一人親方労災保険の「労災センター通信」

【建設業従事者必見】建設業独自の労災保険の適用条件とは?

 建設業においては、ほかの業種とは労災保険に関するルールが異なります。したがって、建設業に従事する方は建設業ならではのルールを理解しておかないと、どのように労災保険に加入すべきかがわからなくなることがあります。

 この記事では、建設業ならではの労災保険に関するルールを解説しています。一人親方の労災保険加入をサポートしている「一人親方団体労災センター」が、わかりやすさに重点を置いて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

建設業の労災保険のポイント

 最初に理解しておかなくてはならないのは、建設業の労災保険がほかの業種とはどのように異なるのかという点です。相違点を把握することにより、自社もしくはご自身の保険制度についても明確に理解できるでしょう。
 この章では、労災保険の適用範囲・継続事業と有期事業との違い・工期スケジュールが変更になったときの、3つの観点からご紹介します。

適用範囲

 建設業以外の業種の場合、労災保険の適用範囲は事業所単位です。1人以上従業員を雇用する企業・もしくは個人事業主は、必ず労災保険に加入し、従業員全員分の労災保険に加入しなくてはなりません。
 事業所単位での加入となっているため、例えば支店・営業所・店舗が存在する場合には、支店ごとに労災保険に加入します。これらの場合、労災保険の加入義務者は雇用主です。
 建設業の場合には、現場・事務所単位で労災保険に加入します。

  • 現場
    建設現場などでは、請負元・受注業者・一人親方などがチームを組んで事業をおこないます。これらのチームが一つの事業所として見なされます。
    基本的に、労災保険の加入義務者は請負元です。
  • 事務所
    建設業を営む企業では、作業現場とは別に事務所を構えていることも多々あります。
    これらの事務所スタッフにも労災保険は適用されます。
    当然ながら労災保険の加入義務者は雇用主です。

継続事業と有期事業との違い

 多くの企業の事業は、期限を定めずに継続的に営まれます。例えば、小売店や製造業者の場合には、特段の事情がないかぎり、廃業することはないでしょう。このように継続的に営まれる事業を継続事業といいます。継続事業の場合は、毎年の更新日に労働保険料の申告をおこない、加入の継続がなされるという仕組みがとられます。
 一方で、建設事業者の場合はプロジェクト単位で仕事が組まれるケースが大半です。工期が完了すると、加入していた労災保険も工期の終了とあわせて消滅します。このように期限の存在する事業のことを有期事業といいます。
 有期事業の保険料金の支払いは、原則としては事業単位での一括支払いです。建設業は、数年単位のプロジェクトになることが多く、ケガが発生するリスクも高いため、プロジェクトがスタートする段階で一括して労災保険に加入します。
 ただし、小規模の建設現場に関しては包括的に1年単位の更新とすることも認められています。

工期スケジュールが変更になったとき

 工期のスケジュールが変更になった場合、追加・短縮ともに労働基準監督署に届け出をする必要があります。もともと、工期が第1期と第2期になるような大規模な工事の場合には、当初に第1期分のみを提出して、第2期がスタートする段階で第2期分を「追加」として申請する形を取ります。
 また、短縮の場合は工期終了段階で支払い済みの保険料の精算が可能です。速やかに労働基準監督署に申請しましょう。

建設業に携わる労災保険の仕組み

 建設業における労災保険の仕組みは、それぞれの立場別に保険の対象者をチェックすると細部が詳しく確認できます。
 この章では、元請け会社・下請け会社・個人のそれぞれの立場における労災保険の注意点について解説します。ご自身が該当するポジションを照らし合わせながら参考にしていただけたら幸いです。

元請け会社

 従業員を1人でも雇用している元請会社は、基本的に自社の従業員と現場を担当する下請け会社のために、雇用保険に加入しなくてはなりません。
 ただし一人親方に下請けを依頼している場合、そもそも一人親方は労働者ではないため、一人親方には労災保険が適用されません。
 個々で注意しなくてはならないのは、元請けをメインとしている事業者の従業員がほかの元請け会社の下請けとして工事現場の仕事を受注する場合は、仕事を請け負った事業者の労災保険が適用になるということです。
 また、元請け会社の代表者に関しても労働者ではないため、労災保険の対象者からは外れています。もし代表者が労災保険に加入する場合は中小事業主の特別加入制度を活用して、保険に加入しましょう。さらに、経営者と同居の家族に関しても労災保険の対象者には含まれません。

下請け会社(企業)

 下請け業者は、元請け業者の労災保険が適用されます。したがって、下請け専門の業者は、そもそも労災保険に入る必要がないケースもあります。
 しかし、元請けとしての仕事が発生したり、現場での仕事以外の業務が発生したりする可能性がある場合には、自社で労災保険に加入しなくてはなりません。
 また、下請け会社の経営者に関しても自社で労災保険に加入する場合は、対象者に含まれません。労災保険に加入するには、中小事業主の特別加入制度を利用してください。

下請け会社(一人親方)

 一人親方の労災保険は、基本的には任意加入制度です。
 会社員と大きく異なる点は、労災保険料を自分自身で負担しなくてはなりません。任意制度ということもあり、一人親方の労災保険加入は任意で必要に応じて加入するか否かを選択できます。
 ただし、請負元には現場を安全に管理する義務があるため、労災保険未加入の一人親方は仕事があまり回ってこない傾向があります。したがって、任意制度ではあるものの労災保険には原則として加入しましょう。
 請負元によっては、工事案件を発注する際に、労災保険の加入状況をチェックしている場合もあります。

建設業で認められる労災保険

 建設業における労災保険で認められるのは、以下の2つの場面に該当するケースです。

  1. 請負工事現場における作業中の事故
  2. 請負工事現場における準備・片づけ中の事故

 いずれのケースにおいても、請負工事名が特定できることが条件とされています。請負工事が特定されることにより、事業の指揮命令系統が明確になるためです。
 また、工事現場への通勤中に発生した事故については、特定区域における業務災害として認められる可能性が高いでしょう。自宅を出た瞬間から工事現場までの合理的なルートであれば、通勤災害ではなく業務災害として認められるという意味です。
 一人親方の場合は各自任意で加入することになるため、一般的な労災保険と同様の考え方で問題ありません。したがって、労災保険の適用範囲についての特別な事情を検討する必要はありません。すなわち、一般の労災保険と同様の業務災害と通勤災害が適用されます。
 保険の契約期間に関しても、原則1年間の契約になります。

建設業の現場で労災が発生した際の申請方法

 最後に、建設業現場で労災事案が発生したときの申請方法を解説します。特に、建設業だからといって特殊な事情が生じるわけではありません。
 労災保険は、補償を受け取ることではじめてメリットが生まれるため、基本のポイントをしっかりと押さえておきましょう。

病院に通院する

 工事現場でのケガ・病気が発生した場合、まずは病院で治療を受けましょう。
 このとき、労災病院もしくは労災指定の病院であれば、病院での治療費や薬代を負担する必要がありません。手続きが非常にスムーズになるため、基本的には上記のいずれかの医療機関を選択しましょう。
 緊急性が高い場合や身近に労災指定医療機関がない場合には、一般的な医療機関で治療を受けても問題ありません。その場合は、いったん治療費を全額支払ったあとに、治療費を相殺してもらうことになります。

事故の報告をする

 請負元または雇用主に対して事故の報告をおこないます。
 労災保険の申請の際には、労災事案の発生日時や状況を具体的に細かく申請しなくてはなりません。申請の記入項目によっては、請負元や雇用主の協力が不可欠です。 
 また、どのような事情があっても労災事案は労災保険で治療を受けなくてはなりません。万が一、労災事案であることを隠すために健康保険で治療を受けた場合には労災隠しになるため注意しましょう。
 どうしても、請負元や雇用主が労災保険の申請に協力をしてくれない場合は、ご自身で労災保険の手続きを進める必要があります。

申請書(請求書)を記入する

 労災保険の補償を受け取るためには、申請書(請求書)を記入して、労働基準監督署(もしくは治療を受けた医療機関)に提出しなくてはなりません。
 請求書のフォーマットは、厚生労働省のホームページなどで取得できます。労災保険の種類によってそれぞれフォーマットがわかれているため、注意しましょう。もし、不備があると確認のために労災保険の保証金給付までに時間がかかってしまったり、不備内容の確認に手間がかかってしまったりします。
 記入例などを参照しながら、一つひとつの内容を正確に記載しましょう。

まとめ

 建設業の労災保険は、ほかの業種の労災保険とは異なります。ほかの業態と決定的に異なるのは、請負元が請負先の労災保険についても加入する点です。
 その理由は、建設現場の場合には数年単位でのプロジェクトが仕事の単位となっているためです。
 請負元・下請け業者・一人親方と立場の違いによって労災保険の考え方やカバーする範囲は異なります。その際、それぞれ細かい注意事項もあるので、一つひとつ照らし合わせながら労災保険の内容をチェックすることも大切です。

ご自身のポジションを理解したうえで、労災保険の加入可否や登録の必要性について検討しましょう。

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