一人親方労災保険の「労災センター通信」

後遺障害で労災保険を申請するには?給付内容と手続きの流れを徹底解説

 労働災害に遭って治療を受けたものの、後遺障害が残る場合がありますが、状態や程度によって労災保険から給付金を受けられます。受給には後遺障害の認定を受ける必要がありますが、認定基準や給付金の金額はどのように定められているのでしょうか。
 本記事では、「障害等級表と認定基準」「労災保険の給付内容」「申請から給付までの流れ」をわかりやすく解説します。また、後遺障害で労災保険を申請する際に知っておきたい大切な情報も2点お伝えしますので、ぜひ参考にしてください。

後遺障害が残ると労災保険から給付金が受けられる

 労働災害に遭って治療を受けたものの、完治せずに後遺障害が残ってしまうことがあります。後遺障害には、関節の可動域に制限が生じる機能障害や、手指など体の一部を失う欠損障害などがあります。このような場合に、後遺障害の状態や程度によって給付金が受けられるのが、労災保険の「障害(補償)等給付」です。
 ここでは、労災保険の「障害(補償)等給付」の概要をまとめます。

障害等級表と認定基準

 後遺障害は、状態や程度によって第1級~第14級まで障害等級に区分されています。後遺障害による労災保険の給付を受けるには、労働災害で残った症状が等級認定される必要があります。
 例えば厚生労働省の「障害等級表」によると、最も重度の後遺障害である第1級の認定基準となる身体障害は、以下のように定められています。

  1. 両眼が失明したもの
  2. そしゃく及び言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
  5. 削除
  6. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  7. 両上肢の用を全廃したもの
  8. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  9. 両下肢の用を全廃したもの

 引用:「労災保険障害(補償)等給付の請求手続」 ※原文ママ

 また、最も軽度の第14級の認定基準となる身体障害は、以下の通りです。

  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
    2の2. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  3. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  4. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 削除
  6. 1手の母指以外の手指の指骨の一部を失つたもの
  7. 1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  8. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの
  10. 削除

 引用:「労災保険障害(補償)等給付の請求手続」 ※原文ママ

障害等級に合わせて年金か一時金が給付される

 第1級~第14級の障害等級に該当すると、障害の程度に合わせて年金か一時金が給付されます。

  • 第1級~第7級の場合
    障害(補償)等年金、障害特別支給金、障害特別年金
  • 第8級~第14級の場合
    障害(補償)等一時金、障害特別支給金、障害特別一時金

 年金形式は支給要件に該当する月の翌月分から給付され、毎年偶数月にそれぞれ前2か月分が支払われます。一時金形式は決められた金額が1回きり給付されますが、障害特別支給金は障害等級に関わらず一時金形式で支払われます。

障害等級の併合・併合繰上げ

 労働災害で複数の後遺障害が残ることもあります。この場合は、障害等級の併合や併合繰上げが行われることがあります。
 例えば、障害等級の異なる2つの後遺障害が残った場合は、併合により両者のうち重い方の等級が適用されます。また、障害等級第13級以上の後遺障害が複数残った場合は、併合繰上げにより最も重い等級が1~3等級繰上がることもあります。
 ただし、第14等級の障害が複数残っている場合はそのまま第14等級となり、繰上げは適用されません。

後遺障害による労災保険の給付内容

 後遺障害による労災保険の給付内容は、障害等級により異なります。いずれの場合も、給付基礎日額と算定基礎日額をもとに、給付金額が定められます。

  • 給付基礎日額とは
    業務上の負傷や死亡の原因となった事故発生の日、または医師の診断で疾病の発生が確定した日の、直前3か月の賃金の総額(ボーナスを除く)を歴日数で割った日額
  • 算定基礎日額とは
    業務上の負傷や死亡の原因となった事故発生の日、または医師の診断で疾病の発生が確定した日以前の、1年間に支給されたボーナス、または3か月ごとに支払われる賃金の総額を365で割った日額

 ここでは、後遺障害による労災保険の給付内容を、「年金形式」と「一時金形式」に分けてまとめます。
 なお、一人親方の場合については給付基礎日額は定められた額を労働基準監督署に届け出ますので上記にあるような賃金総額を暦日数で割った日数で計算をするということはありません。また、一人親方にはボーナスの支給はありませんので、算定基礎日額を基礎とする給付も支給されません。

障害等級1級~7級の場合

 後遺障害等級第1級~第7級の場合の給付内容は、以下の通りです。

障害等級 障害(補償)等年金 障害特別支給金(一時金) 障害特別年金
第1級 給付基礎日額の313日分 342万円 算定基礎日額の313日分
第2級 給付基礎日額の277日分 320万円 算定基礎日額の277日分
第3級 給付基礎日額の245日分 300万円 算定基礎日額の245日分
第4級 給付基礎日額の213日分 264万円 算定基礎日額の213日分
第5級 給付基礎日額の184日分 225万円 算定基礎日額の184日分
第6級 給付基礎日額の156日分 192万円 算定基礎日額の156日分
第7級 給付基礎日額の131日分 159万円 算定基礎日額の131日分

障害等級8級~14級の場合

 後遺障害等級第8級~第14級の場合の給付内容は、以下の通りです。

障害等級 障害(補償)等一時金 障害特別支給金(一時金) 障害特別一時金
第8級 給付基礎日額の503日分 65万円 算定基礎日額の503日分
第9級 給付基礎日額の391日分 50万円 算定基礎日額の391日分
第10級 給付基礎日額の302日分 39万円 算定基礎日額の302日分
第11級 給付基礎日額の223日分 29万円 算定基礎日額の223日分
第12級 給付基礎日額の156日分 20万円 算定基礎日額の156日分
第13級 給付基礎日額の101日分 14万円 算定基礎日額の101日分
第14級 給付基礎日額の56日分 8万円 算定基礎日額の56日分

後遺障害認定から労災保険給付までの流れ

 実際に後遺障害による「障害(補償)等給付」の請求をする場合、手続きはどうすればよいのでしょうか。ここでは、後遺障害認定から労災保険給付までの流れをまとめます。

医師による症状固定(治癒)の診断

 労災事故による怪我や病気の治療を担当する医師が、症状固定(治癒)の診断をしたら、後遺障害の申請が可能になります。「症状固定」とは、傷病の症状が安定し、これ以上治療を続けても医療効果が期待できなくなった状態のことです。この状態を、「症状固定」「治癒」「治ったとき」などと表現します。
 症状固定が診断された時点で、労災保険の「療養(補償)等給付」や「休業(補償)等給付」は終了し、「障害(補償)等給付」の手続きに進みます。

後遺障害診断書など必要書類の準備・提出

 医師による症状固定の診断が出たら、「障害(補償)等給付」の申請手続きに必要な書類を準備します。必要書類は、以下の通りです。

  • 「障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書」(様式第10号)または「障害給付支給請求書」(様式第16号の7)
  • 必要に応じてレントゲン写真などの資料
  • 同一の事由によって障害厚生年金・障害基礎年金などの支給を受けている場合は、支給額を証明できる書類
  • 診断書料を請求する場合は、「療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の費用請求書」(様式第7号)または「療養給付たる療養の費用請求書」(様式第16号の5)

 これら必要書類を準備し、労働基準監督署に提出します。

労働基準監督署の審査・面談

 必要書類を労働基準監督署に提出すると、診断書やレントゲン写真だけではわからない点を確認するために、調査員による面談が行われます。書類提出のタイミングで、または後日連絡を受けて、面談の日時が決定します。
 面談当日は、症状を具体的に伝えられるように事前準備をしておくとよいでしょう。

認定結果の通知・労災保険給付

 面談による審査が終わると、認定結果の通知が送付されます。目安は3か月程度と言われていますが、場合によってはそれ以上かかることもあるようです。認定されなかった場合も、その旨が記載された通知が送付されます。
 認定されると、通知送付前後に労災保険の給付金が指定口座に振り込まれます。

後遺障害で労災保険を申請する際に知っておきたい情報

 後遺障害で労災保険を申請する際に、手続きがスムーズにいくために知っておきたい情報を解説します。また、障害等級の認定結果に不服の場合の対処法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。

治療する医師との連携は重要

 後遺障害で労災保険を申請するには、治療する医師との連携が非常に重要なポイントになります。なぜなら、症状固定の診断や後遺障害診断書の作成をするのは医師だからです。
 症状固定の診断で療養補償給付や療養給付は受けられなくなり、「障害(補償)等給付」の申請も時効となる5年以内に行う必要があります。
また、後遺障害診断書の内容によって後遺障害認定の等級が決まるため、医師とのコミュニケーションをしっかり取り、適切な給付が行われるよう連携することが重要です。

後遺障害等級の認定結果に不服の場合

 後遺障害等級の認定がおりなかったり、認定結果に不服だったりする場合は、認定結果を知ってから3か月以内に労働者災害補償保険審査官へ審査請求を申し立てて、再審査を受けることが可能です。
 審査請求は、口頭・書面・電子申請のいずれかで行います。
 再審査で認定結果が変わらない場合は、通知を受け取った翌日から2か月以内に再審査請求を行え、それでも結果が覆らない場合は6か月以内に訴訟を行い、裁判所に判断をゆだねます。

まとめ

 労働災害により後遺障害が残ると、労働能力が低下し、生活上の支障が生じることが考えられます。この場合は、医師による症状固定の診断を起点として、労災保険の「障害(補償)等給付」の申請手続きが行えます。
 「障害(補償)等給付」では、後遺障害等級によって給付内容が大きく異なるため、認定基準をよく理解して担当医師とコミュニケーションをしっかり取ることが重要です。
 後遺障害が残るようなケースでも、労災保険は被災労働者とその家族を保護する大きな助けとなりますが、経営者や一人親方などは対象外となるため注意が必要です。なぜなら、経営者や一人親方は「労働者」ではなく、「使用者」とみなされるからです。しかし実際は現場作業を行うため、労働者としての一面も持っているのが現状です。
 そこで一人親方の場合は、特別加入団体を通して、任意で労災保険に加入できる「特別加入制度」が設けられています。「一人親方団体労災センター」は、「なるべく格安の費用で加入したい…」「明日までに労災保険の加入が必要なんだけど…」など、一人親方のさまざまなお悩みに対応いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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