一人親方労災保険の「労災センター通信」

労災保険未加入の罰則とは?保険料の計算方法と一人親方の備え方

建設業に携わる方の中には、「労災保険は誰が加入するものなのか」「未加入のままだと罰則があるのか」と疑問を感じている方もいるかもしれません。

結論からいうと、労働者を雇っている事業主が労災保険に未加入の場合、追徴金・給付金の負担・罰金などの不利益を受ける可能性があります。
一方で、一人親方は立場が異なり、罰則の有無や備えるべきリスクも変わってきます。

本記事では、労災保険未加入の罰則・対象者・保険料の仕組み・一人親方が労災保険に加入する方法などをまとめました。
自分が労災保険の対象者なのか、また、どのくらいの負担になるのかを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

労災保険の対象者

労災保険の対象者は、事業主に雇用されて働くすべての労働者で、正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員・派遣社員なども含まれます。

労災保険は強制適用制度であり、労働者を1人でも雇用していれば事業主には加入手続きの義務があります。
手続きをしていない場合、法令に基づく対応が求められるでしょう。
ただし、派遣社員は派遣先でなく派遣元が加入手続きをします。

万が一、労災事故が発生した場合には、事業主が手続きをしていなくても、労働者は労災保険の給付を請求できます。

なお、一人親方は労働者に該当しないので強制適用の対象ではなく、加入していないこと自体に罰則はありません。

労災保険に未加入だと罰則はある?

労働者を雇った場合、事業主は雇い入れた日から原則として10日以内に保険関係成立届を提出し、労災保険へ加入しなければなりません。
そのため、労働者を雇ったのに労災保険に未加入だと罰則が科される可能性があります。

どのような罰則が科されるのか、見ていきましょう。

労災給付額の全部または一部を費用徴収される

労災保険に未加入のまま事故が起きた場合、労災給付金の全部または一部を「費用徴収制度」により事業主が後から支払う可能性があります。

費用徴収の対象は、2つに分けられます。

行政による指導を受けた後も加入に応じなかった場合は「故意」と判断され、徴収されるのは給付額の100%です。
一方、指導は受けていないものの1年以上未加入だった場合は「重大な過失」とされ、給付額の40%が徴収されます。

さらに、未納期間の保険料も最大2年分をさかのぼって請求されるため、負担はより大きくなるでしょう。

法律違反になる可能性がある

労災保険に未加入だと、法律違反になるおそれがあります。
労働者災害補償保険法では、行政からの命令に従わず、報告をしない・虚偽の申告を行うといった行為に対し、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金を科す規定があります。

また、悪質なケースでは、厚生労働省によって事業者名が公表されたり、ハローワークでの求人掲載ができなくなったりする場合もあるようです。

社会的信用を失うことで、採用や取引に影響が出る可能性も否定できません。
労災保険への加入は、法令を守るうえで欠かせない義務といえるでしょう。

労災保険料は誰が負担する?

労災保険料は誰が負担するのかと気になる方もいるでしょう。
本章では、労災保険の負担者・計算方法・雇用保険との違いを解説します。

労災保険料は全額事業主負担

労災保険料は、事業主が全額支払うため、労働者が負担する費用はありません。
保険料は従業員の給与から差し引かれることはなく、事業主がまとめて納付します。

労働基準法において、事業主には業務中のけがや病気について故意や過失がなくても賠償責任を負う「無過失責任」があるとされています。
正社員だけでなく、パートやアルバイトを1人でも雇っていれば、原則として加入義務が生じるのです。

労災保険料の計算方法

労災保険料は、毎年行う年度更新の手続きで申告・納付します。
計算方法は「賃金総額×労災保険料率」です。

賃金総額とは、4月1日から翌年3月31日までの1年間に、すべての従業員へ支払った給与・賞与・各種手当の合計を指します。
基本給や通勤手当などは含まれますが、役員報酬・退職金・出張旅費は含まれません。

労災保険料率は業種ごとに国が定めており、事故のリスクが高い業種ほど高い水準に定められています。
例えば、小売業の労働保険料率は3/1,000です。

賃金総額が1,500万円の小売業だと想定すると、労災保険料は1,500万円×3/1,000=4万5,000円となります。

一人親方は労災保険未加入でも罰則はないが加入した方がよい

一人親方は、労災保険に未加入でも罰則を受けることがありません。
一人親方や個人事業主は企業に雇用される立場ではなく、法律上の労働者に該当しないためです。

ただし、未加入のまま働くことには注意が必要です。
業務中にけがや病気をした場合、治療費や休業中の生活費はすべて自己負担となります。
また、元請会社の労災保険は一人親方には適用されず、事故の内容によっては損害賠償を求められる可能性もあります。

仕事を継続するためにも、加入を検討する意義は大きいといえるでしょう。
本章では、一人親方の特別加入や労災保険料について解説します。

関連記事:一人親方が労災保険未加入で事故に遭ったら?リスクや加入するメリットを解説

一人親方は労災保険に特別加入できる

一人親方であっても、特別加入制度を利用すれば労災保険に加入できます。

特別加入制度は、労働者を雇わずに事業を行う方のうち、業務内容や作業環境から見て保護が必要と認められる場合に利用できる制度であり、業務中や通勤中のけがや病気について労災保険による補償が可能です。
加入は任意ですが、建設業など危険を伴う仕事では重要な備えとなるでしょう。

手続きは市区町村ではなく、労働局の認可を受けた特別加入団体を通じて行います。
申請書類の提出や保険料の支払いのほか、作業内容によっては健康診断が求められるケースもあります。

関連記事:一人親方はインターネットで労災保険に加入できる?流れや費用、補償を解説

一人親方の労災保険料

一人親方が労災保険に特別加入する場合、保険料は給付基礎日額をもとに決まります。
給付基礎日額とは、保険料や補償額の計算基準となる1日あたりの金額で、3,500円から2万5,000円まで16段階からの選択です。

選んだ給付基礎日額に365日を掛けたものが保険料算定基礎額となり、これに業種ごとの保険料率を掛けて年間保険料を算出します。

建設業の保険料率は17/1,000で、具体的な金額は表のとおりです。

給付基礎日額 A 保険料算定基礎額 B=A×365日 年間保険料 =保険料算定基礎額×保険料率
建設の事業の 保険料率17/1000
3,500円 127万7,500円 2万1,709円
4,000円 146万円 2万4,820円
5,000円 182万5,000円 3万1,025円
6,000円 219万円 3万7,230円
7,000円 255万5,000円 4万3,435円
8,000円 292万円 4円9,640円
9,000円 328万5,000円 5万5,845円
1万円 365万円 6万2,050円
1万2,000円 438万円 7万4,460円
1万4,000円 511万円 8万6,870円
1万6,000円 584万円 9万9,280円
1万8,000円 657万円 11万1,690円
2万円 730万円 12万4,100円
2万2,000円 803万円 13万6,510円
2万4,000円 876万円 14万8,920円
2万5,000円 912万5,000円 15万5,125円

給付基礎日額を高く設定すると保険料は増えますが、その分、休業補償や給付額も手厚くなります。

一人親方の労災保険特別加入は一人親方団体労災センターへ

一人親方が労災保険へ特別加入するなら一人親方団体労災センターをご検討ください。

一人親方団体労災センターでは、自分で選んだ給付基礎日額に基づく労災保険料に加え、月額500円の組合費と入会金1,000円で加入できます。
余分な手数料がかからないため、年間に必要な費用を把握しやすい点が特徴です。

また、申し込みから補償開始までの対応が早く、入金確認後に最短で翌日から補償が始まります。
加入証明書の発行も迅速なため、元請会社への提出や現場入りを急ぐ場合にも安心でしょう。

詳細は一人親方団体労災センターをご確認ください。

労災保険未加入の罰則に関連するよくある質問

労災保険未加入の罰則について調べていると、「未加入だとばれるのか」「労災保険のほかに雇用保険があるけれども違いはあるのか」など、疑問を感じる方もいるでしょう。
本章では、労災保険未加入の罰則に関する質問に回答していきます。

労災保険に未加入だとばれる?

労災保険に加入していなくても、「特に指摘されたことがないから問題ない」と考えている事業主もいるかもしれません。
しかし、労災保険の加入状況はさまざまな場面で確認されます。

労災保険の未加入が発覚するケースとして、次が挙げられます。

  • 労働基準監督署による調査
  • 仕事中の事故やけがが発生したとき
  • 社会保険や税務に関する調査
  • 従業員からの相談や申告

労災保険に未加入だと前述したように罰則が科される可能性があるため、「見つからなければ問題ない」と考えてはいけません。

労災保険と雇用保険の違いは何?

労災保険と雇用保険は、まとめて「労働保険」と呼ばれますが、役割や補償の内容は異なります。
労災保険と雇用保険の違いは、表のとおりです。

労災保険 雇用保険
制度内容 ・業務中に起きたけがや病気に対して、損害を補償する制度 ・労働者が失業した場合や、育児・介護などの事情で働けなくなった期間の生活を支えるための制度
対象者 ・すべての労働者(正社員、バート、アルバイト、契約社員、派遣社員) ・1週間の所定労働時間が20時間以上ある
・31日以上働く見込みがある
保険料負担 ・全額会社負担 ・会社と労働者の双方が負担
給付内容 ・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・遺族補償給付
・介護補償給付 など
・基本手当
・傷病手当
・再就職手当
・育児休業給付
・介護休業給付
・高年齢求職者給付金
・就業促進定着手当
・教育訓練支援給付金 など

事業主・労働者の双方にとって重要な制度であるため、それぞれの違いを理解したうえで、適切に手続きしましょう。

まとめ

労災保険は労働者を1人でも雇う事業主に加入が義務付けられている制度であり、未加入のまま労災事故が起きると、費用徴収や法律違反といったリスクを負う可能性があります。

保険料は全額会社負担で、労働者に負担させることはできません。

一方、一人親方は強制加入の対象外のため未加入でも罰則はありませんが、事故時の補償がなく、仕事や生活に大きな影響をおよぼすおそれがあります。
そのため、特別加入制度を利用して労災保険に備えておくことが重要です。

一人親方団体労災センターは費用が分かりやすく手続きや補償開始が早いため、安心して働き続けたい一人親方に適した選択肢といえるでしょう。

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