一人親方労災保険の「労災センター通信」

建設業の一人親方と個人事業主の違いとは?注意すべき共通点も解説

 建設業に従事する職人さんを「一人親方」「個人事業主」と呼ぶことがありますが、厳密に言って違いはあるのでしょうか?中には「一人社長」「フリーランス」として働く方もいるため、どの肩書が正しいのか混乱する方も少なくありません。
 そこで本記事では、「一人親方」「個人事業主」「一人社長」「フリーランス」の意味をわかりやすく解説します。また、労災保険にかかわる注意すべき共通点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

建設業の一人親方と個人事業主の違いとは?

 建設業の現場には、「○○会社の親方」「○○会社の社員」など会社に雇用されている方に加えて、1人で働く職人さんも少なくありません。どの会社にも所属しておらず、「一人親方」「個人事業主」などと呼ばれる方です。
 普段仕事をするにあたり、これらの肩書を気にしない方もいますが、税金や社会保険などの事務作業を行う際「自分は一人親方?それとも個人事業主?」と迷うケースもあるでしょう。ここでは一人親方と個人事業主の違いを、わかりやすく解説します。

一人親方の定義

 「一人親方」とは、特定の会社に雇用されず請負で働き、基本的にアルバイトなど労働者を使わず自分1人で業務に従事する方のことです。
 一般的には、大工・左官・とび職人など建設業に従事する方がイメージしやすいでしょう。一人親方は基本的には文字通り1人で働く職人さんですが、繁忙期などに一時的にアルバ     イトを使うことがあっても、年間100日未満であれば「一人親方」としての扱いは変わりません。
 しかし、「一人親方」の名称は建設業の従事者だけに限られるわけではありません。例えば厚生労働省では、以下の事業を労働者を使用しないで行う方を「一人親方等」と定義づけています。

  1. 自動車を使用して行う旅客若しくは貨物の運送の事業又は原動機付自転車若しくは自転車を使用して行う貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
  2. 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、原状回復、修理、変更、破壊もしくは、解体またはその準備の事業(大工、左官、とび職など)
  3. 漁船による水産動植物の採捕の事業(⑦に該当する事業を除きます)
  4. 林業の事業
  5. 医薬品の配置販売(医薬品医療機器等法第30条の許可を受けて行う医薬品の配置販売業)の事業
  6. 再生利用の目的となる廃棄物などの収集、運搬、選別、解体などの事業
  7. 船員法第1条に規定する船員が行う事業
  8. 柔道整復師法第2条に規定する柔道整復師が行う事業
  9. 改正高齢者雇用安定法第10条の2第2項に規定する創業支援等措置に基づき、同項第1号に規定する委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が新たに開始する事業又は同項第2項に規定する社会貢献事業に係る委託契約その他の契約に基づいて高年齢者が行う事業

 引用:厚生労働省「労災保険特別加入制度のしおり」
 
 以上から、建設業以外に運送業や林業などの一人親方もいることがわかります。

個人事業主の定義

 「個人事業主」とは、法人を設立しないで個人で事業を営む方のことです。
 一人親方とは違って業種の指定は特になく、開業届を出して個人で営業していれば個人事業主として扱われます。また従業員を雇うことに関しても制限はなく、個人事業主本人は現場で働かないケースもあります。
 個人事業主の例としては、個人経営の商店や飲食店、フランチャイズのコンビニエンスストアや飲食店のオーナーなどがイメージできるでしょう。一人親方と比較すると個人事業主の定義は広く、最近ではIT関連で独立して働く方や、YouTuberなども個人事業主に該当します。
 個人事業主は事業の規模に応じて労働者を制限なく雇用できますが、常時5名以上雇用する場合は従業員に対する社会保険加入手続きが必須となるため注意が必要です。

【結論】一人親方は個人事業主でもある

 「一人親方」と「個人事業主」の定義をまとめると、一人親方は個人事業主でもあることがわかります。
 ただし、働き方によっては個人事業主が「一人親方」に該当しなくなるケースもあります。例えば、一人親方がアルバイトを年間100日以上雇い入れる場合は、個人事業主ではあるものの一人親方には該当しません。
 一人親方は会社に雇用される労働者と区別されており、基本的に元請会社の指揮命令を受けずに業務を行います。しかし、一人親方としての実態が伴わないことが問題視されており、以下のような場合は雇用関係があるとみなされるケースがあります。

  • 元請会社により始業・終業時間が指定されている
  • 報酬を時給・日給で受け取っている
  • 道具や材料が支給されている

 また一人親方は請負元から仕事を受注して働きますが、適正に請負をしていないケースでは、一人親方として仕事をしたことにはなりません。例えば、親戚や知人に頼まれて家のリフォームや修理を行った場合、一個人が好意で手伝っただけとみなされるケースがあるため注意が必要です。

一人親方と一人社長・フリーランスの違いは?

 一人親方はほかにも、「一人社長」や「フリーランス」と呼ばれる場合もあります。
 これらの名称も意味や対象となる範囲が異なるため、はっきり理解したうえで使うようにしましょう。ここでは、「一人社長」「フリーランス」についてわかりやすく解説します。

一人社長とは

 「一人社長」は、事業を法人化させて自らが社長となり、従業員を雇わずに1人で業務を行う方のことです。
 労働者を使用せずに業務を行う一人親方も、個人事業主として行っていた事業や所有する資産・建物などを引き継いで会社を設立できます。この場合は、「一人社長」になりますが、同時に「一人親方」でもあるといえるでしょう。
 事業を法人化すると、一定の年収を超えた場合税制面での優遇があったり、信用度が上がって事業拡大しやすくなったりするメリットがあります。ただし、法人設立時の手間や費用、社会保険料が高額になるなどデメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
 一人親方が事業を法人化して一人社長になるメリット・デメリットや、法人化するタイミングについて詳しく知りたい方は、「一人親方が法人化するメリットは?後悔しない注意点や流れを解説」をご覧ください。

フリーランスとは

 働き方改革の推進などで多くの方の働き方が変化するようになった昨今、「フリーランス」という言葉もよく聞くようになりました。
 「フリーランス」とは、会社や団体に所属せず、得意とするスキルを活かして仕事を請け負う働き方を指し、この形態で働く方のことを「フリーランサー」「フリーエージェント」などと呼びます。
 一般的には、カメラマン・ライター・プログラマー・デザイナー・エンジニアなどの職業が思い浮かぶでしょう。インターネットを使って働ける職種も多く、場所や時間に縛られないなどのメリットがあります。
 また、フリーランスには職種の指定がなく比較的幅広い働き方を指すため、一人親方もフリーランスであるといえます。

【注意】一人親方と個人事業主・一人社長・フリーランスの共通点

 一人親方と個人事業主・一人社長・フリーランスは、厳密に言葉の違いや対象範囲が異なるものの、いずれもスキルや経験を活かして自由に働けるなどの共通点があります。
 ただし、会社や団体に所属しないゆえのデメリットもあるため注意が必要です。ここでは、労災保険についての注意点と対策について解説します。

労災保険の対象外になる

 一人親方・個人事業主・一人社長・フリーランスなど、会社や団体に所属せず独立して働く方は、労災保険の対象外となるため注意が必要です。
 労災保険は、仕事中のケガや病気に対して必要な補償給付を行う国の制度で、対象者を「労働者」としています。そしてこの「労働者」は、労働基準法により以下のように定義されています。

「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事業所に使用さている者で、賃金を支払われる者をいう。

 引用:e-GOV「労働基準法第9条」

 一人親方や個人事業主などは、会社と雇用関係を結ばず請負で仕事をするため、「労働者」には当てはまりません。そのため、業務上のケガや病気に備えて各自でリスク管理を行う必要があります。

建設業の一人親方は労災保険特別加入制度を活用しよう

 建設業の一人親方の場合、自ら現場で業務に携わることもあり、ケガや病気のリスクが比較的高いと考えられます。労災保険の対象外となるため多額の医療費が発生する可能性もあり、事前の対策は必要不可欠です。
 そこで、建設業の一人親方には労災保険の特別加入制度の活用をおすすめします。特別加入制度について、厚生労働省は以下のように説明しています。

労災保険は、本来、労働者の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方には特別に任意加入を認めています。これが、特別加入制度です。

 引用:厚生労働省「労災保険特別加入制度のしおり」

 建設業の一人親方の場合、個人ではなく特別加入団体を通して加入申請を行うことになっています。
 「一人親方団体労災センター」では、個人・法人を問わず建設業に従事する一人親方を対象に、特別加入のサポートを行っています。日本全国に対応していますので、特別加入をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

まとめ

 「一人親方」「個人事業主」の定義や、「一人社長」「フリーランス」との違いについてまとめました。
 いずれも特定の会社に雇用されることなく、仕事を請け負う形態の働き方です。報酬額や労働時間を自由に決められるなど、メリットの多い働き方として注目されています。
 ただし、労働基準法が定める「労働者」に該当せず、労災保険の対象外になるため注意が必要です。特にケガや病気のリスクが高い建設業の一人親方は、一人親方労災保険に加入するようおすすめします。

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