、正式に加入できます。早ければ申し込みの翌日には加入できる団体もあるため、お急ぎの場合はチェックしておくとよいでしょう。
その後、労災保険番号が記載された組合員証が発行されます。
【補償別】一人親方労災保険の申請方法
一人親方が業務中、もしくは通勤中の労災事故に遭った場合の労災保険申請方法をご紹介します。申請したい補償の種類ごとに手順をまとめたので、参考にしてください。
療養補償
療養補償とは、一人親方が業務中もしくは通勤中に労災事故に遭い、医療機関での治療が必要になったときに受けられる補償です。
まずは、労災指定病院を受診し、労災保険を使用することを伝えます。このとき、健康保険証を使うと労災として処理されなくなってしまうため、注意が必要です。
次に受診後に加入している団体に連絡をし、労災事故の報告を行います。団体から労災申請書類が送られてくるため、必要事項を記入して団体に提出しましょう。
申請が通れば、治癒するまでの治療費が支給されるため、自己負担なく医療機関にかかることができます。
休業補償
労災事故により一人親方が仕事を休まなければならなくなったときは、休業補償を受けられます。
支給条件は「労働できない日が4日以上となること」と「全部労働不能と医師から診断されること」です。
休業補償を申請するには、加入している団体に連絡をして労災事故報告書を提出し、団体から「休業補償給付支給請求書」が送られてきたら医療機関に提出してください。
医療機関に必要事項を記入してもらったら、書類を団体に返送します。
申請が通ったら、1日あたり基礎給付日額の8割相当(給付金6割+特別給付金2割)を受けられます。
障害補償
障害補償とは、ケガや病気が治った後に、一定の障害が残った場合に年金または一時金が支給されるという補償です。
年金か一時金かは障害等級によって決まり、障害等級1~7級は年金、8~14級は一時金として支給されます。
障害補償の給付を受けるためには医療機関で治療を受け「治癒した」と診断されなければなりません。その上で障害が残ったことがわかったときは、加入している団体に連絡をして労災申請書類を作成します。
医療機関で障害が残ったことを証明する書類をもらい、申請書と一緒に加入団体に返送してください。
遺族補償
遺族補償とは、一人親方が労災で死亡した場合に、遺族に対して行われる補償のことです。
遺族が加入団体に連絡をして一人親方が死亡したことを伝えると「遺族補償年金支給請求書」が送付されてくるため、死亡した一人親方との身分関係や生計維持関係を証明できる書類を添付して返送します。
補償は、遺族補償一時金または遺族年金として支給されます。
死亡日の翌日から5年で時効を迎え、請求権が消滅してしまうので注意してください。
葬祭料の給付
一人親方労災保険では、死亡した一人親方の葬祭を行った方に対して葬祭料が支給されます。
家族がいない場合など、会社の方や友人が葬祭を行った場合は、葬儀を行った方が支給対象になります。
加入している団体に連絡をして葬祭を行うことを伝えると「葬祭給付請求書」が送られてくるため、死亡診断書または死体検案書などと一緒に返送してください。
葬祭を行ったが指定した口座に、労働基準監督署から費用が振り込まれます。
介護補償
介護補償は、業務中もしくは通勤中のケガや病気で重度の障害が残り、介護が必要になった一人親方を対象とした補償です。
支給金額は常時介護を受けている場合と随時介護を要する場合とで異なり、それぞれ上限額・下限額が設けられています。
申請する際は、加入している団体に連絡をして「介護補償給付支給請求書」を送付してもらい、介護を受けた日数と費用の額を証明する書類を添付し、返送してください。
支給条件には「一定の障害の状態に該当すること」以外にも「現に介護を受けていること」「病院や診療所に入院していないこと」「一定の施設に入所していないこと」なども含まれます。
まとめ
一人親方労災保険に特別加入する際の必要書類をはじめ、特別加入の流れについても詳しくご紹介しました。
特別加入の申請時は人によって必要な書類が異なるため、事前によく確認しておきましょう。
また、特別加入団体はそれぞれに特徴やメリットがあるので、自分にとって利用しやすい団体を見極めることが大切です。
本記事では、労災事故発生時の一人親方労災保険申請方法についても、補償の種類ごとにご紹介しています。万が一のことがあったときに慌てることのないよう、参考にするとよいでしょう。
一人親方労災保険センターは「安い」「早い」「安心」をモットーとした全国規模の一人親方団体です。社会保険労務士が在籍しているため、わからないことや困ったことがあるときはご相談ください。