一人親方労災保険の「労災センター通信」

労災保険は全額会社負担!未加入の場合にどうなるかも解説

 給料明細に労災保険料の項目がないため、「自分は労災保険に加入しているのだろうか?」「そもそも労災保険料はだれが払うのだろうか?」と考える方は少なくありません。
 結論からいいますと、労働者を1人でも雇うと労災保険の加入義務が生じ、労災保険料は全額会社負担です。
 本記事では、会社負担で加入するべき労災保険について、保険料の計算方法や会社が加入手続きを怠るとどうなるかも含めて解説します。

労災保険料はだれが払う?

 給料明細には雇用保険や健康保険など各種保険料の記載がありますが、労災保険の項目はないため、以下のように考える方も少なくありません。

「自分は労災保険に加入しているのだろうか?」
「そもそも労災保険はだれが払うのだろうか?」

 ここでは、労災保険料を負担するのはだれか、労災保険料の計算方法などとともに解説します。

労災保険料は全額会社負担

 結論からいいますと、労災保険料は全額会社負担です。
 本来、業務上の災害については事業主に補償責任があり、労働基準法第75~88条にもその旨が明記されています。したがって、業務災害に関係する補償は全額会社負担となり、被災労働者の自己負担は一切ありません。
 しかし、事業主である会社に補償能力がない場合、被災労働者は適切な補償が受けられなくなるため、労災保険の制度が設けられました。労災保険は、業務上の労働災害に対する補償を迅速に行い、事業主の災害補償責任を確実に履行する責任保険です。労働基準法の観点からも、労災保険料は事業主である会社が全額負担することになっており、労働者がその一部を負担したり申請したりすることはありません。
 給料明細に「労災保険料」の項目がないのもそのためです。

労働者を1人でも雇うと会社負担で加入義務が生じる

 労災保険の加入対象者は、原則としてすべての「労働者」です。労災保険は強制加入で、労働者を1人でも雇うと事業主には会社負担で労災保険への加入義務が生じます。
 ここでいう「労働者」とは、パートやアルバイトなど短期労働者を含むすべての労働者のことです。

労働者とは、職業の種類にかかわらず、事業に使用される者で、労働の対価としての賃金が支払われる者のことをいいます。

引用:厚生労働省「事業主のみなさまへ 労働保険への加入について」
 はじめて労働者を雇用した日が労災保険の加入日となり、事業主は原則として10日以内に労災保険の加入手続きを行う必要があります。

労災保険料の計算方法は?

 労災保険料は、原則として年に1度、前年度分をまとめて申告・納付します。
 労災保険料の計算方法は、以下のとおりです。

  • 全労働者の年度内の賃金総額×労災保険率

 保険料の対象となる賃金には、給料・手当・賞与など名称を問わず、労働の対償として労働者に支払われるすべてが含まれます。これは、保険料算定期間中(4月1日~翌年3月31日)に支払いが確定した賃金で、税金や各種保険料などを控除する前の金額です。

【労災保険料の計算例】
 小売業で1年間に労働者に支払う総賃金が290万円(従業員1名、毎月20万円×12ヵ月+賞与50万円)の場合、以下のように計算します。

  • 290万円(賃金総額)×3/1,000(小売業の労災保険率)=8,700円

 実際には、労災保険と雇用保険を合わせて、労働保険料として申告・納付します。

雇用保険は会社と労働者の双方で負担する

 雇用保険は、失業や雇用の継続が困難になった場合に、労働者の生活と雇用の安定を図り、再就職の援助を行う目的で設けられた国の制度です。一定の条件を満たす労働者が対象となり、事業主は加入手続きの義務が生じます。
 雇用保険料は、以下の雇用保険料率にしたがって会社と労働者の双方で負担します。

事業の種類 雇用保険率 事業主負担 労働者負担
一般の事業 9/1,000 6/1,000 3/1,000
農林水産・清酒製造の事業 11/1,000 7/1,000 4/1,000
建設の事業 12/1,000 8/1,000 4/1,000

会社負担の労災保険に未加入の場合どうなる?

 労働者を雇っているにもかかわらず事業主が労災保険に未加入で、労働災害が発生する場合はどうなるのでしょうか。労災保険の加入義務は事業主にあるため、被災労働者は事業主の加入手続きの有無にかかわらず、労災保険の給付を受けられます。また、労災保険未加入の会社にはペナルティがあるため注意が必要です。
 ここでは、以上を踏まえて会社負担の労災保険に未加入の場合どうなるのか、さらに詳しく解説します。

被災労働者は労災保険の給付を受けられる

 パートやアルバイトなど短期労働者を含め、すべての労働者は労災保険の対象です。それで、会社が労災保険の加入手続きを怠っている場合でも、被災労働者は労災保険の給付を受けられます。
 例えば、仕事中や通勤途中にケガをした場合、以下の手順で労災保険の申請を行います。

  1. 労働災害の発生を事業主に報告する
    仕事中や通勤途中のケガは、速やかに事業主に報告する必要があります。
    事業主は、労働基準監督署へ「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。
    事業主が労災保険に未加入の場合、労災申請をしないように言われることも考えられますが、「労災かくし」は犯罪行為のため注意が必要です。
  2. 労災指定医療機関で治療を受ける
    労災病院や労災指定医療機関に行き労災であることを伝えると、自己負担なしで診察・治療が受けられます。
    労働災害で健康保険は使えないため、健康保険証の提示は必要ありません。
    近くに労災指定医療機関がない場合は、費用をいったん自己負担して治療を行い、後日かかった費用を請求します。
  3.  労働基準監督署へ労災申請に必要な書類を提出する
    労災申請は原則として被災労働者かその家族が行い、必要な書類は厚生労働省のホームページからダウンロードします。
    会社によっては担当者が労災申請を代行してくれるケースもありますが、労災保険の加入手続きを怠っている場合は期待できないでしょう。
    「療養(補償)給付」は労災指定医療機関を経由し、それ以外の給付は直接労働基準監督署へ提出します。
    事業主が労災保険に未加入または協力的でない場合は、事業主の記入欄を空白にしたまま、労働基準監督署にその旨を伝えて提出します。
  4. 労働基準監督署による調査・認定
    労災保険の認定を行うのは、労働基準監督署長です。
    労働災害の調査が行われ、労働基準監督署長に認定されると、申請した保険給付が受け取れます。

労災保険未加入の会社にはペナルティがある

事業主が労災保険の加入手続きを怠っている場合、以下のようなペナルティが課せられます。

  • 過去にさかのぼって労災保険料と追徴金が徴収される
    事業主が労災保険の加入手続きをしない場合、政府が職権により成立手続きを行います。
    その際は最大2年間さかのぼって、労災保険料と追徴金10%が徴収されます。
    それでも事業主が支払いに応じない場合は、滞納者の財産を差し押さえるなどしかるべき処分が行われるため注意が必要です。
  • 労働災害が発生した場合は保険給付額の全額または一部が徴収される
    労災保険へ未加入であっても、被災労働者への保険給付は行われ、その全額または一部が徴収されます。
    労災発生以前に指導を受けたにもかかわらず、加入手続きを怠っている場合は「故意」によるものと判断され、保険給付額の100%が費用徴収されることになります。
    指導を受けていないものの、労災保険の加入手続きを1年以上怠っている場合は「重大な過失」と判断され、この場合の費用徴収は保険給付額の40%です。
  • 事業主のための助成金が受けられない
    労災保険料を滞納している事業主に関しては、雇用調整助成金・特定求職者雇用開発助成金など、事業主の雇用関係助成金が受けられなくなります。

【注意】一人親方の労災保険料は全額自己負担

 会社員やパート・アルバイトなど、会社に雇われている方の労災保険料は会社負担です。しかし、請負で仕事をする一人親方は「労働者」に該当しないため、労災保険の対象にはなりません。
 そこで、一人親方は労災保険料を全額自己負担して、任意の特別加入制度を活用できます。ここでは、一人親方の労災保険特別加入制度や、労災保険料について解説します。

一人親方は任意で特別加入ができる

 「労働者」に該当しないとはいえ、一人親方も一般の労働者と同様に労働災害のリスクがあります。そこで、一人親方などを労働者に準じて保護する目的で、労災保険の特別加入制度が設けられました。
 一人親方は、特別加入団体を通して労災保険特別加入への申し込みができ、政府の承認を得ると特別加入団体を事業主、一人親方を労働者とみなすとされています。
「一人親方団体労災センター」は、全国規模で展開する特別加入団体のひとつで、「分かりやすい説明と親切丁寧」をモットーに一人親方の特別加入をサポートします。

一人親方の労災保険料は?

 一人親方の労災保険料は、全額自己負担となります。
 給付基礎日額に応じて労災保険料が決められており、それとは別に特別加入団体への組合費などが発生します。なお、「一人親方団体労災センター」の場合、入会金1,000円(初年度のみ)と組合費月々500円の少ない負担で労災保険に特別加入できて安心です。
 給付基礎日額は、下図のように3,500~25,000円の16段階に分かれていて、一人親方はご自身の所得水準に応じて最適な金額を選択します。一般的には、前年の収入を365日で割った額を目安にするとよいでしょう。

給付基礎日額 年間保険料
3,500円 22,986円
4,000円 26,280円
5,000円 32,850円
6,000円 39,420円
7,000円 45,990円
8,000円 52,560円
9,000円 59,130円
10,000円 65,700円
12,000円 78,840円
14,000円 91,980円
16,000円 105,120円
18,000円 118,260円
20,000円 131,400円
22,000円 144,540円
24,000円 157,680円
25,000円 164,250円

 引用:一人親方団体労災センター「一人親方労災保険の費用について

まとめ

 労働者を1人でも雇うと、事業主は会社負担で労災保険に加入する義務が生じます。加入義務を怠ると、過去にさかのぼって保険料が徴収されるほか、追徴金や労災発生時の保険給付金額なども徴収されるため注意が必要です。
 また、事業主の労災保険加入手続きの有無にかかわらず、被災労働者は労災申請をして必要な保険給付が受けられます。なお、労働者に該当しない一人親方は、労災保険料を全額自己負担して特別加入することで、労災発生時には必要な保険給付が受けられ安心です。

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