保険や年金の特徴を正しく理解していないと、万が一のリスクや将来の生活に不安が残ります。
一人親方として働き始めた方の中には、「一人親方でも協会けんぽに加入できるのだろうか」と疑問を感じることもあるでしょう。
協会けんぽは会社員向けの健康保険であり、一人親方は原則として加入できません。
そこで本記事では、一人親方が協会けんぽに加入できない理由、一人親方が加入できる健康保険、健康保険以外に押さえておきたい制度について解説します。
一人親方として、長く安心して働き続けたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
一人親方が協会けんぽに加入できない理由
一人親方は、原則として協会けんぽに加入できません。
協会けんぽは、会社に雇われて働く従業員とその家族を対象とした健康保険制度であるためです。
一方、一人親方は会社と雇用契約を結ばず個人事業主として仕事を請け負う立場であり、協会けんぽの加入条件を満たしません。
加入できる保険制度は働き方の違いによって分かれているため、一人親方は協会けんぽではなく、国民健康保険や国民健康保険組合(建設国保)など、別の健康保険制度を選択する必要があります。
協会けんぽとは
協会けんぽとは、「全国健康保険協会」という名称の健康保険制度です。
主な加入対象は、健康保険組合を持たない中小企業で働く従業員と、その扶養家族です。
国が運営していた健康保険事業を引き継ぐ形で2008年に設立され、現在では国内最大規模の保険者となっています。
協会けんぽでは、医療費の保険診療に加え、健康診断の補助や高額療養費制度、傷病手当金などの給付を受けられます。
個人事業所であっても、常時雇用する従業員が5人以上になった場合は協会けんぽへの加入が必要です。
一人親方が加入できる健康保険
一人親方は協会けんぽに加入できないため、別の健康保険制度を選ぶ必要があります。
一人親方が加入できる健康保険は4つあり、それぞれ加入条件や保険料の仕組みが異なります。
本章では、一人親方が加入できる健康保険についてまとめました。
国民健康保険に加入する
国民健康保険は、会社の健康保険に加入していないすべての住民を対象とした公的医療保険です。
一人親方や個人事業主の多くが加入する、もっとも一般的な選択肢といえるでしょう。
国民健康保険に加入すると、医療機関を利用した際の自己負担は原則として3割で、年齢や所得によっては1~2割となる場合もあります。
保険料は前年の所得をもとに市区町村ごとに計算されるので、収入が増えた翌年は保険料が高くなりやすく、収入の波が大きい一人親方にとっては負担を感じやすい制度かもしれません。
加入や脱退の手続きは、一人親方として開業した日ややめた日などを起算日として14日以内に、お住まいの市区町村の窓口にて行う必要があります。
期限が定められているので、開業時や状況が変わった際は早めに対応しましょう。
健康保険任意継続制度を利用する
一人親方になる前に会社に所属していた場合は、健康保険任意継続制度を利用して健康保険に加入できます。
健康保険任意継続制度とは、会社を退職した後も、条件を満たせばそれまで加入していた健康保険を最大2年間継続できる制度で、退職日までに2か月以上被保険者であったこと、資格喪失日から20日以内に申請することが加入条件です。
健康保険任意継続制度のメリットは、会社員時代とほぼ同じ給付内容を受けられる点にあります。
一方で、在職中は会社と折半していた保険料が全額自己負担となるデメリットがあり、保険料が高く感じられます。
保険料の納付期限を過ぎても納付されなかった場合は、任意継続の資格を失うため、かならず期限までに支払うようにしましょう。
国民健康保険組合(建設国保)に加入する
国民健康保険組合は、同じ業種で働く人が集まって運営する公的医療保険です。
建設業に従事する一人親方であれば、建設国保に加入できる可能性があります。
国民健康保険組合の特徴は、保険料が所得ではなく年齢・家族構成・働き方などを基準に決まる点で、所得の高い一人親方は、市区町村の国民健康保険より負担を軽く感じられる可能性もあるでしょう。
建設国保には、業界独自の給付や健診補助が用意されている場合もあります。
ただし、加入条件や審査は比較的厳しく、誰でも入れるわけではない点に注意が必要です。
詳細は、最寄りの全国建設工事業国民健康保険組合の支部へご相談ください。
家族の健康保険に扶養として加入する
一人親方でも、配偶者や親などが会社の健康保険に加入していて、自身の収入が一定額未満であれば被扶養者として加入できる場合があります。
扶養に入ると自分の保険料負担がなくなり、家計の負担を減らせるのが特長です。
扶養の条件は健康保険組合ごとに異なり、事業内容や収入の安定性を厳しく確認されるケースも少なくありません。
また、扶養として加入するためには収入に明確な上限が設けられており、収入を増やすと扶養から外れるリスクがあります。
そのため、事業の拡大や安定した収入を目指す一人親方にとっては、現実的な選択肢とは言いづらく、健康保険の選択肢としての優先度は低いかもしれません。
一人親方が健康保険以外に押さえておきたい制度
一人親方として働くうえでは、健康保険だけ整えていれば安心とはいえません。
会社員のように、病気やけがによる収入減少や老後の生活を自動的に支える仕組みがないためです。
安定した働き方を続けるためには、健康保険以外の制度についても正しく理解し、必要な備えをしておくことが重要です。
本章では、一人親方が押さえておきたい制度として、国民年金・一人親方労災保険の2つの特徴を解説します。
関連記事:【建設業の一人親方必見】社会保険未加入問題とリスクを解説
国民年金
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の方の加入が義務づけられている公的年金制度です。
厚生年金に加入していない、一人親方・自営業者・学生・専業主婦などは国民年金に加入しなければいけません。
国民年金は次の3つに分けられており、それぞれで手続きや納付方法が異なります。
| 第1号被保険者 |
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| 第2号被保険者 |
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| 第3号被保険者 |
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一人親方は、第1号被保険者に該当します。
国民年金は、老後に受け取る老齢年金の土台となるだけでなく、病気や事故で障害が残った場合に支給される障害年金、加入者が亡くなった場合に遺族が受け取る遺族年金の基礎にもなっているのです。
保険料は毎月定額で、前納制度を利用すると割引が適用されます。
将来の生活を安定させるためにも、未納を避けて計画的に納付することが大切です。
一人親方労災保険
一人親方労災保険は、仕事中や通勤中に起こる事故や病気に備えるための制度です。
労災保険は本来、会社に雇われて賃金を受け取る労働者を対象とした制度であり、個人事業主である一人親方は原則として加入できませんが、一人親方の業務内容や働き方が労働者に近いことから、「特別加入」という仕組みにより、例外的に労災保険へ加入できるのです。
労災保険に特別加入すると、仕事中のけがに対する治療費の自己負担がなくなるほか、治療のために休業した場合の休業補償、障害が残った場合の障害補償、万が一死亡した場合の遺族補償などを受けられます。
一人親方は、自分が働けなくなれば収入が途絶えるリスクが高いため、労災保険の有無は生活に直結します。
また、元請会社から加入を求められるケースも多く、仕事を継続するうえでも重要な制度といえるでしょう。
関連記事:一人親方の労災保険への特別加入は義務?加入のメリットや申請方法を解説
一人親方の労災保険は一人親方団体労災センターがおすすめ
一人親方が労災保険に特別加入するなら、一人親方団体労災センターをおすすめします。
一人親方団体労災センターは、自分で選択した給付基礎日額に応じた労災保険料、月に500円の組合費、入会金1,000円だけで加入できて、ほかの余計な手数料が発生しないので、年間のコストを把握しやすいのが特長です。
また、手続きがスピーディーで、入金が確認され次第、最短で翌日から補償が開始されて加入証明書も早期に発行されるため、元請会社から提出を求められている場合や、急いで現場に入る必要がある場合にも対応しやすいでしょう。
さらに、全国対応で社会保険労務士のサポートが受けられるので、万が一の事故が起きた際にも申請書類作成まで無料の支援を得られます。
詳細は、一人親方団体労災センター のサイトをご確認ください。
まとめ
一人親方は原則として協会けんぽに加入できず、自身で健康保険・年金・労災保険を選び、備える必要があります。
健康保険については、国民健康保険を基本としつつ、状況によっては国民健康保険組合(建設国保)や健康保険任意継続制度、家族の扶養といった選択肢も検討できます。
それぞれ保険料の仕組みや加入条件が異なるため、自分の収入や働き方に合った制度を選ぶことが重要です。
また、健康保険だけでなく、老後の生活を支える国民年金や、仕事中の事故に備える一人親方労災保険への加入も欠かせません。
特に労災保険は、働けなくなった場合の生活を守る重要な制度であり、元請会社との取引を円滑に進めるうえでも大切です。
労災保険の特別加入を検討されている方は、ぜひ一人親方団体労災センター へご相談ください。
制度の内容を正しく理解し、早めに準備を整えることで一人親方として安心して働き続ける環境を整えましょう。
