「舗装屋として独立したいが、何から始めればよいのか分からない」と悩んでいる方もいるでしょう。
舗装屋として独立すること自体は難しくありませんが、資格・資金・人脈の3つを事前に整えておかないと、独立後すぐに仕事が途切れてしまうリスクがあります。
準備不足のまま見切り発車すると、せっかく独立しても安定した収入を得るまでに時間がかかることもあるでしょう。
そこで本記事では、舗装屋として独立するメリットやデメリット・具体的な独立の流れをわかりやすくご紹介します。
開業資金の目安や必要な資格も解説しているので、舗装屋として独立を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
舗装屋として独立するメリットと注意点
舗装屋は、アスファルト・砂利・砕石などで道路の路盤築造や地盤面の舗装工事を請け負う事業者のことです。
公共工事のほか、小規模な一般住宅の外構工事などを住宅メーカーや工務店を通して請け負い、街の地盤や景観を美しく安全に保っています。
独立して個人事業主となった場合は、下請けとなる大手ゼネコンの協力会社として他業者とチームを組み、仕事を請け負うケースが多いでしょう。
本章では、舗装屋として独立するメリットと注意点について解説します。
舗装屋として独立するメリット
舗装屋として独立するメリットは、社会インフラを整備する公共事業が主のため、景気動向に影響されにくいことです。
舗装工事は社会インフラの維持に不可欠なため、災害時の復旧作業はもちろん、不況時でも公共事業によって仕事量が確保されやすいという強みを持っています。
独立後の形態によってもメリットがあり、個人事業主の場合は、定款などの作成義務がなく、開業手続きが簡単に済みます。
自分の裁量が収入に直結し、働いた分だけ稼げる点も魅力です。
一方、法人化して独立すると社会的信頼が得られ、大規模な案件の受注や融資を受けやすくなるというメリットが得られます。
関連記事:「一人親方が融資を受けるには?手続き方法や審査の流れについて解説」
舗装屋として独立する際の注意点
舗装屋として独立する注意点は、資本となる自分の身体を壊すと収入を得られなくなることです。
特に、一人親方は年を重ねるごとに現場作業が厳しくなるため、体力面も考慮した将来設計が必要です。
年齢や体調面を考慮して、将来的には現場に出る職人を雇い、自分は経営に専念することも検討しましょう。
独立後の形態によっても注意すべき点があります。
まず、個人事業主は原則として会社員のような厚生年金に加入できず国民年金のみの加入となるため、将来の受給額が少なくなり老後の金銭面で不安が生じる可能性があるでしょう。
一方で、舗装屋を法人化して独立した場合は、会社設立時や廃業時の手続き・帳票作成や税務申告などで事務負担が増える点に留意が必要です。
関連記事:「一人親方が加入できる年金は?年金制度の構造や年金を増やす方法も解説」
舗装屋として独立する際の流れ
本章では、舗装屋として独立するまでの流れを具体的に解説していきます。
各ステップを順に追っていくことで、着実に独立への準備を整えられるでしょう。
建設会社(ゼネコン)の従業員として働き、知識や経験を積む
舗装屋として独立するためには、専門知識を習得して経験を積むことが大切です。
独立して安定した収入を得るためにはお客様から信頼を得ることが重要なため、建設会社(ゼネコン)の従業員として約5~10年働き、経験を積んだうえで独立を目指しましょう。
業務に役立つ資格を取得する
舗装作業に欠かせない資格を取得しているとスキルの証明となり、独立後も仕事を獲得しやすいでしょう。
舗装屋として業務に役立つ資格には、次が挙げられます。
| 資格名 | 資格区分 | 特徴 |
|---|---|---|
| 土木施工管理技士 | 国家資格 | 道路・橋・ダムなどの土木工事における、施工計画の作成・工程・品質・安全管理を主導 |
| 建設機械施工技士 | 国家資格 | 建設機械の操作・工程の管理や機械の効率的な運用方法を考え、道路舗装に使用する機械を扱える |
| 大型特殊自動車免許 | 国家資格 | 砂利などを運ぶホイールローダーなどの運転が可能 |
| 車両系建設機械運転者 | 国家資格 | パワーショベルやブルドーザーなど、機体質量3t以上の車両系建設機械を扱える |
| 舗装施工管理技術者 | 民間資格 | 舗装工事を行う技術者の高水準の技術を証明できる |
重機の運転や操作を行う場合は免許が必須なため、注意してください。
また、資格ごとに取得難度・取得条件・取得方法などが異なるため、事前に最新の情報を確認しておきましょう。
集客・元請けなどからルートを確保する
独立後は、自分で仕事を獲得しなければならないため、日頃から協力業者や職人仲間と良好な関係を築くことが重要です。
周囲の信頼を得ることで、仕事のチャンスをもらえる可能性が広がります。
元請けなどからルートを確保して安定した受注につなげるためにも、独立前から人脈作りを行うとよいでしょう。
開業資金の調達や事務所を準備する
開業資金の調達は、3ヶ月ほど運営できる自己資金が目安とされています。
事務所や重機・機械・車両などを置く倉庫費用も合わせると、500万円~800万円程度の資金は必要と考えておきましょう。
従業員の有無や仕事の規模などの経営方針によっても必要な資金は変わるため、事前に計算しておくことが重要です。
独立時の開業資金の目安
舗装屋として独立する際の開業資金の目安を表にまとめました。
<独立開業資金の目安>
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 法定設立 | 6~20万円 |
| 重機・機械 | 100~300万円 |
| 移動・工具運搬車両 | 100~150万円 |
| 作業用車両(中古) | 200~300万円 |
| ※新車は数千万円 | |
| 外部車庫・倉庫初期費用 | 50万円前後 |
| 合計 | 500~800万円 |
法人化する場合は会社設立費用として6~20万円の資本金が必要です。
また、建設業許可を取得する場合は、財産要件500万円などの条件があります。
舗装屋に必要な重機・機械
舗装屋は作業に必要な重機や機械の設備投資が必要です。
<舗装屋に必要な重機や機械の一例>
- アスファルトフィニッシャー
- ロードローラー
- ハンドガイドローラ
- プレートコンパクター
- タンピングランマー など
重機や機械は単価が高いため、業者からレンタルやリース契約を検討するのもよいでしょう。
レンタルは、日・週・月単位の短期間で手軽に借りられて維持費の負担がなく、購入するよりも初期費用をおさえられるというメリットがあります。
ただし、リースは年単位で長期間借りられるものの、途中解約の場合は違約金が発生し、借主がメンテナンスを行うことが一般的です。
開業手続きを行う
舗装屋として独立するための開業手続き方法について、個人事業主の場合と法人の場合それぞれ解説します。
個人事業主の場合
個人事業主として独立開業する手続きはシンプルで、費用もほぼかかりません。
まずは開業日から1ヶ月以内に「開業届」を税務署に提出しましょう。
節税メリットが大きい青色申告を行う場合は、あわせて「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
あわせて、実務面の準備も進めましょう。
プライベートと区別するために「事業用の銀行口座」を開設しておくと、のちの会計処理がスムーズになります。
また、舗装現場でのけがに備え、一人親方でも加入できる「労災保険の特別加入」の手続きも忘れずに行っておきましょう。
法人の場合
舗装屋を法人として独立開業する場合は、法務局で登記申請を行います。
登記申請の主な流れは次の通りです。
- 商号(社名)・事業目的・資本金・役員などを決定する
- 定款の作成・認証(合同会社は不要)
- 社印の作成
- 資本金の振込
- 登記申請
- 設立後の社会保険や年金などの諸手続き
登記申請に関する書類は、「設立登記申請書」「定款(謄本)」「発起人決定書」「印鑑届書」「出資金の払込証明書」など、複数の書類を必要とします。
法人登記の必要書類は、設立する法人の種類・定款の記載内容で異なるため、詳細は法務局の登記相談窓口・司法書士・税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。
一人親方として独立する際は労災保険特別加入制度を活用しよう
一人親方として独立した場合、業務中のけがは自己責任となるため、万が一に備えて労災保険の特別加入制度を活用することが重要です。
特別加入することで、治療費や休業補償などの給付を受けられ、安心して仕事に取り組めます。
「一人親方団体労災センター」では、初年度のみ入会金1,000円、組合費は月500円と低コストで加入でき、追加費用もかかりません。
最短翌日から加入できるため、すぐに現場に出る必要がある方にも適しています。
また、加入証明書は即日発行にも対応しているため、急ぎで提出が必要な場合でも安心です。
労災保険への特別加入を検討している方は、「一人親方団体労災センター」の活用をご検討ください。
舗装屋の独立に関するよくある質問
本章では、舗装屋の独立に関するよくある質問についてまとめました。
舗装屋の給料はいくら?独立しても儲かりますか?
舗装工に就職した場合の平均月給は約20~40万円、平均年収は約415万円とされています。
月給は、道路舗装か住宅の外構といった現場の規模・夜勤の有無・繁忙期・スキルや経験などによって変わるものの、独立した場合は自身の努力次第でさらに稼げる可能性があるでしょう。
舗装屋として独立して年収を上げるためには、重機の免許を取得して扱えるように仕事の幅を広げることが重要です。
舗装施工管理技術者資格は国家資格ですか?
舗装施工管理技術者資格は、「一般社団法人日本道路建設業協会」が実施している、舗装工事に関する専門知識や施工管理能力を証明する民間資格です。
ただし、建設工事に従事する者の技術などの向上を図るうえで奨励すべき事業として、国土交通省に認定された大臣認定資格でもあります。
そのため、国家資格ではないものの、舗装分野において専門性を示す有効な資格といえるでしょう。
舗装工事に建設業許可は必要ですか?
結論として、舗装工事は工事1件あたり500万円以上の場合に建設業許可が必要となり、500万円未満の軽微な工事であれば必ずしも許可は必要ありません。
建設業許可を取得することで、請負金額500万円以上の工事を受注できるようになります。
取得には、自己資本500万円以上などの財産的基礎や、「経営業務の管理責任者」「専任技術者」などの要件を満たす必要があります。
また、建設業許可は業種ごとに取得する必要があるため、土木工事業や建築工事業とは別に舗装工事業の許可が必要です。
許可の有効期間は5年で、継続する場合は更新手続きが必要となります。
まとめ
舗装屋として独立するには、実務経験を積み、必要な資格の取得や開業資金の準備を整えたうえで開業することが重要です。
個人事業主として独立するメリットは、開業手続きがシンプルで費用がほぼかからないこと、法人として独立するメリットは、登記申請が必要なものの、社会的信用が高く融資を受けやすいことです。
舗装屋として独立する際は、ご自身の経歴や自己資金に合わせて適切に手続きを行いましょう。
