一人親方労災保険の「労災センター通信」

第三者行為災害届とは?必要書類・手続きの流れ・提出時の注意点を解説

第三者行為災害届は、第三者の行為が原因で業務中や通勤中に労災が発生した際に提出する書類です。
届出を怠ると、労災保険の給付を受けられない可能性があるため、正しい手続き方法を押さえておく必要があります。

そこで本記事では、第三者行為災害届の記載項目・添付書類・手続きの流れ・注意点についてわかりやすく解説します。
第三者による労災が発生した際、スムーズに申請を進めたいという方は、ぜひ参考にしてください。

第三者行為災害届とは?提出が必要な理由

「第三者行為災害届」は、第三者の行為によって発生した労災(第三者行為災害)の被災者が、労災保険給付を受ける際に提出する書類です。

この届出書は、労働基準監督署が加害者との示談状況などを把握し、給付額の調整を行うための重要な判断資料です。

提出先は所轄の労働基準監督署で、給付申請に必要なほかの書類と併せて提出します。

なお、被災者が加害者からすでに損害賠償を受け取っている場合、その賠償額を限度として労災保険給付が調整されます。

こうした支給調整は、保険給付と損害賠償の二重取りを防ぎ、適正な補償を行うために不可欠なプロセスです。

第三者行為災害届の記載項目と記入例

第三者行為災害届(全4部)の記載項目を表にまとめました。

必要書類 記入項目
届その1
  • 被災者(第一当事者)
  • 被災者が所属する労災保険特別加入団体または事業場
  • 災害発生日
  • 相手方(第二当事者)
  • 災害調査を行った警察署や派出所
  • 災害発生の現認者
  • 被災者自身が運転していた車両(交通事故の場合のみ)
届その2(交通事故の場合のみ)
  • 事故現場の状況
  • 事故当時の行為、心身や車両の状況
  • 相手方の自賠責保険・任意対人賠償保険について
  • 相手方以外の場合の運行供用者
  • 被災者の人身傷害補償保険について
届その3
  • 災害発生状況
  • 現場見取図
  • 過失割合
  • 示談について
  • 身体損傷・診療機関
  • 損害賠償金の受領
届その4
  • 補足用現場見取図

参考:厚生労働省「第三者行為災害のしおり」

届その4は、届その3の「現場見取図」に書き切れなかった場合にのみ必要とする書類です。

記入例については「第三者行為災害のしおり」の12~15ページに詳細が記載されているので、参考にしてください。

第三者行為災害届に添付する書類

第三者行為災害届に添付する書類について表にまとめました。

添付書類 災害状況 備考
交通事故 交通事故以外
念書(兼同意書) 必要 必要 署名と押印は労災保険の給付を受ける本人が行う
示談書 必要 必要 示談が行われた場合に提出
交通事故証明書もしくは交通事故発生届 必要 不要 自動車安全運転センターの証明がもらえない場合は交通事故発生届
損害賠償金等支払証明書もしくは保険金支払通知書 必要 不要 仮渡金または賠償金を受けている場合に提出
死体検案書もしくは死亡診断書 必要 必要 被災労働者が死亡した場合に提出
戸籍謄本 必要 必要 被災労働者が死亡した場合に提出

参考:厚生労働省「第三者行為災害のしおり」

必要書類について、順にそれぞれの特徴をご紹介します。

念書(兼同意書)

「念書(兼同意書)」は第三者行為災害届と併せて必ず提出が必要な書類です。

念書は、不用意な示談によって労災保険給付を受けられなかったり、労災保険給付を回収されたりと被災労働者の損失を防ぐ役割を持ちます。

念書の内容を十分に理解したうえで給付を受ける被災者本人が署名しましょう。

記入例については「第三者行為災害のしおり」の18ページに詳細が記載されています。

示談書

「示談書」は加害者との間で示談が成立している場合に提出が必要な書類で、当事者間の話し合いによって合意した内容をまとめたものです。

示談書は法的拘束力があり、当事者双方が署名・捺印をして一部ずつ保管します。

示談内容がわかる契約書の写しでも提出が認められています。

交通事故証明書もしくは交通事故発生届

「交通事故証明書」は、自動車安全運転センターで交付証明を受けて、事故があったことを公的に証明する書類です。

交通事故証明書は、警察に届け出ていないと発行されないため、注意してください。

警察署へ届け出ておらず、交通事故証明書を取得できない場合は「交通事故発生届」を提出します。

損害賠償金等支払証明書もしくは保険金支払通知書

加害者の保険会社からすでに仮渡金や賠償金を受け取っている場合、損害賠償金の支払い状況を証明する書類として、「損害賠償金等支払証明書」もしくは「保険金支払通知書」が必要です。

損害賠償金の支払い状況を証明する書類は交通事故の場合のみ必要とし、写しでも提出が認められます。

関連記事:「一人親方が加入すべき損害保険の種類は?選び方のポイントも解説」

死体検案書もしくは死亡診断書

「死体検案書」や「死亡診断書」は被災労働者が死亡し、遺族が労災保険給付を請求する場合に必要です。

死体検案書と死亡診断書は、医師が交付する、人の死亡に関する事項を医学的・法律的に証明する文書であり、写しでも提出が認められます。

戸籍謄本

「戸籍謄本」は、被災労働者が死亡し、遺族が労災保険給付を請求する場合に必要で、写しでも提出が認められます。

戸籍謄本とは、戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するものです。

本籍地の市・区役所・行政サービスコーナー・郵送で請求でき、マイナンバーカードを持っている方はコンビニやオンラインでも請求できます。

関連記事:「個人事業主必見!マイナ保険証の仕組みや切り替え方、使い方などを解説」

第三者行為災害届の提出方法

第三者行為災害届の提出方法は、基本的に通常の労災保険請求手続きと同様です。

  1. 第三者行為災害が発生し被災
  2. 第三者行為災害届と保険給付請求に必要な書類を準備
  3. 管轄の労働基準監督署へ提出
  4. 労災保険の給付申請を行う
  5. 労災保険給付に関する請求書を労働基準監督署に提出

第三者行為災害届のフォーマットは、厚生労働省の「主要様式ダウンロードコーナー」からPDF形式や直接入力できるエクセル形式でダウンロード可能です。

また、管轄の労働基準監督署の窓口でも直接用紙を入手できます。

第三者行為災害届を提出する際の注意点

本章では、第三者行為災害届を提出する際の注意点について解説します。

手続きを円滑に進め、適切な給付を受けるために不可欠な重要事項をまとめました。

示談の内容によっては給付が受けられない

示談の内容によっては、労災保険の給付請求権を失って給付が受けられない可能性があります。

示談交渉を進める前に労働基準監督署へ相談し、届出を優先するとよいでしょう。

損失を被らないよう不用意に示談を行わず、念書に記載された注意書きの内容を理解したうえで提出してください。

届出の内容に虚偽や誤りがあると賠償金の支払いに影響する

記載内容に虚偽や誤りがあると、損害賠償金や保険金の支払いに影響が出ることもあります。

第三者行為災害の場合、労災保険からの治療費や休業補償の受給だけでなく、加害者や加害者の加入する自賠責保険・任意保険会社に対して損害賠償請求をすることも可能です。

第三者行為災害届の内容は、求償手続きの根拠となるため、正確に記入しましょう。

記憶が曖昧な場合は「不明」と記載するか、関係者に確認して憶測で書くことは避けてください。

補償の二重取りはできない

労災保険の給付と第三者からの損害賠償を重ねて受け取ることはできません。

先に損害賠償を受けた場合、労災保険からは「賠償項目と同一の性質を持つ給付」について、受け取った金額を差し引いて支給されます。

各給付に対応する損害賠償の項目は下表の通りです。

労災保険給付 損害賠償項目
療養(補償)給付 治療費
休業(補償)給付 休業により喪失した利益
傷病(補償)年金 休業により喪失した利益
障害(補償)給付 身体障害により喪失または減少した利益
介護(補償)給付 介護費用
遺族(補償)年金 労働者の死亡により遺族が喪失した利益
葬祭料(葬祭給付) 葬祭費

不支給を避けるためにも、示談の際はどの名目で賠償金を受け取るのか、労災給付との対応関係を正しく把握しておきましょう。

一人親方は労災保険特別加入制度を活用しよう

労災保険の特別加入制度とは、労災保険の対象外である一人親方や中小事業主なども、業務実態に応じて特別に加入が認められる制度です。

特に、労災リスクの高い建設業で働く一人親方が未加入の場合、労災時に補償を受けられず、休業中の収入が得られません。

治療費も自己負担となり、経済的な負担が大きいため、特別加入制度を活用したほうが安心といえるでしょう。

手続きは都道府県労働局長の承認を受けた「一人親方団体」を通じて行う必要があり、数ある団体のなかでも、手厚いサポートで多くの支持を得ているのが「一人親方団体労災センター」です。

<一人親方団体労災センターが選ばれているポイント>

  • 費用は初年度のみ入会金1,000円、月々500円の組合費と労災保険料のみ
  • 団体割引あり
  • 追加費用は一切なく、労災申請書類は当センターで作成
  • 加入証明書は即日発行、最短翌日から加入可能
  • 社会保険労務士が在籍し、東北から沖縄まで全国規模で展開

一人親方は、万が一の労災に備えて「安い・早い・安心」をモットーに全国で選ばれている「一人親方団体労災センター」で特別加入をご検討ください。

第三者行為災害届に関するよくある質問

第三者行為災害届に関するよくある質問についてまとめました。

第三者行為災害届は誰が書き、いつまでにどこへ出しますか?

第三者行為災害届は請求者本人または代理人が書きます。

法的に明確な提出期限は定められていないものの、速やかに管轄の労働基準監督署へ提出してください。

提出が遅れた場合は「提出遅延理由書」の添付を求められる場合があります。

第三者行為災害届は損害賠償と労災保険給付の調整に必要な書類です。

原則として、労災保険給付の請求書を提出する前、または同時に提出しましょう。

第三者行為災害届を出さないとどうなる?

第三者行為災害届を出さないと、労災保険給付が受けられない可能性があります。

給付を受けられず、不利益を被らないためにも、被災労働者は第三者行為災害届を速やかに提出しましょう。

念書(兼同意書)や交通事故証明書など事故状況によって必要な添付書類が異なるため、注意してください。

第三者の加害者が提出する書類は?

策三者の加害者側が提出する書類は「第三者行為災害報告書」です。

災害発生時や損害賠償金の支払状況などの確認に必要なため、第三者の加害者に該当する方は速やかに提出しましょう。

記入例については「第三者行為災害のしおり」の16~17ページに記載されているので、参考にしてください。

第三者の情報が不明な場合はどうする?

ひき逃げ事故などで第三者の情報が不明な場合は、加害者となる第三者の情報欄は「不明」とします。

届出年月日・警察署名・受理番号などの警察への届出状況を記載して、第三者行為災害届を提出してください。

まとめ

第三者行為災害届は、第三者が原因の労災事故において、一人親方の支えとなる重要な書類です。

加害者が加入する保険会社への損害賠償請求も可能なため、事故状況に応じた必要書類や手続きの流れを事前に把握しておくことが大切です。

万が一の事態に備え、制度の仕組みを正しく理解し、迅速かつ適切な対応を心がけましょう。

> 労災センター通信 一覧ページへ

問い合わせはこちら

一人親方労災保険についての
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

050-3786-1525

[受付時間] 平日9時~18時 (土日祝・年末年始除く)

一人親方労災保険特別加入のお申し込みはこちら

お申し込みの流れはこちらをご覧ください。

一人親方労災保険特別加入手続きの当団体対象地域

関東
東京・千葉・神奈川・埼玉・茨城・栃木・群馬・静岡
関西
大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀・三重・鳥取・岡山・徳島・香川
中部
長野・新潟・富山・山梨・岐阜・愛知
九州
福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島
東北
宮城・岩手・秋田・山形・福島
沖縄
沖縄